逆引き大学辞典2025年度版
62/227

「社会福祉法人」 社会福祉法人は公共性の高い「福祉」の事業を行う非営利の民間団体で、国や自治体の認可を受けて設立されます。NPOなどとは異なり、安定した経営基盤を持つことや、業務や財務の健全性を定期的に報告することが義務付けられています。 社会福祉法人が運営する施設は全国に約5万カ所あり、福祉行政と連携して「児童福祉」「障がい者福祉」「高齢者福祉」など、さまざまな福祉サービスを提供しています。 特に近年は、少子化の世相を反映して、子育ての知識が少なく悩みを抱える家族の増加が問題に。また、虐待や貧困に苦しむ子どもを守る人権保護の観点から、こうした家族から一時保護した子どもを預かる児童養護施設としての役割も期待されています。「福祉機器開発」 高齢化が進み、福祉サービスの需要が拡大するにつれ、福祉や介護の世界で働く人材やコストの面に加え、モノ・技術の側面が大きくクローズアップされています。 「福祉機器」を開発するメーカーには、弱者の立場からモノづくりを追求し、福祉の現場を背後でしっかり支えていく役割が期待されています。福祉や医療器具の専業メーカーはもちろん、家具や家電、生活用品のメーカーなど、さまざまな業界で日常的な負担を減らすための工夫が続けられています。さらに、介護する側が身体に付けて腕の力を補強する「パワースーツ」をはじめ、寝たきりの人を移動させる器具など、福祉ロボット分野でも最新技術を用いた製品の開発が進められています。「地域包括ケアシステム」 高齢者が住み慣れた地域で、自分らしい人生を全うできる社会をめざして整備が進められている社会体制のことです。地域における「住まい」「医療」「介護」「予防」「生活支援」の5つのサービスを一体的に提供できるケア体制を構築することで、高齢者の住居が自宅であっても安心・安全なサービスを毎日24時間利用できます。 地域包括ケアシステムの実現には、医療・介護の関係機関が連携して取り組むことが重要です。認知症高齢者や単身高齢世帯等の増加に伴い、医療や介護サービス以外にも、在宅生活を継続するための日常的な生活支援を必要とする方の増加が見込まれるため、地域社会全体の連携ケアを実現できるよう、医療・福祉・行政をつなぐ存在が今後も求められます。31

元のページ  ../index.html#62

このブックを見る