テーマ 心理 児童相談所
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どんな分野?
児童相談所とは、地域で暮らす児童(0017歳の子ども)の教育について行政の視点から監督し、児童を持つ家族を総合的にサポートする児童福祉施設だ。都道府県ごとに設けられており、児童についてさまざまな相談の受付や、問題を抱える児童の家庭を訪問して教育の状況や家族関係などを調査する、虐待や育児放棄などの可能性がある家庭の状況を判断し緊急事態には一時保護する、といった業務を担っている。
児童相談所に勤務し、児童を持つ家族や学校からの問い合せに応じたり医療機関や学校と連携して適切な指導を行うのが、児童福祉司と児童相談員だ。近年は、家族の形などこどもの育つ環境が多様化しており、現状を見きわめた対応が重要になっている。
活躍の舞台
児童相談所で児童指導員や児童福祉司(共に公務員が任務を指名されるための<任用資格>)として勤務するには、社会学系・福祉学系の学部で社会福祉学を専門に学び、所定の養成課程を修了する必要がある。
社会福祉学の土台は、家族関係や人間の社会的行動などを研究する社会学・人間科学、そして人間の心のしくみと発達過程を研究する心理学、教育学などである。大学では、これらの基本知識を身につけたうえで、社会福祉の理念や目的、制度や法律について理解する講義科目を履修し、また、個別の問題の原因を解き明かし最善の解決を見つけるための個別援助技術(ケースワーク)やカウンセリングの技法といった福祉の実践技法を学んでいくのが一般的なカリキュラムとなる。
学問へのアプローチ
児童相談所が扱う問題は、子どもの病気や障害に関する相談、子どもの家出や非行などの問題行動、父母の離婚や死亡など家族に関する相談まできわめて幅広く、しかも簡単には解決できないものが多い。学校教員や小児科医・精神科医などの専門家たちと連携し、児童の環境を総合的に判断して最善の解決法を探るため、職員には的確な判断力や忍耐力、交渉力が不可欠の資質となる。
また、核家族化で孤立しがちな家族を助けるため、地域社会で子どもを育てるという視点も大切だ。福祉施設などに引き取った子どもの心のケア、日常生活の指導、学習支援のほか、養育について家族間の連絡や面接を行うなど、子どもを家族や社会の中に復帰させることも大きな役割となる。