テーマ 医療 住宅産業
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どんな分野?
建築やインテリアの世界でも、高齢者にも暮らしやすい住宅のスタイルが注目を集めている。いわゆる住宅の「バリアフリー化」とは、足腰や手の力が衰えた高齢者、身体に不自由な箇所を抱えた障害者を含め、家族全員が安心して快適に暮らせる環境づくりへの取り組みだ。
たとえば階段をスロープにする、敷居の段差をなくす、ドアを弱い力でも開く「引き戸」に変える、車椅子でも通れる幅の廊下にするなど、さまざまな方法がある。中でも浴室とトイレは、伝統的な日本家屋では快適性よりも衛生面が重視されたため、ハンディをもつ人のために改良すべき点が多い。
自治体でもバリアフリー住宅の新築や改築、増築の際に補助金を給付するなど、支援の動きが広がっている。
活躍の舞台
この分野のスペシャリストになるためは、大学で工学系統の「土木建築学」または家政系統の「住居学」という2つのアプローチがある。
前者は土木の領域まで、後者はインテリアの領域まで学ぶことが多く、方向性に若干の違いがあるものの、どちらも人間の生活空間をトータルに研究する「空間デザイン」という領域を中心に学ぶことになる。建築学の基礎を学び、建物の構造的な強さや便利さ、スペースの効率などの側面をじゅうぶんに理解したうえで、住空間の「快適さ」「美しさ」を追求していく。
環境や住宅、工業製品などあらゆるモノづくりにおいて、誰にでも使いやすいデザインを、形状と性能の面から追求する「ユニバーサルデザイン」を学べる「福祉デザイン学」というジャンルもある。
学問へのアプローチ
福祉の視点から建築や住宅環境、インテリアについて学んだエキスパートは、住宅メーカー、設計事務所などで建築士として勤務するほか、室内環境をつくるインテリアデザイナーへの道もある。
住宅建築では、顧客(施工主)と設計・建築担当者(業者)、が、設計の段階から綿密に打ち合わせを重ねて、作り上げていく注文住宅はもちろん、建売住宅の場合にもユーザーの声を聞き、実際に住む人たちへの配慮をこらしたオーダーメイドに近いスタイルが望ましい。
この仕事でもっとも大切なのは、使う側の視点を常に持つことだ。高齢者や障害者、さらに一緒に暮らす家族の立場になって、よりよい住環境を作り上げる熱意と努力を続けられる人材が求められる。
このキーワードについて学べる学問分野
経済学
モノやサービスを交換するしくみ=「生産→流通→消費」の観点から、世の中の人々のより良い暮らしを探求する分野。数理的な要素が強いこと、国際的な視点が重要なことが二大特徴
社会学
家庭・地域・学校・企業など人間が作っている「組織」のしくみやはたらきを検証し、そこに生起する種々の現象を解析。社会病魔、福祉、環境、メディアといった現代的課題に迫る
商学
モノやサービスなどの「商品」を売り買いするためのしくみやルール(習慣)、それをより多く売るための仕掛けや方法を研究する。物流・会計・金融(手形・証券・保険)が三本柱
社会科学系学際
資源枯渇、環境汚染、人口爆発、食糧不足、安全保障問題など現代的な大テーマに、従来の学問的枠組を超えてアプローチする新分野。「総合的な視点」「多彩なテーマ」がキーワード