テーマ 環境・防災 気象予測
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どんな分野?
気象予報の自由化で、民間企業でも気象情報を提供できるようになった。気象観測のデータは他のデータと組み合わせて加工されて配信される。自然を相手にする農林水産業をはじめ、レジャー・イベント産業、鉄道や航空会社といった交通業、地域の防災を担う自治体など、気象に影響されやすいさまざまな業種で有効に活用されている。
冷暖房機、加湿器をはじめとするシーズン家電、ビールやアイスクリームといった、季節商品の売れ行きの需要予測をはじめ、公園での開花や見頃の予報も提供されている。利用する企業の側は、気象予測に基づいて雨の日特売や割引などのきめ細かな顧客サービスを提供する、あるいは気候に応じた広告・宣伝を展開するといった形で利益の向上に役立てている。
活躍の舞台
この分野を大学で専攻した人は、国家資格「気象予報士」の試験に合格することで、気象関連の仕事で専門性を生かせる。代表的なのが、民間の気象情報サービス会社。観測データや気象予報の情報を気象庁から入手し、自ら情報の解析やデータ集計を行うことで、独自の気象情報として有償で提供する業種だ。企業間の競争は激しく、情報収集のスピードと正確性はもちろん、他の情報を加味してデータの付加価値を高めることが、顧客にアピールするカギになる。
そのほか、気象観測、火山や地震の観測、海洋気象などの国家公務員(技官)も選択肢の1つとなる。気象庁の職員になるには、国家公務員試験に合格したのち、気象庁の採用面接を受ける必要がある。
学問へのアプローチ
気象や気候について学べる学問は、複数の系統に分かれている。代表的なのが理学系統「地学」。大陸、海洋、大気で構成される地球の環境をダイナミックに捉える学問分野だ。地球の構造や活動の歴史、大気と海洋の運動によって起きる気象のしくみ、地形と気象の関係を理解したうえで、天気予報、長期的な気候の変化を観測やデータ解析を通じて実践的に学べる。
人文科学系統「地理学」は、世界の国や地域の風土や文化、経済、産業などを、その地形や気候など自然条件と関連づけて研究する学問。地形の測量、気象観測、統計データの分析など、気候や気象予測に関する専門技術を学べる。さらに工学系統「工学系学際」にも、気象予測や気候について専門的に研究できる大学がある。