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人文科学系統

文化学の分野

文化学の分野

世界の文化の多様性を土台に、古今東西の人や文化を総体的として比較。それぞれの文化特有の尺度や思想を発見・分析するジャンル。現地での「フィールドワーク」の研究手法がキモ

分野の特徴

文化の総体を、社会とのつながりから研究する

 文化学は、人間が営む「文化」をさまざまな角度から研究する学問です。文学、語学から社会学、歴史学、地理学、人類学など、人文・社会科学にまたがる幅広い研究手法を融合して「文化」の総体を捉える学際的な学問といえます。
 研究対象は、人間の衣食住に関わる「生活状況」から習俗や冠婚葬祭などの「生活習慣」、法やしきたりなどの「社会制度」、さらに言語や芸術といった「表現文化」まで、人間の生活と社会のあらゆる領域に広がっています。
 世界の各地で営まれている文化を“人類の発展”という視点から捉える「文化人類学」を基礎に発展した新しい学問領域で、世界各地の現地調査をする《フィールドワーク》が重要な研究手法になります。社会学とも似ていますが、社会学では、モデルなどを用いて社会の法則や原理を探るのに対して、文化学では、個別社会ごとに特徴的な物の見方(=尺度)や思想を、人や文化の視点で考えるという、手法の違いがあります。

世界の文化の多様性を理解し、国際的な交流をめざす

 文化学が発展した背景には、西欧近代において世界に対する考え方(世界観)が大きく転換したことがあります。いわゆる大航海時代に、アフリカやオーストラリアなどの《新世界》に出掛けた人たちが目新しい文化に触れたことで、それまで、西洋と東洋という2つの枠組みで捉えていた世界観に代わり、自分たちの文化を世界の中で相対的に見直してみようという「比較文化」の視点が導入されたのです。
 世界各地の、多様な文化の中で暮らす人種や民族を深く理解することで、お互いが本当の意味で豊かに暮らせる社会を築くにはどうすればいいのかを考えることが、文化学の一つの目的です。
 一方で、メディアやコミュニケーションの深化・発展、人類のグローバル化の進展など、現代的な文化現象を研究テーマにすることも文化学の特徴で、一つの視点・ジャンルに深く切り込む、あるいは複数の要素を比較・検証するなどアプローチ法もさまざまです。

何を学ぶ

歴史学や地理学ともリンクする広汎な研究領域

 「文化学」は、研究対象が広範であり、学生の興味や適性に応じてさまざまな「学び方」が出きる分野です。
 人類の文化の発展の道のりを実証する「文化人類学」や「考古学」を軸とする分野、世界の各地域の多様な文化を検証する「比較文化学」を土台に、世界の民族の文化を深く理解し、国際交流と国際協力の方策を探る研究領域があります。大学では、アジア、ヨーロッパ、アメリカなど地域別の文化を扱う「地域研究」のほか、現代の国際政治や経済を扱う「国際関係学」関連の講義科目を学びます。考古学、人類学の手法で野外で遺跡探索や発掘を行うフィールドワーク、さらに日本にいる外国人との交流や海外での実地研修、留学など、実践的なプログラムも含まれます。
 外国語はもちろん、身体や表情によるコミュニケーションなど、文化の異なる人と相互に理解を深めるためのスキルが大切となります。

現代社会で活躍するための実践的な文化研究も!

 一方、《都市》《情報》《環境》《メディア》など、現代に特徴的な文化現象の研究も盛んです。ここでは、こうした現代文化の特性と課題(あり方や生かし方)を新しい視点で見つめ直します。カリキュラムとしては、まず、「都市論」「マスメディア論」「情報文化論」「環境文化論」など、社会の諸側面に関する講義科目を基礎として学んだうえで、自らの専攻を選んで専門研究に進むのが一般的です。
 また、《メディア》関連では、新聞・雑誌の取材、原稿執筆や映像制作の技法、《環境文化》関連では、環境評価や社会調査の技法、《情報文化》では、コンピュータの利用法やデータベース、ネットワークの構築など、実践技術を修得するための科目も重視されます。
 さらに、ビジネス英会話、企画力やプレゼンテーションの能力、対話と交渉術など、社会で活躍できる社会人となるための「キャリア教育」に力を入れる大学も増えています。