テーマ 医療 介護
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どんな分野?
介護保険制度の充実や介護スタッフの増員など、急速に進んでいく高齢化社会に対応していくための本格体制づくりがようやくスタートした。
日本の社会では、高齢者の世話を親族にゆだねる傾向が強いが、介護労働は家族への負担が大きく、また効率や質の面でも問題がある。地域や社会の中で高齢者とその家族をサポートし、家族の側も公的な介護サービスを適切に利用していくことが望まれる。また、高齢者本人がこうしたサービスを気兼ねなく利用できる雰囲気と環境づくりも課題となっている。
認知症や身体の障害により日常の動作にも不都合のある人から、身の回りの作業はできる人まで、要介護の度合いはさまざまで、きめ細かいサービスが求められる。
活躍の舞台
介護の仕事に就くには、大学で「社会福祉学」や「看護学」などの学問を専攻する必要がある。「社会福祉学」は、もともと社会学の応用分野から広がってきた学問領域。行政や立法の視点から公共サービスとしての「社会福祉政策」のあり方を考えるアプローチだ。福祉の理念や方針、福祉制度や政策について、他国との比較も含めてトータルに研究する。
一方、医療・保健系統の「看護学」「保健・衛生学」「医療技術学」では、高齢者・障害者など対象とする人に応じた実践的な介護技術を研究するアプローチになる。人の身体と心のしくみ、看護の基礎理論などを学んだうえで、実践的な介護技術、心のケア、リハビリテーションの実践技法を身につけていく。
学問へのアプローチ
近年は地域再生の試みの中で、高齢者・子ども・障害者などの弱者をみんなで見守る「ご近所助け合い」の精神が見直されている。すべての人々が少しずつ協力しながら共生できる地域のシステムづくりが急がれる。また、介護サービスの質を確保していくため、給与や労働条件などの待遇改善など、総合的に介護システムを改善していく必要がある。
介護技術と福祉の専門知識を体系的に学び、介護福祉士の資格を取得することで、介護サービス、民間の特別養護老人ホームや、病院、リハビリテーション施設など、福祉の現場で働くことができる。
高齢者介護や障害者の世話は心身ともに大変な作業であり、専門家としての責任感、弱者やその家族に安心感を与える人間性が求められる。
このキーワードについて学べる学問分野
保健・衛生・医療技術学
医療・福祉活動を医師と共に支える「保健衛生」「リハビリ」「医療技術」を研究する学問。衛生環境を整えて病気を予防したり、社会復帰を助けたりして国民の健康を守ることがテーマ
社会学
家庭・地域・学校・企業など人間が作っている「組織」のしくみやはたらきを検証し、そこに生起する種々の現象を解析。社会病魔、福祉、環境、メディアといった現代的課題に迫る
社会科学系学際
資源枯渇、環境汚染、人口爆発、食糧不足、安全保障問題など現代的な大テーマに、従来の学問的枠組を超えてアプローチする新分野。「総合的な視点」「多彩なテーマ」がキーワード