テーマ 法律・公共 災害対策
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どんな分野?
起伏に富んだ地形や四季がはっきりと分かれた気候など、日本の地理的な特徴は、大きな地震をはじめ台風、土砂崩れ、大雪などの自然災害が多発する原因にもなっている。いざというときの被害を最小限にするには、建物の堅牢化や火災に耐える素材の開発、公共施設の耐震化対策、道路拡張などのハードウェア面のほか、食糧や物資の備蓄と配備計画、避難ルートの確認、災害時の連絡体制づくりなどのソフトウェア面からの対策も大切。そのため地方自治体を中心に、さまざまな取り組みが進められている。
また、各地域のレベルでは、災害の危険度を地域別に示したハザードマップ作成、住民全体が参加する避難訓練など、日ごろから災害に備える防災計画づくりが求められる。
活躍の舞台
進路としては、いわゆるゼネコン(総合建設業)を含む土木や建設関連の企業が筆頭に挙げられる。行政から発注される公共事業をはじめ、都市計画による住宅やビルの建設、市街地の道路拡幅などの場面で、大学で学んだ土木・建築の技術や知識を有効に活用できる。
政府や自治体の公務員でも、災害対策に関わる職種がある。公務員は事務系の仕事が中心となる「行政職」(事務官)と、専門分野の技術が必要な「技術職」(技官)に分かれる。 行政職では、防災化を進めるための政策や予算編成、調査や統計、防災意識を高める広報といった職務がある。技術職には、土木系の部門がある。技官として、公共施設や道路などの計画から管理、補修までを担当する。
学問へのアプローチ
災害対策について学ぶには、「土木建築工学」が代表的な学問となる。このうち「建築学」では、地震や火災などの災害に強い建築技術を学べる。また「土木工学」では、道路や鉄道、港湾、空港などの交通インフラ(=社会基盤)について学ぶ。また、この分野の中には、都市の環境と防災を総合的に研究する「都市工学」という専門領域もある。そのほか、自然災害の原因を究明する理学系統の「地学」からのアプローチも有効だ。
一方で、社会科学系統からの研究も欠かせない。たとえば「社会学」では、災害時のパニックやデマのメカニズムを研究したり、集団心理を研究したりする。さらに「社会科学系学際」の分野には、インフラ面に加えて法律制度も含めた総合的な災害対策を学べる領域がある。