テーマ 環境・防災 自然生態系
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どんな分野?
自然の山や荒れ地を切り開き、農村や都市などの生活空間を造った人間。また、農地の開拓や森林の伐採など、食物や生活用品を得るために周辺の自然生態系を巧みに利用している。
つい最近まで、人間は自然のすぐ近くで暮らしており、山間地の人工林や農村の里山など、人間の手で守られてきた自然も多い。現在はそのバランスが崩れ、住宅地に野生動物が出現するなど、人間と自然の関係があらためて問われる事態になっている。
国土の狭い日本では、手つかずの自然を残すことはきわめて難しく、いったん人間の手がついた自然を放置すると荒廃にもつながる。これからは、むしろ人間が生態系に働きかけ、生活空間と共存できる自然環境をつくる時代に入っている。
活躍の舞台
自然生態系に関する学問としては、自然を構成している生き物に注目する「生物学」と、地球そのものを研究対象としている「地学」という2つのアプローチがある。
最近は、環境をキーワードに両分野を統合した「環境科学」(理学・工学系統)が発達している。「生物学」や「地学」など主に「理学」の手法により、生き物と地球の自然環境を統合的に理解していく学問で、農村や山林、河川敷、海岸など屋外を歩くフィールドワークが中心となる。たとえば地形図を用いた山地・森・海などの調査と測量、そこにすむ動植物の観察と個体数の調査といったテーマがある。
あるいは農村や山林といった生産環境を中心とする「農業工学」「森林科学」などのジャンルも関連の深い学問だ。
学問へのアプローチ
この分野の専門を生かせる進路としては、自然生態系に配慮した環境や建物などを「つくる」職種、生態系を形作る植物・動物など(自然資源)を「調査・管理する」職種が挙げられる。前者には、自然公園やビオトープの設計、都市緑地や植栽の計画、建物の屋上や壁面の緑化といった仕事があり、主に建設・土木関連の企業で能力を発揮できる。
一方後者では、自然環境の調査と報告、自然の山林の測量とデータ解析など研究者の仕事が挙げられる。あるいは、樹木の病気診断や治療を行う専門家として「樹木医」というスペシャリストの資格もある。これらの職種に就くには、地方自治体や国の技官(技術職員)となるか、または環境コンサルタント会社へ就職するのが一般的だ。
このキーワードについて学べる学問分野
農学
穀物や野菜、果物などの農作物をつくる「農業」の技術を総合的に研究する分野。農業生産に品種改良などの新しい技術を導入し、収穫量の増加と作業の効率性の向上をめざす実践学問
人間科学
人間の心と身体のメカニズムをトータルに捉え、多面的な側面や要素をを備えた人間そのものに深く切り込む学問。人間だけが獲得した、動物とは一線を画した能力や要素の秘密を探る
森林科学
木材など森林資源の利用と森林環境の保護を研究する分野。森林の管理のみならず、森林の景観づくり、水資源の管理と有効利用、土砂崩れや山火事など山林災害の防止対策等がテーマ
農業工学
農業生産に関する工学的テーマを扱う学問で、農業用地の開発や管理、農機具に関する研究が中心。農業の生産環境と農村社会そのものについて研究し、農業の未来の姿を構想する分野
生物学
生物の構造や営みに共通で見られる《法則性・普遍性》と、それがさまざまに分化して生みだす《多様性》を抽出。その神秘に満ちた<生命活動>を理論的に説明できる体系を打ち立てる
理学系学際
既存の諸科学を融合した学際的な手法で科学の新局面を追究。《広域科学》の分野と似た内容ですが、「環境」「情報」「物質」「生命・バイオ」「システム科学」などの実践テーマに取り組む
地学
無数の生命を育む地球の構造や運動のメカニズムを包括的に学習。そこで行われる生命活動とその環境を分析し、地球の未来にアプローチする。地震などの災害対策など応用的側面も拡大
社会科学系学際
資源枯渇、環境汚染、人口爆発、食糧不足、安全保障問題など現代的な大テーマに、従来の学問的枠組を超えてアプローチする新分野。「総合的な視点」「多彩なテーマ」がキーワード