テーマ 環境・防災 生物多様性
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どんな分野?
「生物多様性」とは、地球全体または特定の地域の中に、さまざまな生態系や生物種、遺伝子が存在する状態を指す生物学の用語。生物の生存に欠かせない空気や水、土、有機物などは、植物、動物、微生物といった多様な生物種の働きによって生産され、消費され、地球上を循環してバランスを保っている。また、森林や山地、海洋、町村や都市など多様な環境が存在することが、さまざまな人間の暮らしを生み人間の文化の基盤となっている。
開発による環境破壊や工業生産、狩猟や耕作といった人間の活動によって、そのバランスが崩れ、多くの生物が絶滅の危機に瀕している。地球上の多様な環境を守り、自然と人間が共存できるよう生物多様性を維持する努力が続けられている。
活躍の舞台
この分野を専攻した人の進路には、「環境を守る」仕事と「環境を作る」仕事がある。前者の主な職場は、公立の自然公園のほか、多様な生物を自然に近い状態で育て観察できる空間として作られたビオトープ、地域の里山といった自然に親しめる施設。公園を管理・運営するほか、来園客の案内・解説、イベントの企画といった業務を行う。後者の職場としては、公園やビオトープの企画・設計などが挙げられる。この職業では、造園や土木設計など工学系の知識が必要となる。
環境を調査・分析する仕事も1つの選択肢。たとえば、道路やビルの建設に先立って土地や生態系の状態を調査する環境アセスメント、環境に配慮した開発計画を提言する環境コンサルタントといった職種がある。
学問へのアプローチ
生物多様性について大学で学ぶには、理学系統「生物学」が代表的。あらゆる生物の身体の構造や生態について研究する学問分野で、地球に存在しているさまざまな動植物の生態、環境の多様性を理解し、相互につながり合う生命の営みを解明する。
農学系統にも関連する学問分野がある。「森林科学」は、森林について環境、資源利用という2つの側面から科学的に研究する学問。森林や山における生態系の多様性を調査、観察を通じて理解し、山の生物多様性を保護する方法、樹木を自然と共存しながら利用していく方法を学べる。また「水産学」では、海や川で暮らす魚、海藻、プランクトンなどの水生生物の生態、海洋環境の保護について実践的に学べる。