テーマ 心理 メンタルヘルス
その他のキーワード
どんな分野?
ストレスの多い現代社会に暮らす私たちにとって、身体の健康だけでなく心の健康(メンタルヘルス)を保つことはきわめて大きな関心事だ。心は目に見えない。また、ほんの小さな出来事が「心の傷」として一生の記憶に刻まれるが、その異状を外部から把握することは難しい。心の中は精緻で微妙なバランスでコントロールされているからだ。
人間の心を理解するには、外部から科学的な手法で測定するだけでは十分とはいえない。そこで、複雑な人間の内面をはかるために有効とされるカウンセリング手法を中心に、対話や語りかけを通して人間と向き合い、自らが解決する方向へ促すメンタルヘルスの専門家が、精神医療を補完する存在として注目されている。
活躍の舞台
メンタルヘルスの領域では、医療系・福祉系・心理系・教育系など、さまざまな分野の専門研究者がそれぞれ独自のアプローチから心の実践的研究を進めている。大学では人文科学系統の「心理学」をはじめ、社会科学系統の「社会福祉学」、さらに医療・保健系統の「看護学」「保健学」などの学部で専門的に学ぶことができる。
学部によって重点をおくポイントが異なるが、基本的には「心理学」の手法を土台として、心を病んだ人の診断、癒しの治療を施すカウンセリングの実践技法を学んでいく。そのほかに、思想や宗教から人間の心に迫るテーマ(「哲学」「人間科学」の手法)、さらに人間の表現活動から人間の内面を分析するテーマ(「文化学」「芸術学」の手法)などもある。
学問へのアプローチ
現代人に広がるストレスや精神的なトラブルは、単なる心の病では終わらず、さまざまな身体の病気を引き起こすことが知られている。一見健康な日常生活を送る人たちにも、心療内科やカウンセリングといった形で、メンタルヘルスの専門家は身近な存在になりつつある。
メンタルヘルスの代表的な資格として「精神保健福祉士」がある。これは福祉や医療の分野でニーズが高まっている心理のスペシャリストで、心に病気や障害をもつ人を支援し、社会参加などの活動をサポートする役割が期待されている。そのほか、子どものメンタルヘルスを管理する学校教育の現場、犯罪の被害者や加害者の精神的なケアを行う司法の現場など、さまざまな分野で活躍の場が広がっている。
このキーワードについて学べる学問分野
保健・衛生・医療技術学
医療・福祉活動を医師と共に支える「保健衛生」「リハビリ」「医療技術」を研究する学問。衛生環境を整えて病気を予防したり、社会復帰を助けたりして国民の健康を守ることがテーマ
哲学・心理学
人類の根源的な疑問=「人間とは何物か」「何が生きる意味や価値か」という“こころの問題”に思索や論理を通じて迫るのが哲学、科学的なしくみとして解決しようとするのが心理学
教育学
教育の本質を捉え、学校や職場、地域社会において人間の可能性を伸ばすシステムと技法を研究する学問分野。老若男女すべての「学ぶ人」に理想的な教育の環境を提供することが大目標
社会学
家庭・地域・学校・企業など人間が作っている「組織」のしくみやはたらきを検証し、そこに生起する種々の現象を解析。社会病魔、福祉、環境、メディアといった現代的課題に迫る