テーマ 医療 バリアフリー
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どんな分野?
バリアフリーとは、障壁がないという意味。高齢者、障害をもつ人にとってのさまざまな障壁をなくし、快適な社会を実現していくための目標を示す言葉だ。
この理念に基づいて、公共性の高い施設では階段をなくしてスロープにしたり、エレベーターやエスカレーターを設置するなど、社会的な弱者が利用しやすいように改修が進められている。
さらに、高齢者が暮らす住宅をバリアフリー化するための建築技法、人間工学の立場から高齢者や障害者にも使いやすい技術やカタチを開発する「ユニバーサルデザイン」など、ハードウェアとソフトウェアの両面で、弱い立場の人々が暮らすための社会的障壁をなくしていく努力が始まっている。
活躍の舞台
バリアフリーについて技術の側面から研究する領域をまとめて「福祉工学」と呼ぶ。「医療技術学」の分野、あるいは「電気通信工学」の分野の学部に設置されることが多い。
中心となるのが、福祉介護に使われる機械や用具の技術だ。介護を受ける人が健康な人と同じ日常生活を送るための用具や、介護をする人の負担を軽減するための介護用品などの開発をめざす。さらに、人工心肺装置・人工呼吸器など、高度な医療電子機器の開発と活用技法を研究する「医療(臨床)工学」の領域もある。
ユニバーサルデザインを専門とする学問は「福祉デザイン学」と呼ばれる。目・耳・手など、身体の一部に不都合を抱える人でも快適に使えるモノや技術を研究する。
学問へのアプローチ
バリアフリーを実現するため、医療福祉についての工学を学んだ卒業生には、大きく分けて、産業界でモノや技術をつくる福祉技術の「開発」、その技術を実際に使う福祉技術の「支援」という2つの進路がある。
開発部門では、機械や電子関連の製造業に勤務し、主に福祉横器システムの研究・開発・製造といった業務を担当する。近い将来に大きな発展が期待されるこの業界では、福祉や介護についての専門知識をもった工学技術者へのニーズが高くなっている。
支援部門では、医療や福祉の施設で最適な機器を選択したり、現場に適合させるよう改良して利用する。
さらに、バリアフリーへの政策を実現する公務員、社会施設を改良していく建築業や土木建設業という道もある。
このキーワードについて学べる学問分野
保健・衛生・医療技術学
医療・福祉活動を医師と共に支える「保健衛生」「リハビリ」「医療技術」を研究する学問。衛生環境を整えて病気を予防したり、社会復帰を助けたりして国民の健康を守ることがテーマ
社会学
家庭・地域・学校・企業など人間が作っている「組織」のしくみやはたらきを検証し、そこに生起する種々の現象を解析。社会病魔、福祉、環境、メディアといった現代的課題に迫る
社会科学系学際
資源枯渇、環境汚染、人口爆発、食糧不足、安全保障問題など現代的な大テーマに、従来の学問的枠組を超えてアプローチする新分野。「総合的な視点」「多彩なテーマ」がキーワード