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どんな分野?
戦後日本のスポーツをリードしてきたのが、企業や団体が運営する「実業団」のスポーツだ。運営する企業は、全国からトップレベルの選手を集めてチームをつくり、競技会で成績を上げることで企業のイメージアップにつなげる。社員たちの団結意識や仕事へのモチベーションを高める効果があるほか、地域のスポーツ振興にも貢献している。
企業スポーツの環境は、時代の経済状況や経営意識によって大きく変貌する。近年は、競技のバリエーションが豊富になるとともに、かつて企業スポーツの花形だったサッカーやラグビー、バレーボールをはじめプロ化する競技も増えた。また、経営の合理化のために撤退する大企業が現れる一方で、中小企業や地方企業など新たな担い手も登場している。
活躍の舞台
この分野を大学で専攻し、高度な競技能力を身につけた人は、企業が運営するスポーツ団体に所属し、選手として活躍する道がある。ただし、競技会で活躍できるレベルの実力が必要だ。なお、企業スポーツの選手は、スポーツを本業として収入を得るプロ選手とは異なり、企業に所属する会社員として平日は半日ほど会社の勤務をこなす。そしてチームの練習やトレーニング、遠征などは午後や休業日に行うというのが一般的な競技生活のパターンだ。
そのほか、プレーヤーを指導するコーチ、身体のケアをするトレーナーなどスポーツを支える職種もある。就職先としては、企業スポーツのチーム、スポーツ競技の協会、プロスポーツチームなどさまざまだ。
学問へのアプローチ
この分野では、さまざまなスポーツを理論と実践の両方から総合的に研究する教育系統「体育学」に進学するのが最適の道。まずは競技選手として、自分の体力づくりや競技能力の向上をめざすこと。そして、競技ごとのトレーニング法や指導方法、メンタル面の強化、チームの統率などについて学び、スポーツの指導者やトレーナーとして選手を支えるための専門性を養うことが目標となる。大学によっては、「競技者(選手)」「指導者」の2つのコースに分かれることもある。
そのほか、スポーツ選手の身体のケアや健康管理について学ぶなら医療・保健系統「保健・衛生・医療技術学の分野」、人間の身体と心を総合的に学ぶなら総合・学際系統「人間科学」という選択肢もある。
このキーワードについて学べる学問分野
体育学
運動能力の増強やスポーツ競技の技術向上のために、「運動」を総合的に研究する分野。各種のスポーツで運動理論と実技力を培い、健康で頑健な身体づくりのノウハウや技法を探求する
保健・衛生・医療技術学
医療・福祉活動を医師と共に支える「保健衛生」「リハビリ」「医療技術」を研究する学問。衛生環境を整えて病気を予防したり、社会復帰を助けたりして国民の健康を守ることがテーマ
人間科学
人間の心と身体のメカニズムをトータルに捉え、多面的な側面や要素をを備えた人間そのものに深く切り込む学問。人間だけが獲得した、動物とは一線を画した能力や要素の秘密を探る