テーマ ビジネス ガバナンス
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どんな分野?
事業によって経済社会を動かし、また雇用によって市民の生活を支える現代の企業。社会を構成する一員である以上、単なる利潤の追求だけではなく市民に対して一定の責任を果たすべきだという考え方が広まっている。また、大きな会社になればなるほど、組織の中での責任が曖昧になり、経営者の独断やや組織の中の不正を防止することが難しくなる。
こうした観点から、社内に対して、また対外的にも健全で透明性の高い経営を実現しようという「ガバナンス」(企業統治)の手法が注目されている。業務の遂行に際して企業の理念に従うこと、内部の規律を統制し責任体制とチェックシステムを確立すること、法律を守り社会的な説明責任を果たすこと、といった要素が含まれる。
活躍の舞台
企業について研究する学問としては、企業の活動の舞台である市場や流通過程、消費動向など主に企業の外の事柄を扱う「商学」と、企業の組織運営、業績管理といった企業内部の問題を扱う「経営学」がある。
ガバナンスと特に関連が深いのは「経営学」で、企業経営の理念を基本から学べる。最大の利潤を生む経営戦略に加え、法律を遵守しつつコストと利益のバランスを保つガバナンスの手法を身につける。
また「経営情報学」では、企業の実績や市場動向、消費者の傾向など、幅広いデータを収集して数量的に分析し、モデル分析、シミュレーションなどを駆使して、多角的な視点から業績判断する。たとえば、健全性・透明性、法律遵守の姿勢が、判断のための具体的な指標となる。
学問へのアプローチ
ビジネス社会の中では、ガバナンスに関する専門知識がますます重要になっている。この分野を専門的に学んだ人は、企業に就職して人事や経理、労務、法務部門などを担当するのが一般的な進路だ。また、他の企業から依頼を受けて業績や健全性を判断し、適切なアドバイスをするコンサルタント会社に就職する道もある。ただし専門職として働くには、アメリカのMBA(経営学修士号)の資格を取得することが事実上、必要条件となっている。
経済が飛躍的な拡大を遂げた20世紀から、安定成長期に入った今、私的利益(利潤)と社会的利益(公益性)のバランスをとりつつ、株主との良好な関係をつくり、安定的な経済運営を進めることが、これからの企業にとってのテーマとなっている。
このキーワードについて学べる学問分野
経済学
モノやサービスを交換するしくみ=「生産→流通→消費」の観点から、世の中の人々のより良い暮らしを探求する分野。数理的な要素が強いこと、国際的な視点が重要なことが二大特徴
経営工学
工場や企業、地域社会において、品質と効率性の向上を図るための方策を多角的に研究し、それぞれの最大効果を引き出すシステムと運用法を追究する分野。産業や社会に役立てる実用学
経営学
人、モノ、カネ、情報を活用した「企業」活動の管理法と運営法を研究するジャンル。即戦力として実践的な知識と運用能力を養成するために、インターンシップ教育が盛んなのが特徴
商学
モノやサービスなどの「商品」を売り買いするためのしくみやルール(習慣)、それをより多く売るための仕掛けや方法を研究する。物流・会計・金融(手形・証券・保険)が三本柱
社会科学系学際
資源枯渇、環境汚染、人口爆発、食糧不足、安全保障問題など現代的な大テーマに、従来の学問的枠組を超えてアプローチする新分野。「総合的な視点」「多彩なテーマ」がキーワード