テーマ 法律・公共 NPO
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どんな分野?
大都市圏への一極集中を見直して、地域ごとの特異性を反映した自主的な発展を進めていくための条件として「地方主権」の必要性が叫ばれている。こうした動向を受けて市民の間にも、自分たちの地域社会に責任をもち公的な活動に積極的に参加していこうという意識が高まっている。
その有力な担い手の一つとして注目されているのが、NPO(特定非営利活動法人)だ。地域住民や有志の一般市民が自発的に集まり、公益的な事業を行う民間の団体で、「Nonprofit」(=非営利の)を冠した名称の通り、実践する事業は非営利目的に限られ、上がった収益も目的の事業そのものに還元する(再利用する)ことが義務づけられている。
活躍の舞台
NPOの仕事をめざすには、どの学部が有利ということはないが、社会科学系統の「法学」または「政治学」に進学することが望ましいだろう。いずれにしても法律や条例、制度などの側面に加え、地域社会の成り立ちや実態、さまざまな産業の実態などあらゆる社会の領域に関する知識を幅広く学んでおこう。「政治学」の中では、特に社会政策、公共政策といった分野、あるいは自治体の機能や役割、地域との関わりについて考える「行政学」という学問との関係が深い。
また、同じ社会科学系統でも、「経営学」の分野に進んで団体の組織運営や財務のノウハウを学ぶという方向性もある。さらに、現在の公益事業の社会的位置づけと活動実態を検証するには「社会学」の視点も有効となる。
学問へのアプローチ
この分野について専攻した人は、NPOの仕事のほか、自治体の職員、公益団体など主に公的な場面での活躍が期待される。
NPOは、公益団体などに比べて行政からの独立性が高いのが特徴で、福祉やまちづくりなどさまざまな場面で、市民の代表として行政を補完する役割が求められている。しかし、収益目的の活動はできないNPOは資金を確保することが難しい。そこで、これからNPOの公的活動をいっそう継続・発展させていくためには、市民の理解と協力が欠かせない。社会の中でにNPOの位置づけを明確にし、計画的に資金集めや人的サポートを行うなど、行政や市民を含めた地域全体でNPOを支えていくシステムづくりが課題といえる。
このキーワードについて学べる学問分野
社会学
家庭・地域・学校・企業など人間が作っている「組織」のしくみやはたらきを検証し、そこに生起する種々の現象を解析。社会病魔、福祉、環境、メディアといった現代的課題に迫る
経営学
人、モノ、カネ、情報を活用した「企業」活動の管理法と運営法を研究するジャンル。即戦力として実践的な知識と運用能力を養成するために、インターンシップ教育が盛んなのが特徴
法学
社会の公平さと我々の生活の安全を保つためのルールを学ぶジャンル。法律は、国としてのカタチを整える術、人々の行動の規範や手順のモデルでもあり、かつては万能視された時期も
政治学
社会を円滑に運営していくための方策=国家の形態、政治権力、それを生みだす人々の政治行動などを探求するジャンル。政治形態の歴史的推移や国家間比較なども重要な研究テーマ
社会科学系学際
資源枯渇、環境汚染、人口爆発、食糧不足、安全保障問題など現代的な大テーマに、従来の学問的枠組を超えてアプローチする新分野。「総合的な視点」「多彩なテーマ」がキーワード