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教育系統

総合科学の分野

総合科学の分野

教育が持つ“総合性”に着目し、教員以外の人材育成のために登場した新領域。人文・社会・自然科学を統合して、現代の社会的テーマの解決にチャレンジ。高い教養と学識の修得が目標

分野の特徴

現代の社会的テーマに「教育」の視点で取り組む

 総合科学の分野は、教員養成系から派生した分野で、教員以外の幅広い人材育成を目的とした学問です。教員採用数が少なくなった1990年ごろから、教員養成系の学部の改組によって登場した新しい学際領域で、その名称のとおり、特定の分野に偏らず《総合》的な視点で、解決が迫られる地球規模の課題や新しい学問潮流から生まれたテーマに取り組みます。
 学問手法としては人文・社会・自然科学を統合して研究に向かう点が大きな特徴です。いわゆる“教養としての学力”や、社会人・職業人に必要となる“幅広い学識”を養うことにより、社会や環境の変化にも対応し、自立した考えで将来の社会の創造を担う人材をめざします。
 研究テーマとしては「環境」「福祉」「国際交流」「人間科学」など多岐にわたっています。教育学を基礎に置く総合科学では、これらのテーマを「生徒に教えること」「社会に広く知らしめ、問題提起すること」という視点で研究することが特徴となります。

国際交流や環境、福祉、情報など扱う領域は多彩

 総合科学には、人文・社会・自然科学の幅広い領域にわたる研究テーマを含みますが、これらを分類すると、おおむね次の4つにまとめることができます。
1. 「国際文化系」:外国語と比較文化を中心に学び、国際的な視野を養います
2. 「情報文化系」:情報化社会を検証し、コンピュータの実践的活用法を習得します
3. 「環境系」:環境と人間の関わりを研究し、自然環境との共存について考えます
4. 「生涯教育・福祉系」:生涯教育、子供の発達支援、スポーツ・健康・福祉などのテーマを研究します。
 また、「環境+情報教育」「人間発達+環境」など、これらの中から、複数の領域を統合した《複合系》もあります。
 そのほか、国際文化から一歩進んで、他民族の人々との交流を考える《国際理解教育》《国際共生社会》、理工系の不人気や理科離れが指摘されるなか、科学的な物の見方を養う《自然科学系》といったテーマもあります。

何を学ぶ

学生の自主性を重んじ自由度の高いカリキュラム

 たくさんのテーマに取り組むこの分野では、早い時期から専攻やコースに分かれることが多く、基本から応用、理論から実践まで幅広く設置された専門科目から、将来の進路や興味に応じて学生が自由に選べるのが大きな特徴です。
 多くの場合、テーマ設定の段階から学生の自主性に任せられます。問題の所在を自ら見出し、情報や資料を集めて問題の本質を見つけ、さらに問題解決の方法を工夫して見つける、という学習の手順により、これからの社会人として必須の問題処理能力を身につけます。
 学習内容としては、通常4つほどのジャンルの分類されます。まず《国際文化系》では、英語を中心とした外国語の運用能力を養うとともに、「コミュニケーション論」「比較文化論」といった科目で異文化への理解を深め、「英語ディベート」「スピーチ」「日本語教授法」で、国際交流やその現場で役立つ実務能力を身につけます。

国際・情報・生涯教育・自然環境などが4大ジャンル

 また《情報文化系》では、情報社会の実態、情報の倫理と情報管理について理解し、コンピュータ、ネットワークなど情報通信技術(IT)の活用法、Webサイト構築、Webのデザイン技法、静止画や動画の画像処理といった実践技法を学びます。
 《生涯教育系》では、「地域社会学」「社会調査法」「博物館学」といった科目を履修し、地域の歴史文化探訪、街づくりの実践など、高齢化社会でニーズが高まる生涯学習の主要なテーマに取り組みます。
 さらに、《自然・環境系》では、理学や工学に加えて社会科学の視点で、人間と「自然や環境」「資源やエネルギー」といったテーマに取り組みます。「生物化学」「分析化学」で、自然環境の分析技術を身につけ、「環境システム制御」「環境材料工学」「環境エネルギー学」といった工学系科目、さらに環境保護行政や制度についても学びます。