系統別学問内容リサーチ
人文科学系統
文学・語学の分野
“言語動物”である人間が、文字と言葉によって芸術や作品を生み生活を愉しみながら、考える力・洞察力・観賞力・コミュニケーション力を培養する古くて新しい「教養」ジャンル。
分野の特徴
文字による表現を味わい、人間の奥深さを学ぶ「文学」
文学・語学は、どちらも人間の言葉や文字を研究する学問です。
動物の中で人間だけが使いこなせる「言葉」について、文化の側面から学ぶのが「文学」、コミュニケーションの道具という側面から学ぶのが「語学」であり、研究対象とアプローチ法が異なっています。
文学の主な研究対象は、小説や戯曲、詩歌や評論など、主に人間の感情や思想を文字で表現した「作品」、あるいは講談や落語など《話し言葉》を用いる「口述話芸」です。そのほか、文学や、絵画、音楽として表現された芸術を鑑賞し批評することによって書かれる「評論」も文学の1ジャンルになります。
文学作品を読んで、人間の心の中(奥深さや罪深さ等)を味わうとともに、作品が書かれた時代背景などを研究します。また、作者の人生を追い、作者の物の見方や考え方を探ることも重要なテーマです。これらを通して、人間の生き方について深く考え、自分自身の物の見方を養うことが究極の目標といえます。
言葉を科学的に研究し、対話と交渉能力を養う「語学」
語学は「言語」、とくに私たちが日常的に使っている「話し言葉」を中心に研究する学問です。人間は、話すことによって互いの意思を通じ合うのに加え、物の名前や「愛」「悲しみ」といった抽象的な概念を言葉で表現し、世の中の物事や現象を理解しています。この、人間が「道具」として使う言葉について研究することが語学のテーマです。学問の基礎となるのは「言語学」で、言葉の構造やはたらき、発音や音節のしくみ、言葉と意味との関係を科学的に研究します。
語学で重視されるのは、日常的な会話をはじめ、自分の意見を表現するとき、人と議論するときなどに必要な外国語の知識と対話能力です。専攻する外国語のスキルに加え、世界の共通語である英語を身につけるのが普通です。
国際的な舞台で活躍する通訳や外交官、企業の海外駐在員をめざすには、言葉だけでなくその国の文化や社会、歴史などについて幅広く学び、総合的な知識を身につけることが大切です。
何を学ぶ
文学作品を通じて、読解=洞察力と思考力を身につける
「文学」を学ぶ基本は、作品に描かれた「人間」を追体験し、喜怒哀楽に共有することです。
大学ではまず、さまざまな文学作品に触れて、解読法や表現技法(語彙・比喩・語り口)、鑑賞法など、文学研究のスキルを身につけます。たとえば日本文学では、古典文学や近現代の小説、漢文学までバランスよく学んだのち、専攻テーマを選ぶのが普通です。また外国文学では第一にその国の言語のマスターを目指します。小説や詩歌、雑誌記事、評論などを原書で読みこなすとともに、その国の文化や社会、歴史、政治の知識を学びます。
時代や国ごとの「文学概論」、「文学史」「作家論」といった講義科目に加えて、数人で順番に読みながら議論する「講読」、一人の発表をもとに、質疑応答や討論を進める「ゼミ(演習)」という授業形式もあります。作品の世界を深く理解することに加えて、作品と作者を批評的な視点で捉える姿勢を養うことで、思考力や洞察力を鍛練します。
コミュニケーション能力を軸に、言語の知識とセンスを磨く
「言語学」でことばの仕組みや構造ついての基礎を学ぶとともに、《聞く・話す・読む・書く》という外国語の運用スキルを高めることが、「語学系」の大きな柱となります。母国語の話し手によるニュースや演説の録音を聞き取ったり、実際に対話や討論など、さまざまなコミュニケーションシーンを体験ことで、局面局面に応じたコトバの用法を体得します。会話に関しては、日常会話からビジネスの場面で使いこなせるレベルまで、文章に関しては、新聞記事や小説、基本的な論文が読める程度まで、つまり海外での生活に不自由のないほどにマスターすることを目指します。
授業では、各地域の文化や社会をトータルに学ぶケースが多いですが、語学の専門家となるために通訳や翻訳への専門コース、「比較文化」「地域研究」を中心とした各国の社会事情を学ぶコース、国際関係や国際協力を専攻するコースなど、いろいろな学び方が可能です。
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世界を見晴らす力を京都から <人文学科>
日本の「歴史」「文学」「社会」が研究対象。京都を中心に学び、人文学への理解を深めます。みずからの考えを他者に伝える方法も学び、レポートやディスカッション力も養います。2年次には関心のあるテーマに合わせて、寺社や仏閣、史跡など多様な場所をめぐる、6か月間の長期フィールドワークを実施。日本や世界各地で研究を進め、新たな視点を手に入れます。
京都精華大学 国際文化学部