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どんな分野?
現代の病院の現場では、心電図や血圧計など基本的な検査器具から、透析治療のための「血液浄化機器」、心臓手術に不可欠の「人工心肺装置」など、たくさんの医療機器が用いられている。
近年は脳や内臓、血管の正確な形状を3D画像で表現できる技術が開発され、画像をモニターしながら手術を行えるようになるなど、情報処理技術を応用した高度な医療技術が発達している。
こうした最先端の医療を支えているのが、医療機器を開発するメーカー。医療機器の設計・開発にはエレクトロニクスを中心とする「IT技術」と「医学」の両方の知識が必要となる。医療知識をもつ技術者はもちろん、医師や病院関係者なども加わり、新しいアイデアで日々開発が進められている。
活躍の舞台
医学と工学の融合領域は新たな応用分野として産業界からも注目されている。専攻できる学問としては、まず「電気通信工学」系や工学系学際の分野に属する「医用工学」がある。最先端の医療知識をもつエンジニアを養成するため、「電子工学」「情報工学」の知識と技術を基礎からじっくり学び、「生命科学」「医学」の科目をバランスよく履修していく。そのほか、医療に大切な倫理観や人間性を培う「人間科学」も重要な学習項目だ。
一方、医療・保健系統の学部に設置される「臨床工学科」でも、この分野を専門的に学ぶことができる。「臨床」を冠した名称のとおり、医療機械の使い方や保守管理の方法など、医療の現場に即した実践的な授業が特徴となっている。
学問へのアプローチ
医療機器についての専門技術を身につけた人には、大きく分けて2つの進路が考えられる。まずメーカーで新しい機器の設計・開発に当たる仕事。臨床現場のニーズを捉え、常に使用する医療の立場で考えられる対応能力が求められる。また、自社の製品を医療現場に販売し、設置やメンテナンスを行う技術営業職もある。高度な専門知識が必要になるのは、開発職と同様である。
もう一つが「臨床工学技士」の国家資格を取得し、医師を補佐するスタッフとして働く仕事。医療機器を駆使した検査・測定をはじめ、機器の保守点検、管理などを担当する。この職種では、医療機器のスペシャリストとしての専門知識のほか、医療人として働く倫理観や協調性も大切となる。
このキーワードについて学べる学問分野
工学系学際
新しい工学の視点から、人類が抱える重要課題や将来に大きな発展が期待される先端技術に挑むフロンティア領域。「資源工学」「地球環境工学」「先端工学」はその代表的な学際ジャンル
電気通信工学
電気や磁気の性質を応用し、生活や社会を快適にする、電気のエネルギー利用技術や情報通信などのエレクトロニクス技術を生み出す学問分野。機械としての表現されることも重要課題
保健・衛生・医療技術学
医療・福祉活動を医師と共に支える「保健衛生」「リハビリ」「医療技術」を研究する学問。衛生環境を整えて病気を予防したり、社会復帰を助けたりして国民の健康を守ることがテーマ