テーマ 医療 高齢化社会
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どんな分野?
人類の歴史を通じて、医学知識や治療技術の向上はめざましく、これまでに死に至るようなさまざまな病気を克服して寿命を延ばしてきた。その成果として20世紀には先進国でかつてない高齢化社会が到来している。特に日本は第二次大戦後、欧米諸国を足早に追い抜いて世界一の長寿国となっている。
一方で、認知症や脳機能障害、心肺機能の低下など老人ならではの病気や健康障害、独居老人の増加と孤独死、家族の高齢化による老老介護といった、長寿社会ならではの問題も新たに浮き彫りになっている。
21世紀の医療福祉は、単に「寿命を延ばす」だけでなく高齢でも身体の健康と体力を維持し、自立して生活できるよう支援する役割を担っているといえる。
活躍の舞台
高齢化社会の問題に取り組むに「社会学」の手法が有効だ。社会構造や人口動態、人々の意識などのデータや調査結果を検証して「高齢化」という社会現象の実状と問題点を探っていく。
まずは、こうした理論的分野を押さえる。そして高齢者福祉の歴史と発展過程を理解したうえで福祉の現状を分析し、福祉制度の正しいあり方を考える「社会福祉学」を専攻するとよいだろう。「社会福祉学」では、さらに保健や看護・介護、リハビリなど、福祉現場での実践技法も重要な学習ポイントになる。
あるいは、高齢化した社会における課題を解決するための法律や制度、行政の役割を考えるには「社会政策」という領域もある。こちらは「政治学」「法学」などのアプローチに近くなる。
学問へのアプローチ
一口に高齢者といってもさまざまな人がおり、身体の一部にハンディを抱える人、身体は元気でも精神的に不安を覚える人、病気がちでも支え合って暮らす高齢者の夫婦など、それぞれのニーズに合った医療・福祉を提供できる社会が望ましい。
中でも大切なテーマが、高齢者に合った商品やサービスを開発したり、幅広い年齢の交流の機会を増やしたりして、「長寿」を楽しく生きられる社会をつくることだ。
高齢化という日本社会の構造変化は、商品やサービスのあり方にも変化をもたらすだろう。医療・福祉分野に限らず行政と市民、産業界が一致協力して生き甲斐をもてる生活環境をつくっていけるのかが、豊かな高齢化社会を実現するためのカギとなる。
このキーワードについて学べる学問分野
保健・衛生・医療技術学
医療・福祉活動を医師と共に支える「保健衛生」「リハビリ」「医療技術」を研究する学問。衛生環境を整えて病気を予防したり、社会復帰を助けたりして国民の健康を守ることがテーマ
社会学
家庭・地域・学校・企業など人間が作っている「組織」のしくみやはたらきを検証し、そこに生起する種々の現象を解析。社会病魔、福祉、環境、メディアといった現代的課題に迫る
看護学
医療現場や福祉施設、地域社会における看護と介護のプロフェッショナル領域。医師をサポートしつつ、病気の人や高齢者・障害者を、身近にあって心身両面からケアするための実践学問
社会科学系学際
資源枯渇、環境汚染、人口爆発、食糧不足、安全保障問題など現代的な大テーマに、従来の学問的枠組を超えてアプローチする新分野。「総合的な視点」「多彩なテーマ」がキーワード