テーマ 環境・防災 農林水産業
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どんな分野?
「食の安全」を脅かす事件や事故が相次いでいる。産地偽装、毒素検出など、食べ物を口にしたくなくなるニュースが毎日のように飛び込んでくる。この問題は、食料自給率とも密接にリンクしている。
農林水産業が産業の基幹であった時代は、生産者たちは日常生活の中にあった。ところが農林水産物の多くを輸入に頼るようになった現在、消費者も生産者もお互いの顔をまったく見ないで売買を行っている。その間を行き交うのは、金銭のみという状態である。こういった現状の中、トレーサビリティ(追跡性)をどうするかが議論の的になっている。産地や生産者を明示できるシステムが、IT技術などによって確立されつつあり、消費者もそれに敏感になっている。
活躍の舞台
学問的には「農学」「林学」「水産学」という三本柱が伝統的にはあるが、環境から農林水産業へアプローチする手法もある。たとえば農業においては、より少ない農薬、もしくは無農薬で栽培することによって土地の環境を保存しようという試み、林業では木が二酸化炭素を吸収するということだけでなく、森が土地の劣化やエロージョン(山崩れ)防ぐ効果もあることから、植林や林業経営に関する分野が注目される。
漁業においても、水産資源を安定的に確保するには海洋汚染の防止が不可欠。農林水産業と環境をリンクする学問として、「海洋科学」「生命環境科学」「生物生産工学」「環境資源化学」「獣医学」などが大学には設置されている。
学問へのアプローチ
食料自給率の増加が叫ばれてはいる日本ではあるが、少子高齢化が加速度的に進む現在、農林水産業の現場で従事する人材はますます困難になる。そこで種の改良によって、少ない資源を有効に使おうという試みがさらに活発になるだろう。
農業では収穫率の高い品種改良への研究が進むだろうし、漁業でもやはり種苗の改良によって効率の高い養殖事業への転換が進んでいく。林業に関しては国産材の見直しが始まっていることもあり、これまで輸入材一本やりだった日本の林業構造にも遅まきながら変化が訪れるかもしれない。また、農林水産業の経営をいかに安定させるかということも大きな課題であり、経営学的なアプローチもさらに重要になるだろう。