テーマ 法律・公共 地方自治
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どんな分野?
自治とは「自分たちで(社会を)治める」こと。住民たちが各地域の問題について話し合い、行政と協力しながら解決していくのが理想的な地方自治のあり方だ。
日本では、政府が国策のもとにリーダーシップを発揮し、全国を統括する中央集権型の政治スタイルによって現在の経済大国が築かれた。その半面、地方が中央政府に従属しがちとなり、地域主体の行政サービスが行き届きにくくなった。ほかにも「重要な決定を国に委ねてしまう」「政策実行に時間がかかる」といった弊害が指摘されている。
そこで近年は、地域の人々が主体となって政策を実現しようという地方分権の流れが強まっている。各都道府県の知事たちも、国が握っている権限や財源を地方に委譲させようと働きかけている。
活躍の舞台
地方自治の問題について総合的に学ぶには「政治学」を専攻するのが一般的な進路だ。政治学の1ジャンルとして、行政や地方自治に関する研究を主要なテーマとする「行政学」がある。行政の成り立ち、自治体における政策の立案から実行、実施された政策の検証、地方財政のあり方、公務員制度や地方議会制度の検証、住民サービスのあり方といった多角的な視点から地方自治について学ぶ。
そのほか、地方自治が担う個別の政策課題を研究する方法もある。たとえば学校教育は「教育学」「教員養成」の分野、福祉については「社会福祉学」、街づくりについては「商学」「社会学」、住居環境については「建築学」「住居学」「環境工学」など、多彩なアプローチが考えられる。
学問へのアプローチ
不況の長期化で、地方自治体を取り巻く状況は厳しさを増しており、地方財政の建て直し、公務員削減など制度の見直し、福祉や医療など住民サービスの維持など、課題は山積している。
その一方で、大きな災害を体験した日本人の間では、改めて地域の絆が再認識されており、住民が協力して自分たちの問題に立ち向かおうという気運が高まっている。たとえば、高齢者同士が助け合う連帯の枠組み、学校や自治体と協力して子どもたちを見守るしくみ、住民と商店主による商店街の活性化対策、地域の名産品や文化の全国への発信など、さまざまな取り組みが始まっている。地域を自分たちでよくしよう市民たちが増えることで、日本でもようやく本来の「地方自治」が始まりつつある。