テーマ 医療 訪問介護
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どんな分野?
「訪問介護」とは、介護員(ホームヘルパー)が介護を受ける人の自宅に出向いて、食事や着替え、入浴をはじめとする身の回りの世話のほか、調理や掃除、洗濯といった日常生活の支援を行うサービス。生活の拠点を移さず、自宅で普段の生活を継続できることが最大のメリットで、急速な社会の高齢化が進むなか、利用者が大幅に増加している。
ひとり暮らしの世帯でも、介護員が家族に変わって見守り役や相談の相手を務められるので、介護を受ける高齢者や障がい者の孤立を防げるという利点もある。訪問のためにかかる時間的、経済的なコストの削減、必要な人に適切なサービスを提供できる効率的なシステムづくりなど、運用面での改善がこれからの課題となる。
活躍の舞台
この分野を学んだ人は、訪問介護サービスを提供するケアセンターなどの介護施設(居宅介護支援事務所)に就職するのが代表的な進路。関連する資格として「ケアマネージャー(‘介護支援専門員)」がある。介護を希望する人や家族の相談を受け、1人ひとりに必要な支援のスタイルをアドバイスしたり、状況に応じて介護サービスを利用するプランを作成したり、さらに、他のサービスの事業者との調整を行ったりする専門職だ。
就職後は、訪問介護のサービスを提供するホームヘルパーとして働きながら現場の実務経験を積んだうえで、ケアマネージャーの資格を取得することで仕事の幅も広がり、責任ある職種にステップアップできるチャンスも広がる。
学問へのアプローチ
訪問介護について大学で学ぶには、社会科学系統「社会学」または医療・保健系統「看護学」という選択肢がある。「社会学」には、福祉の問題を理論から実践まで総合的に学べる社会福祉学というジャンルがある。社会福祉の歴史、訪問介護に関わる法律や制度、現状における訪問介護の問題点といった研究テーマを扱うほか、福祉現場において役立つ実践的な介護技術まで幅広く身につけられる。
また「看護学」では、基本的な医学知識を理解するとともに、それを裏付けとして、高齢者や障がい者など、社会的な弱者の心と身体をいたわる看護技術を実践的に学べる。そのほか、リハビリや検査の技術を学ぶ「保健・衛生・医療技術学」も1つの選択肢となる。
このキーワードについて学べる学問分野
保健・衛生・医療技術学
医療・福祉活動を医師と共に支える「保健衛生」「リハビリ」「医療技術」を研究する学問。衛生環境を整えて病気を予防したり、社会復帰を助けたりして国民の健康を守ることがテーマ
社会学
家庭・地域・学校・企業など人間が作っている「組織」のしくみやはたらきを検証し、そこに生起する種々の現象を解析。社会病魔、福祉、環境、メディアといった現代的課題に迫る
看護学
医療現場や福祉施設、地域社会における看護と介護のプロフェッショナル領域。医師をサポートしつつ、病気の人や高齢者・障害者を、身近にあって心身両面からケアするための実践学問