テーマ 環境・防災 地球温暖化
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どんな分野?
地球表面の温度は、20世紀の後半から急なカーブを描いて上昇し続けている。その主な原因は、工業生産や自動車の排気など人間社会から生み出される二酸化炭素などの温室効果ガスだ。温暖化が続けば地球にすさまじい気候変動や異常気象を引き起こすことが指摘されており、二酸化削減は人類の未来のカギともいえる重要な課題となっている。
先進国と途上国との「排出権取引」で全体の量を減らすなど、「京都議定書」に代わる排出削減の新たな基準を策定することに加え、温暖化対策の切り札とされていた原子力発電に重大な事故が発生した今、太陽光や風力、地熱など原発に代わる新しい自然エネルギー開発が待たれる。
活躍の舞台
地球温暖化という現象について専門的に研究するには、理学系統の「地学(地球科学)」「生物学」に進むのが代表的なルートだ。地球とそこに暮らすあらゆる生物に関する最新データを分析して、現在の環境を“知る”ための理学的な研究を行う。
また、工学系統の「環境工学」「環境化学」では、工業生産、都市建設といった側面から未来の環境を“作る”ための工学技術を研究する。「農業工学」「森林科学」では、環境に配慮した農地や山林の利用法を考える。環境を“守る”ための法律制度や政策、国際的な枠組みづくりなど、社会科学からの視点も重要だ。主に社会科学系統にある、名前に「環境」を冠した学科では、これらの学問手法を融合して総合的に環境を学ぶことができる。
学問へのアプローチ
この分野を専攻した卒業生の進路は、大きく「技術」の仕事と「政策」の仕事に分けることができる。
まず、理学系統の大学で地球温暖化の分析を専門に学んだ人は、政府機関や環境問題の研究所などに進み、現状分析や未来予測などの研究業務に携わる道がある。工学系統で地球環境に優しいモノづくりの技術を修得した人は、メーカーや土木建築業などに就職することで、それぞれの専門性を発揮できるだろう。
政策系の仕事としては、公的機関の職員が一般的な進路となる。日本の環境行政を司る環境省や地方自治体で環境を担当する部署などで、環境を守るための政策を立案し、実行に移すプランを考える。あるいは住民・企業と協力してゴミ処理やリサイクル事業など、地域の環境を守る活動をする仕事もある。
このキーワードについて学べる学問分野
工学系学際
新しい工学の視点から、人類が抱える重要課題や将来に大きな発展が期待される先端技術に挑むフロンティア領域。「資源工学」「地球環境工学」「先端工学」はその代表的な学際ジャンル
広域科学
呼び名のとおり“幅広い自然科学の手法を総動員”して、長期的研究テーマ、将来の開発につながる科学研究のシーズを育てる先進的理学分野。個別科学を横断するシステム学の色彩も
森林科学
木材など森林資源の利用と森林環境の保護を研究する分野。森林の管理のみならず、森林の景観づくり、水資源の管理と有効利用、土砂崩れや山火事など山林災害の防止対策等がテーマ
社会科学系学際
資源枯渇、環境汚染、人口爆発、食糧不足、安全保障問題など現代的な大テーマに、従来の学問的枠組を超えてアプローチする新分野。「総合的な視点」「多彩なテーマ」がキーワード