テーマ 法律・公共 独立行政法人
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どんな分野?
「独立行政法人」とは、政府からの運営交付金を受けて公共的な事業を行う法人のこと。本来、市民社会の中では行政が担うべき事業で、実際にこれまで政府が直接運営していた部門のうち、組織の効率性や柔軟性、サービスの採算性といった見地から分離された新しい法人だ。無駄をなくし「小さな政府」を目指す行政改革の一端として2001年にスタートした。
たとえば、国立大学や国立研究所、博物館、病院などの事業がある。いずれも政府からは、組織や事業運営、経理会計に一定の独立性をもち、独自の裁量権のもとで事業を行っているが、組織運営や経理に問題を抱える法人もあり、採算性と公共性、透明性のバランスをとることが課題となっている。
活躍の舞台
独立行政法人と一口にいっても、その業種は医療や福祉、専門研究、教育、産業振興、年金など多種多様。公的団体の組織や運営に関する法律学、政治学の専門知識に加え、法人が担当している分野の基本知識を幅広く学んでおくことが大切だ。それにより、研究機関や福祉施設など専門性の高い独立行政法人での活躍のチャンスも広がる。また、国民生活の向上、社会や経済の安定を目的とした公的な事業なので、大学では専門性に裏付けられた職業意識に加え、市民に貢献するという高い倫理観を身につけておく必要がある。
そのほか、独立行政法人が担う公共的な事業について専攻した人の進路としては、政府や地方自治体の公務員、公共団体の職員なども挙げられる。
学問へのアプローチ
この分野を大学で専門的に学びたい人は、社会科学系統の「政治学」または「法学」に進むのが一般的な選択肢となる。「政治学」では、独立行政法人の制度や組織、担当する事業の性質、社会に果たす役割を研究する。行政改革や財政健全化などの課題について、公と民の役割分担の視点から考える研究分野もある。「法学」では、法律や条例の側面から独立行政法人を研究する。独立行政法人の法的な位置づけと社会的役割を理解したうえで、公的機関としての組織運営に関わる法律や規則などを学べる。
そのほか、公的な組織の人間関係、人事の問題を研究するなら「社会学」、公的な事業運営の実践手法を学ぶなら「経営学」という道もある。
このキーワードについて学べる学問分野
社会学
家庭・地域・学校・企業など人間が作っている「組織」のしくみやはたらきを検証し、そこに生起する種々の現象を解析。社会病魔、福祉、環境、メディアといった現代的課題に迫る
経営学
人、モノ、カネ、情報を活用した「企業」活動の管理法と運営法を研究するジャンル。即戦力として実践的な知識と運用能力を養成するために、インターンシップ教育が盛んなのが特徴
法学
社会の公平さと我々の生活の安全を保つためのルールを学ぶジャンル。法律は、国としてのカタチを整える術、人々の行動の規範や手順のモデルでもあり、かつては万能視された時期も
政治学
社会を円滑に運営していくための方策=国家の形態、政治権力、それを生みだす人々の政治行動などを探求するジャンル。政治形態の歴史的推移や国家間比較なども重要な研究テーマ