テーマ 法律・公共 司法制度改革
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どんな分野?
社会生活において不都合が生じた場合、公正で中立な立場からの「司法サービス」を受けることは憲法で保障された国民の権利である。こうした視点から法曹養成制度改革、裁判制度改革、司法の役割の周知やサービスの向上など、国民に寄与するための司法制度の改革が進められている。
「裁判員制度」の施行(2009年)以降は、一般市民から無作為に選ばれた人たちが刑事裁判の審理に参加するため、専門家ではない一般人の「市民感覚」が裁判に反映できるようになった。一方で日本の裁判員は、有罪・無罪の判断だけでなく量刑の決定にも影響を及ぼすため、精神的な負担が大きいといわれており、これを軽減することが大きな課題となっている。
活躍の舞台
司法制度について研究する場合に中心となるのは「法学」系の学部だ。大学では、国の基本法としての憲法、犯罪と刑罰について定めた刑法、社会のさまざまな利害調整について定めた民法、そのほか商法、訴訟法、労働法など日本の法体系を学び、リーガルマインド(法的センス)を身につけることが基本となる。
司法制度とは、法律に書かれた文言を社会で実現していくためのシステムである。正しい司法制度について考えるためには、法律の社会的な位置づけ、法意識などにも気を配る必要もある。そのため、法律の解釈を学ぶ科目以外に、法律の歴史や法にまつわる社会思想を学ぶ「法制史」「法思想史」「法社会学」も重要な学習項目となる。
学問へのアプローチ
近年は裁判員制度のほか、市民の法律相談や弁護士の紹介を業務とする「法テラス」、社会人からも司法の道をめざせる「法科大学院」などの改革も大きな注目を集めている。司法の役割は社会正義と平等を実現すること。そのため、豊富な法律知識と実務能力はもちろん、社会的な責任感と人間性、リーダーシップや協調性が大切になる。
法律の専門家になるには、大学での勉強を経て司法試験に合格したのちに、司法修習生として一定の期間、実務知識や技能を修得する。修習終了後には、裁判官・検察官という公務員になるか、あるいは弁護士として法律事務所に勤務する。また、民間企業で契約問題や法的トラブルを解決する法実務家になるという選択もある。