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医療・保健系統

薬学の分野

薬学の分野

病気の治療、健康管理、衛生環境の視点から、医薬品をはじめとする「薬(くすり)」について、総合的に研究する学問分野。家庭用の洗剤や殺虫剤といった生活用薬剤や化学物質も対象

分野の特徴

病気治療や生活に用いる「薬(くすり)」の総合学

 薬学は、病気の治療や予防に使われる医薬品をはじめ、「薬(くすり)」を総合的に研究する学問です。
 医薬品を中心に、健康維持や栄養補助に用いる薬剤や食品、そのほか、家庭生活で用いる薬剤や化学物質、たとえば、洗濯や清掃に用いる家庭用洗剤、消毒薬、殺虫剤、殺菌剤など研究対象となります。
 薬学には大きく分けて、次の2つの研究領域があります。
1. 「基礎薬学」…よい薬を開発することを目的とする領域です。薬を作る化学物質の「薬効」や「毒性」の化学的な分析を基礎に、薬の効き目や副作用など、人体への影響を検証し、身体への負担が小さく、効果の高い薬を開発することをめざします。
2. 「医療薬学」…薬を正しく使うことを目的とする領域です。医療現場で医師をサポートし、患者のケアをするための実践技術が中心で、幅広い薬品の知識を元に、薬の調合や投薬、患者の健康管理、医薬品の管理といったテーマを扱います。

「薬剤師」をめざすコースでは、実地研修を延長

 薬学の分野は、数年前の大改革により教育システムが大きく変わっています。
 2006年度から、大学の薬学部と薬剤師試験の制度が大幅に変更され、名称は同じ「薬学部」でも、次の2つの教育ルートに分かれています。
1. 基礎薬学を学んだ後に、医療薬学を学ぶ(従来の薬学部と同じ)
2. 基礎薬学を学んだ後に、医薬品の研究や開発に関する専門科目(製薬学など)を履修する
 1の課程は、病院や薬局などで働く「薬剤師」をめざすコースです。患者に薬の飲み方や食事の注意などのアドバイスをしたり、医療チームの一員として投薬治療に関わるための実践能力の養成が目的となります。修了年限が4年制から6年制に延長され、病院・薬局などの医療現場での24週間の研修が課されるようになりました。
 2の課程は、医薬品の研究者や開発者をめざすコースです。修了年限は4年制ですが、大学院に進学して高度な専門知識を修得することが前提となります。

何を学ぶ

「薬学」の土台をつくる化学、生物学、医学の基礎

 薬学の理論的な土台をなすのは化学、とくに有機化学の分野です。
 基礎課程では、このほかに、医薬品の開発研究や品質管理に欠かせない無機化学、分析化学、高分子化学といった基礎化学系の科目、さらに生理学、生化学、微生物学などの生物系の科目で、薬学に必要な素養を身につけます。
 入学当初から《薬剤師》と《研究者》のコースに分かれるケースでも、「基礎薬学」の段階は共通であり、主に、薬学と医学のもっとも基本となる部分を学びます。薬学系では、薬品が生物の身体に与える影響を学ぶ「薬理学」、医薬品や食品添加物の成分と人体への影響を学ぶ「衛生薬学」、医学系では、人体の基本的な構造と機能、主な疾病を系統的に学ぶ「解剖学」「免疫学」「病理学」などの科目があります。
 そののちに、研究者養成のコースでは「製薬学(創薬学・薬科学)」、薬剤師をめざすコースでは「医療薬学(臨床薬学)」について、専門的な科目を受講します。

製薬学系でも、医療薬学系でも高度な専門科目を履修

 製薬学の専攻では、「物質」としての薬を科学的に理解するための、化学や物理化学(物質科学)系の科目が重視されるのが特徴です。
 さまざまな薬品を分子のレベルで分析し、微細な構造や機能を理解する「薬化学」「薬品物理学」「薬品分析学」「天然物化学」、薬品の合成方法と生産工程を研究する「薬品合成化学」「製薬化学」、さらに微生物の成分を分析し、医薬品として利用する技法を学ぶ「生物薬学」などの科目があります。
 一方、医療薬学の専攻では、医薬品が人体に及ぼす作用(吸収、代謝の過程)を理解し、治療のための医薬品の処方を修得します。「臨床薬剤学」「薬剤治療学」「薬理学」「薬物動態学」などの科目があります。理論と技術をしっかり身につけたのち、薬剤師になるための実践教育として、病院・薬局などの医療現場で24週間の研修が課され、投薬した患者の薬効、副作用を確認するなど実践教育を受けます。

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