系統別学問内容リサーチ
総合学際系統
国際関係学の分野
世界の国々の実情をとらえ、地域が抱える問題について研究する学問。民族固有の文化を理解しつつ、「世界の政府」「世界の市民」、「国連」による安定した国際社会づくりが一大テーマ
分野の特徴
民族の価値観を尊重し、共存できる条件を探る
国際関係学は、世界の国々と民族の関係について研究する学問です。国や地域の社会の実情を捉え、地域が抱える問題をさまざまな角度から検証して、解決策を探ります。外交や開発援助、文化交流などを通じてよい関係を築き、平和で友好的な国際社会を築くことが大きなテーマです。
地球上には、先進国と発展途上国、西欧諸国と中国、インドなどの新興国、資本主義国とイスラム圏など、さまざまな歴史と文化をもち社会問題や事情を抱えた国があり、それぞれの異なる価値観で人々が生活を営んでいます。
こうした多様性こそが、人間社会の豊かさを生み出す源泉です。それにもかかわらず、実際の世界では、民族や宗教観の違いからの反発のほか、過去の戦争や侵略が残した遺恨、経済的利害の対立など、さまざまな理由による紛争が絶えません。国際関係学では、こうした紛争をなくし、立場が異なる人々が共存していくための条件を、政治・経済・社会の分析を通して探っていきます。
国際機関、地域連合やNGOの果たす役割を研究
20世紀後半の東西冷戦の時代が終わり、国際社会は今、大きな変革の時期にあるといわれています。超大国であるアメリカ一極化が進むことは、各国からの反発や懸念も多く、国の代表を集めた国際連合の主導によって、なるべく公平で対等な国際関係の枠組みを作ることが必要になっています。
また、地球温暖化、世界同時不況、資源・エネルギーの枯渇、人口爆発と食糧問題など、世界の国々が協調して、解決すべき問題が次々に生じており、ここでも国連やヨーロッパ連合(EU)など、国際機関の役割が期待されています。
国際関係学の学問的な基礎は、国や民族によって異なる文化と社会を、比較検証によって明らかにする「比較文化学」と、国どうしの外交関係を研究する「国際政治学」の2つの領域です。また、国どうしの関係、国際連合、EUなどの地域連合、NGOや民間交流機関など、国以外の組織についても分析・検証の対象となります。
何を学ぶ
各国の事情を学び、海外で活躍するための国際感覚を養う
世界の国々や地域の《政治、経済、文化、社会》を総合的に捉え、相互の関係を深く理解するための基礎として、歴史学や文化学、経済学、政治学、社会学といった人文・社会科学系の研究手法を学びます。また、「比較文化学」「国際政治学」「比較社会学」といった科目で、国際的な視野と感覚を養い、現代の国家関係や地球的な課題に取り組むための基礎知識を修得します。
この学問分野では、国際的な共通語となっている「英語」が重視されます。少人数授業での徹底した学習により、「聞く・話す・読む・書く」という総合的な英語の実力を伸ばすとともに、日常会話からビジネス会話、専門的なディスカッションにも対応できるレベルの高度なコミュニーケション能力を身につけます。さらに、国や地域別の実情をフィールドワークや資料によって検証する「地域研究」、専攻言語としての第2外国語の履修は必須です。
平和と安全、地域開発援助、国際交流が3本の柱
国際関係学の大きな柱となっているのが、平和と安全保障(政治)、開発援助と国際協力(経済)、比較文化と国際交流(文化)という3つの領域です。
専門課程では、この3領域の組み合わせでカリキュラムが構成されており、まず全領域をバランスよく学んだうえで、一つまたは複数の専攻ジャンルを決めて高度な課題に取り組みます。
平和と安全保障の領域では、「国際関係史」「国際安全保障論」国際平和論」「国際法」など、主に政治や法に関する科目を履修します。
開発援助と国際協力では、「国際経済学」「国際開発論」「多国籍企業論」など、経済や経営に関する科目が中心で、国連や国際機関、NGOの役割についても学びます。
比較文化と国際交流の領域では、文化・社会の側面を中心に、国際社会にメディアが果たす役割についても学びます。「異文化コミュニケーション」「文化交流論」といった科目があります。