テーマ 法律・公共 公共政策
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どんな分野?
日本では、戦後以来長年積み重ねてきたシステムの見直しが急務となっている。1980年代以降、政府は社会の効率性と公平性が高まると信じて、鉄道や通信、郵政、福祉など公共的な業務の「民営化」を進めてきたが、逆に中央と地方の格差は拡大しており、不採算部門の切り捨てに過ぎないという批判も上がっている。
長引く不況や少子高齢化、地域医療の崩壊など構造的な問題の解決は、利潤追求を前提とした民間に委ねるだけでは成功せず、行政と企業、受益者である住民が協力してシステムを根本的に改革していく「公共政策」の考え方が不可欠だといわれている。政治・教育・医療福祉などの問題点を包括的に捉えて公共政策を立案し、実施する政策実務家へのニーズが拡大している。
活躍の舞台
公共政策の理念に基づき、高度な政策能力を備える実務家を養成する公共政策大学院」(専門職大学院)の制度が、2003年度からスタートした。
大学の研究分野としては、行政や地方自治の問題を扱う「政治学」(特に行政学)と、具体的な政策課題を扱う「政策科学」(総合政策学)が中心となる。いずれも公共的な政策によって解決すべき「社会問題」の本質を見きわめるため、経済や社会、歴史、文化などあらゆる角度から検証することがテーマ。そのうえで具体的な政策立案を提示することが目標となる。
そのほか、経済指標や産業生産などの現状分析、人々の意識や行動についての社会調査により、社会の実態を明らかにする「社会学」からのアプローチもある。
学問へのアプローチ
公共政策を専攻した人の進路としては、まず地方自治体や政府においてさまざまな政策を立案し、その実践にあたる「公務員」がある。
国家公務員になるには国が実施する公務員試験に合格した後に、各省庁や個別の機関に採用される。就職に際しては、経済や法律のほかに土木、農業、医療、教育など専門の政策分野をもつことが大きな強みとなる。さらに、これらの個別の政策分野でより高い専門性を身につけることで政策秘書となり、将来議員をめざす道もある。
民間企業でも、公共政策を生かせる職種はある。たとえば公共開発を担当する土木・建設業や環境コンサルタント業、あるいは医療や教育などの公共的な要素の強い業種で能力を発揮することができる。