テーマ 心理 人間観
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どんな分野?
人間観、すなわち「人間とはなにか」あるいは「人間のこころの本質はなにか」について問い続けることは、人間にとって永遠の課題だろう。
人間は生物の中で唯一、感情や記憶・学習といった心の働きを複雑に進化させてきた存在だ。私たちは長い歴史のなかで観察と実験に基づく論理的な科学体系を打ち立てて、科学的な世界観を確立してきた。
さらに21世紀に入って、身体の中のあらゆる組織をつくれる万能のIPS細胞が開発されるなど、私たちは人間の根源的なしくみに近づいている。これからは、その知見に根ざした新しい「人間観」を打ち立てる必要がある。科学はもちろん、社会や文化、宗教、教育など多くの方向からアプローチしていくことが大切だろう。
活躍の舞台
「自然科学」的な視点のほか、「心理学」や「哲学」、「文学」「社会学」など、さまざまな学問を総動員して、総合的に「人間」の姿を解明することをめざす学問として、「人間科学」「人間学」がある。
大学では文学部、人文学部、人間社会学部などに設置されていることが多いこのジャンルでは、生物としての人間、心をもつ存在としての人間、社会や組織の一員である人間、文化を育んできた人間というように、「人間」を中心にしてあらゆるテーマを学んでいくのが特徴だ。
「人文・社会・自然科学」系にまたがるバラエティに富んだ研究テーマがあるが、これらの中から複数のテーマを選んで勉強し、多角的な視点で、自分の人間観を形作っていくのが一般的な手法だろう。
学問へのアプローチ
人間をさまざまな角度から研究し、自分の人間観をもつことは、人間の尊厳を考えることにもつながっていく。日本の憲法には「人間は個人として無条件に尊重されるべきである」と定められているが、一人ひとりが「人間観」を見直すことで、凶悪な犯罪やいじめ、地域紛争など、さまざまな課題を解決するきっかけになるはずだ。
大学で人間の一つの側面を研究テーマに選び、自らの専門性を高めることで、幅広いでスペシャリストとして就職する道が開けてくる。卒業の進路は専攻分野によって異なるが、たとえば人間の心であれば心理の専門家、人間の身体であれば医療や福祉系の仕事、組織の人間関係を専攻した場合には企業の人事部門などに活躍の場があるだろう。