系統別学問内容リサーチ
理学系統
理学系学際の分野
既存の諸科学を融合した学際的な手法で科学の新局面を追究。《広域科学》の分野と似た内容ですが、「環境」「情報」「物質」「生命・バイオ」「システム科学」などの実践テーマに取り組む
分野の特徴
理学の専門研究者を結集して、実践的テーマを研究する
理学系学際の分野は、理学的な視点で、実践的なテーマを研究する分野です。
その名のとおり、伝統的な学問を融合した学際的な手法を特徴としており、たとえば「環境」「情報」「物質」「生命・バイオ」「システム科学」といったテーマがあります。従来の理学研究では、実験や観察を重ねることで、自然現象についての法則や原理を明らかにするという基礎研究がメインでしたが、この分野では、現代の社会に密着したテーマや、将来の理学研究に課された最先端の領域を扱うことが一般的です。
学問手法としては、数学・物理・化学・生物学・地学という理学5分野のみならず、理工学系から社会科学系まで、あらゆるジャンルの研究者が集まってくることが特徴で、専門を異にする人たちの中で知的刺激が生まれること、理学(基礎)から工学(応用技術)の幅広い分野を学べること、さらには、それぞれの最先端の知識が身につく点など、他の理学系学問にないメリットがあります。
伝統的学問の“学際”に、新機軸の研究領域が発展
自然科学研究の世界では、古くからの学問的な枠組みを見直す動きが活発になっています。伝統的な5分野の境界にある学際的な領域から、新しい学問が生まれています。たとえば「情報科学」「環境科学」「物質生命科学」「数理科学」といったジャンルがそれであり、こうした学問名を掲げる大学も増えています。
たとえば、情報科学は、自然・社会の現象を《情報》という切り口で分析し、現象を分析するための数学的・論理的な方法論を研究する学問です。数理科学は、自然界に存在する数理的な問題を見つけ、自然現象をモデル化して分析したり、シミュレーション技術によって再現します。また環境科学では、自然環境と社会環境の共存をめざして、環境汚染の修復やエネルギー開発などのテーマに取り組みます。
どの学問も、自然現象への科学的究明を踏まえつつ、よりいっそう社会の発展に寄与することをめざし、壮大なテーマに挑戦する研究分野といえます。
何を学ぶ
数学・物理学を軸に、未知の領域を拓く創造力を養成
大学によって、独自のカリキュラムを採用していますが、非常に幅広い専門科目を履修できる点は共通しています。
たとえば「数物理学科」では、《数学情報》と《物理情報》の2コース制。専門科目は「数学」「物理学」と、その中間に位置する「情報」の3領域に分けて設置され、全員が3領域の基礎分野を共通して学んだのち、コースごとに必要な科目を3領域から選んで履修します。
また“物理、化学、生物を学べる総合理工学科”という理念を掲げる「物質生命理工学科」では、理学の全般にわたる多彩な科目を受講し、未知の領域を自ら拓く創造力と、基礎学力に裏打ちされた豊かな発想力を身につけます。
専門課程では、《物質・ナノサイエンス》《バイオ・ライフサイエンス》《環境・エネルギー》というコースに分かれて、基礎科学による技術革新が期待される最先端の研究テーマに取り組みます。
環境汚染や水質調査、大気分析など科学の粋を結集
もう一つの共通点は、社会に貢献できる実践的な研究領域、あるいは科学の未来を担う最先端領域の研究者をめざし、基礎から応用まで段階を追って学べることです。
現代の社会で解決すべき大きな研究課題のひとつ、《環境》をテーマとした「環境科学科」では、理学のあらゆる手法を駆使した学際的なアプローチで、動植物の生態保護、環境破壊の防止のための基礎技術の研究に取り組みます。
具体的には、物理、化学、生物学などを基礎からじっくり教授する科目とともに、自然観察,環境汚染状況の観察や水質調査,大気分析など数多くの「環境野外実習」が開講されます。とくに生物環境の基礎概念を修得するための「生物環境プログラム」も用意されています。
そのうえで、自然の動植物の保護および生物機能の利用をテーマとする《自然環境》、環境にやさしい物質やエネルギー開発をめざす《環境ケミストリー》の2コースに分かれて履修します。