系統別学問内容リサーチ
農学系統
農学の分野
穀物や野菜、果物などの農作物をつくる「農業」の技術を総合的に研究する分野。農業生産に品種改良などの新しい技術を導入し、収穫量の増加と作業の効率性の向上をめざす実践学問
分野の特徴
効率がよく、収益性の高い農業生産技術を研究・開発
農業は、穀物(米や麦など)、野菜・果物といった農作物を作る「農業」の技術を研究する学問です。
もともとこの分野は、農耕のための実用学として生まれた学問でした。農耕民族である日本では、稲の収穫量を上げたり、農地の災害に対処するといった農業の知識が、祖先からの口伝えなどの形で蓄積されてきました。西洋農業が導入された近代以降は、科学的な裏づけを得たことで、大きく研究が進展し、湿潤な日本の気候にあった栽培法が定着しました。いまでは、多くの作物が季節を問わず収穫できるようになるなど、より効率の高い農業生産技術が確立しています。
西洋農学が導入された近代以降の主なテーマは、農作物の品質向上と、農業生産の効率化です。品種向上では、成長が早い、収穫量が多い、悪環境や病気に強いといった、優れた特性をもつ品種の開発が中心となります。効率化では、土質や水質など農地環境の改善、栽培法の改良、肥料や農薬などを研究します。
農業生産の技術と、新しい品種の開発を研究する
農学の研究領域は、次の4つから構成されます。単に「農学」と呼ぶ場合には、4つを統括した広義の学問領域のことを指すことが多いようです。
1. 「農芸化学」:農薬・肥料や、農産物の加工など化学的テーマを研究します
2. 「農業経済学」:農産物の流通、食糧問題など、経済的テーマを研究します
3. 「農業工学」:農地や農業施設、農機具など、工学的なテーマを研究します
4. 「農学(狭義)」:農業全般。特に農業を向上させるための技術を研究します
狭義の農学の主な研究テーマとなっているのが、農作物を栽培したり、品種を改良するための技術です。農作物の栽培法を研究する「作物学」、植物の品種を遺伝的に改良する技術を研究する「育種学」、害虫の種類や生態を研究し、効果的な防除方法を研究する「昆虫学」などがあります。
また、農学から派生した学問もあります。
5. 「園芸学」:主に、野菜や果物、草花などの園芸作物、庭や公園の整備を研究します
何を学ぶ
植物の性質を体得し、作物の栽培法、品種改良技術を学ぶ
農作物の《植物》としての基本的性質を深く理解し、栽培や品種改良について総合的な知識と実践技術を修得することが目標となります。
したがって、基礎課程ではまず生物学を土台として、農業で育てる植物についての科目を学びます。「植物遺伝学」「植物病理学」「系統分類学」により、植物学の基礎理論と実験手法を修得します。
農業生産に関する領域は、大きく《植物の育て方や殖やし方》に関する科目と、《自然環境の条件》に関する科目に分かれます。
育て方・殖やし方の分野では、食用作物や工芸作物の基本的性質と栽培・品種改良の技術を学ぶ「作物学」「栽培学」「育種学」があります。また、自然環境の分野には、気候の変化や気象条件に関する知識を学ぶ「農林気象学」、昆虫による受粉技術や病害虫の駆除について学ぶ「応用昆虫学」、農地の土質と土地改良の技法を学ぶ「土壌学」「肥料学」などがあります。
バイオテクノロジーを導入した「園芸作物」の新技術も
農学の分野では、植物や微生物について遺伝子・分子のレベルで解明する生物工学(バイオテクノロジー)の応用研究が盛んに行われています。大学では、こうした最先端の理論や、分析手法なども重要な学習項目となります。たとえば、「遺伝子細胞工学」「発生工学」といった科目があります。
また、収穫後の農作物の保存や加工に関する技術(農芸化学系)、農業生産の環境に関する基礎技術(農業工学系)、農家の経営や経理、農作物の流通についての専門知識(農業経済学系)も学び、学習項目は多彩です。
この分野には、野菜や果樹、花卉(花をつける草や木)を対象とする《園芸学》の領域も含まれます。園芸作物に独特の生理的知識(開花・結実)を基本に、バイオテクノロジーを導入することによる新しい栽培・増殖の技術、鮮度を保つ輸送方法などまで、幅広く扱います。「蔬菜(野菜)園芸学」「果樹園芸学」といった科目があります。
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吉備国際大学 農学部