テーマ 法律・公共 法律事務所
その他のキーワード
どんな分野?
刑事裁判の弁護人や紛争相手との交渉役など、裁判や訴訟に関するサービスを提供する弁護士の事務所。
伝統的に意見の対立を望まない日本では、家族や会社などで問題が生じた場合でも裁判に訴えることなく、話し合いで解決する傾向が強い。規則や刑罰ではなく、同情や共感によって社会の安定を保つという発想は日本の美点であり、これがトラブルの深刻化を防いできたという側面もある。
しかし、裁判を受ける権利を行使できないために「泣き寝入り」する弊害もあり、こうした法律弱者を専門家がしっかりサポートする必要性も指摘されている。そこで民間の法律事務所が窓口を設け、借金や雇用、相続、不動産といった身近なトラブルに関する相談を受けるなど、一般の人にも広く門戸を開くケースが増えている。
活躍の舞台
法律事務所に勤務して法律の専門職として働くには、大学で「法学」を専攻して、憲法・民法・刑法・商法などの法律科目を体系的に学習する必要がある。広範な法律知識や裁判の事例を修得することに加えて、解釈の根底にある法の精神(リーガルマインド)をしっかりと学びとることが大切だ。
法律の実務で最も重要なのは、複雑な事情をすばやく整理して理解できる情報処理能力、論理的に考えられる思考力、物事を公平に判断できる能力だ。また、時として人の一生を左右する場合があるので、強い正義感と責任感を養う必要もある。大学卒業後は司法試験に挑戦するか、専門職大学院の「法科大学院」に進んで、高度な実務知識を学ぶ道もある。
学問へのアプローチ
法律事務所で弁護士として勤務するには、司法試験に合格し所定の研修を受けた後に、各地の弁護士会に登録する必要がある。
裁判の場で、弁護人や代理人を務める弁護士以外にも、「パラリーガル」と呼ばれる法律事務所の事務職員への道もある。裁判に関わる法律手続や書類作成、契約書や資料の翻訳といった法的業務をこなす重要な仕事だ。
一般の市民が生活者の立場から「裁判」に加わる裁判員制度が導入されたことにより、専門家でなくても法律に意識を向けることが必要になっている。裁判制度を分かりやすく整理し、法律判断をより現実の社会に近づけていくためにも、法律事務所が役割は大きく期待されている。