テーマ 心理 社会心理
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どんな分野?
集団心理や流行をはじめ、パニック、ナショナリズムといった人間の集団や組織がもたらす社会現象は、一人ひとりの心の動きに由来する。逆に個々の人間はいじめや差別、ハラスメントなど、社会や組織から様々な影響を受けながら暮らしている。
こうした課題の解決に取り組むには、「社会心理」の視点が役に立つ。「集団・組織」対「人間」という視点から人間の心理を分析し、複雑に絡んだ問題を丁寧に解きほぐして、具体的な対策を考える。たとえば、企業運営におけるリーダーシップ、集団の中で個人の能力を最大に発揮させるためのチームワークなど、社会心理の研究成果を応用した組織管理の方法が、企業や行政、教育などあらゆる分野で応用されている。
活躍の舞台
社会心理を学んだ人は、臨床心理士、認定心理士といった心理系の資格を取得して専門職を目指すという進路がある。ただしこの仕事には、高度な専門知識と、人に対する洞察力、コミュニケーション能力が不可欠。大学院に進学して、より高度な技術や知識を身につけることも視野に入れておきたい。
社会心理の専門知識は、企業で働くビジネスマンを目指す人にも有効な武器となる。たとえば、世の中の動向を調査するための統計の理論や実践方法、データの集計・分析の手法を身につけておくことで、市場の分析、消費者動向の調査を担当する企業のマーケティング部門、あるいは顧客ニーズに合った商品やサービスを企画する開発部門などで、活躍の道が広がる。
学問へのアプローチ
社会心理に関する研究は、人文科学系統の「哲学・心理学」の一ジャンルである「社会心理学」として学問が確立している。大学では「心理学」系または「社会学」系の学部に進学することで専門的に学ぶことができる。
「心理学」では、個人の心の分析を起点とし、それを土台にして集団心理や社会現象を研究する。具体的には、個人と集団では大きく変化する人間の心を分析し、集団の中で個人が受ける心理作用を実証的に解明する。一方「社会学」では組織の中の人間関係、集団行動や群集心理などがテーマとなる。人間が構成する社会集団や組織の分析をもとに、人間関係の形成と問題発生のメカニズム、組織内での相互の心理作用、さらに個人が受ける心理的なトラブルなどを分析する。