テーマ 法律・公共 裁判所
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どんな分野?
訴訟大国と呼ばれるアメリカはもとより、欧米の主要先進諸国に比べても著しく不足しているといわれる日本の法曹人口。日本では今、有能な法律実務家の育成が急務であり、法律専門職大学院の設置や司法試験改革など人材養成の取り組みが始まっている。
元々日本には、個人間の利害対立やトラブルを公的な裁判に訴えて解決することは避けてきた国民性があるが、近年の企業間の国際競争の激化、あるいは特許や商標権など知的所有権の対立などにより民事紛争の増加は著しく、否応なく係争に巻き込まれるケースが増えている。
さらに、ネット犯罪や詐欺の手口の巧妙化など、新しいタイプの犯罪の登場という社会情勢もあり、裁判所の役割はますます大きくなっている。
活躍の舞台
裁判所で働くには、「法律学」を専攻して日本の法律体系を学び、法律の理念や法の解釈と適用を習得する必要がある。法律学は、主に公(おおやけ)に関する事柄を定めた「公法」分野と、主に市民生活(たみ)に関する事柄を定めた「私法」分野に分かれる。
公法には、国民に対する国家の責任を定めた「憲法」、国や自治体の具体的な役割を定めた「行政法」、犯罪となる行為と処罰の方法について定めた「刑法」などがあり、私法では私有財産の扱いや私人間の契約や取引について定めた「民法」、主に会社のルールについて定めた「商法」を中心に学ぶ。
また、政治学や社会学、経済学、商学、経営学など、社会の諸現象についての基本的な知識も重要な学習項目となる。
学問へのアプローチ
裁判所で働く仕事には、裁判で依頼者の立場で意見を述べる「弁護士」、刑事裁判で国家の立場から被告人の処罰を求める「検察官」、この両者の意見を聞いて法律判断を下す「裁判官」がある。民間人として市民の代理人となる弁護士に対して、裁判官は、検察官とともに「官」の仕事(公務員)である。
そのほか、家庭裁判所で家事事件や少年事件の調査を行う「家庭裁判所調査官」、総務、会計、人事などの裁判所事務や裁判所書記官の補佐業務を行う「裁判所事務官」という職種もあり、それぞれの採用試験(公務員試験)が実施されている。なお、裁判の記録や判例の調査業務を行う「裁判所書記官」になるには、裁判所事務官に採用された後、一定期間研修を受ける必要がある。