テーマ 医療 保健所
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どんな分野?
都道府県の保健所や市町村の保健センターには、病院など医療機関と一般家庭をつなぎ、地域に暮らす市民の健康を支援する役割がある。具体的には、地域住民に定期健康診断や予防接種の受診を促す、住民からの健康問題について相談に乗る、病気の予防法や健康法を指導する、病気になった人に適切な医療機関を紹介する、感染症や難病の把握と予防措置といった業務を行っている。
保健所・保健センターや医療機関で働く保健師は「地域看護」の専門職だ。子どもや高齢者、障害者、病気やケガを抱えながら自宅にいる人を対象とする訪問看護を行い、家族とともにサポートする役割を担っている。そのほか、新型インフルエンザやSARSなど危険度の高い感染症に対する予防対策も重要な任務だ。
活躍の舞台
医療・保健系の大学で看護学、保健学を専攻し、まず看護師の資格を取得したのちに、保健師をめざすのが一般的なルートだ。大学ではまず、医学系の科目で人間の身体の構造、病気とその治療法、人間の健康と栄養の関係について学ぶ。また、心理学や哲学系の科目で患者の心理状態、医療倫理の問題などについて学び、人間への理解を深める。
専門分野は、看護学(地域看護学)および保健学(公衆衛生学)が大きな柱となる。看護学では、幼児・成人・老人・女性・地域など対象ごとの具体的な看護技法を臨床実習も含めて学ぶ。また公衆衛生学では、感染症や生活習慣病の予防、食品衛生や栄養指導など、集団的な単位で衛生と健康を良好に保つ技術を研究する。
学問へのアプローチ
保健所で保健師として働くには、まず看護師国家試験に合格し、一定期間の保健師養成課程を修了したうえで保健師国家試験に合格する必要がある。
保健師は主に病院に来た人や入院患者を対象とする<看護師>、妊娠期および分娩や産後のケアなど妊産婦を対象とする<助産師>とともに、広義の「看護」の役割を果たす重要な任務で、高齢化が進むなかで社会的なニーズが高まっている。保健所・福祉事務所などの公的施設のほか、企業の保健施設(産業保健師)、大学・学校(学校保健師)などにも活躍の場がある。
さらに、同じく保健所や福祉事務所に勤務する専門職として、心の病を持つ人(精神障害者など)の社会復帰を支援する「精神保健福祉士」という職種もある。
このキーワードについて学べる学問分野
保健・衛生・医療技術学
医療・福祉活動を医師と共に支える「保健衛生」「リハビリ」「医療技術」を研究する学問。衛生環境を整えて病気を予防したり、社会復帰を助けたりして国民の健康を守ることがテーマ
看護学
医療現場や福祉施設、地域社会における看護と介護のプロフェッショナル領域。医師をサポートしつつ、病気の人や高齢者・障害者を、身近にあって心身両面からケアするための実践学問
社会科学系学際
資源枯渇、環境汚染、人口爆発、食糧不足、安全保障問題など現代的な大テーマに、従来の学問的枠組を超えてアプローチする新分野。「総合的な視点」「多彩なテーマ」がキーワード