テーマ 環境・防災 廃棄物処理
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どんな分野?
急激なゴミの増加に歯止めをかけるため、多くの自治体で家庭や事務所から排出されるゴミ(一般廃棄物)の回収が有料化されている。一方、工場などから出される産業廃棄物の量は一般廃棄物の数倍に及び、その抑制が急務となっている。循環型社会をめざす政府は、廃棄物の量を抑制すること、そして再生して利用(リサイクル)することの両側面から対策を進めている。
廃棄物処理業は、廃棄物の種類によって製品を解体して部品を取り出す、熱処理や化学分解などを施して原材料を回収するなど、専門的な処理をする業者だ。二酸化炭素や燃焼ガスなど、環境への負荷をできるだけ小さく抑えたうえで効率的に再利用できるように、さまざまな処理技術が開発されている。
活躍の舞台
「工学」系に進学して、さまざまな製品の材質や製造法について知識を蓄えることが、廃棄物処理の仕事の第一歩になる。化学物質の分析や処理方法を学ぶ「化学」、物質の化学合成法や工業材料を研究する「応用化学」「材料工学」など、「物質科学」系の学問が中心となる。最近は、環境負荷の小さい工業材料や資源の再利用について専攻する「環境化学」という学問もある。そのほか、鉱物や石油などの天然資源やエネルギーについて研究する「資源工学」も、この業種と関連の深い学問ジャンルだ。
環境やリサイクルについて研究する学問として、環境を守るための制度やしくみを考える「政治学」「法律学」、あるいはリサイクル社会のあり方について考える「社会学」の視点も重要となる。
学問へのアプローチ
工場や建設現場、医療現場などでは、毒性や感染性、あるいは爆発の危険がある廃棄物が多く、厳重な管理のもとに処理することが法律で義務づけられている。エコ社会の実現が求められる今、ゴミを安全に処理して危険性を除去できる技術をもつ専門業者の社会的な責務はますます大きくなることは疑いない。
こうした産業廃棄物の危険性を分析するプロフェッショナルの資格として「産業廃棄物処理技術者」がある。分析機器やコンピュータを使った分析技術をもち、さまざまな事業から出される廃棄物の内容(素材や状態)を分析する。いわば「ゴミ」か「資源」かを判断して安全で適切な処理方法を決定する仕事であり、廃棄物処理に関する高度な専門知識を備えることが重要となる。