テーマ 心理 PTSD
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どんな分野?
PTSDとは「Post-Traumatic Stress Disorder(心的外傷後ストレス障害)」の略。災害や事故、犯罪や暴力などにより、強い精神的なストレスを受けた人が心理的にダメージを受け、時間がたってからも恐怖を感じる病的な心理状態を指しています。
通常は日々の生活の中で薄れるはずの強烈な体験が記憶に残り、心の傷(トラウマ)となって恐怖や苦痛を与えるといわれています。突然、恐怖がよみがえってパニックを起こす、めまい、頭痛、不眠など症状は人によりさまざまで、メカニズムの解明や治療法の研究が徐々に進んでいます。放置するとうつ病など重い精神疾患につながるため、軽微でも症状が現れたときには、精神医療やカウンセリングなどの専門的な治療やケアが大切となります。
活躍の舞台
医学や看護学を専攻した人は、大学病院、専門病院などの医療機関に就職し、精神科や心療内科の医師、看護師として勤務するのが一般的です。精神科では、PTSDをはじめとする脳の病気に対して、適切な薬物の処方を行うことに加え、対話を通じて患者の悩みや苦しみを探って心のケアにあたります。心療内科は、心の問題を原因とするあらゆる病気の診察・治療を行う専門職です。ストレスや人間関係から身体の不調を訴える人が増加しており、医療現場でのニーズが高まっています。
この分野で学んだカウンセリングの実践手法は、そのほかさまざまな職業で生かせます。たとえば、介護や福祉関連の仕事、学校や幼稚園の教員、企業の人事や教育担当といった仕事があります。
学問へのアプローチ
PTSDについて学ぶには、「医学」または「心理学」が代表的な学問となります。「医学」では、人間の脳の働き、記憶や学習のしくみを理解し、PTSDなどのストレス障害やうつ病、発達障害、アルコール依存症など、心の病が発生する原因を科学的に解明します。また、抗うつ薬や精神安定薬による薬物療法、対話を用いる精神療法など、精神医療の現場での診断や治療の方法を実践的に学びます。「心理学」では、悩みや苦しみの原因を打ち明けてもらうことで気づきを促し、恐怖や苦痛を和らげるカウンセリングの手法を学べます。
医学の基本知識を学び、病院で治療を受ける人のケアにあたる「看護学」、人間の身体と心の問題について多角的に研究する「人間科学」という選択肢もあります。
このキーワードについて学べる学問分野
哲学・心理学
人類の根源的な疑問=「人間とは何物か」「何が生きる意味や価値か」という“こころの問題”に思索や論理を通じて迫るのが哲学、科学的なしくみとして解決しようとするのが心理学
人間科学
人間の心と身体のメカニズムをトータルに捉え、多面的な側面や要素をを備えた人間そのものに深く切り込む学問。人間だけが獲得した、動物とは一線を画した能力や要素の秘密を探る
社会学
家庭・地域・学校・企業など人間が作っている「組織」のしくみやはたらきを検証し、そこに生起する種々の現象を解析。社会病魔、福祉、環境、メディアといった現代的課題に迫る
医学
人間の身体のしくみや生命活動を、健康との関係で科学的に捉え、人間の病気やケガのメカニズムを解明。その治療法と予防法を総合的に研究する学問。研究の進歩が著しい最先端科学
看護学
医療現場や福祉施設、地域社会における看護と介護のプロフェッショナル領域。医師をサポートしつつ、病気の人や高齢者・障害者を、身近にあって心身両面からケアするための実践学問