小説家になる方法4選!仕事内容や有名な小説家の出身大学も紹介
2023.01.12
高校生の皆さんも、普段から図書館や書店で小説を手に取ったり、国語の教科書で小説を学んだりしているでしょう。文章を読んでいるうちに、物語の場面が頭の中に浮かんだ経験や、登場人物の心の内を知って、まるで自分のことのように感じた経験をしているかもしれませんね。自分も小説家になって物語を紡いでみたいと、憧れている人もいるのでは?この記事では、そんな小説家の仕事についてご紹介していきます!
改めて、小説家とはどんな仕事なのでしょうか?初めに、小説家の仕事内容ややりがいについてお伝えします!
目次
小説家になる方法4選
小説家になる具体的な方法として、以下の4つを紹介します。
- 新人賞に応募する
- 出版社に作品を持ち込む
- Web小説サイトからはじめる
- 自費で出版する
順番に解説します。
新人賞に応募する
小説家になるための王道ルートとして、新人賞に応募する方法があります。いろいろなジャンルの新人賞がありますが、たとえば芸術性や文章力の高さで評価される「純文学」の大手の賞であれば、以下の5つが有名です。
- 文藝賞(ぶんげいしょう)
- 新潮新人賞
- 文學界(ぶんがくかい)新人賞
- 群像新人文学賞
- すばる文学賞
受賞すれば、小説家デビューを果たせるだけでなく賞金ももらえます。すばる文学賞は賞金100万円、それ以外の賞は50万円です。
新人賞のジャンルは、純文学のほかにも、エンターテイメント性の高い「大衆文学」や若者をターゲットとした娯楽小説である「ライトノベル」などがあります。自分の書きたいジャンルを選んで、応募してみましょう。
出版社に作品を持ち込む
小説家になる方法のひとつとして、出版社への原稿持ち込みがあります。しかし、対面での持ち込みを受け付けている出版社はほとんどありません。原稿を募集している出版社も、受付はWebでの応募や郵送がほとんどです。
稀なケースですが、知人を通じて編集者とつながりを持ち、作品を読んでもらえることもあります。人気ホラー作家の京極夏彦さんも、持ち込み原稿がきっかけでデビューを果たしました。
持ち込みは狭き門ですが、小説家への一つの道筋かもしれません。
Web小説サイトからはじめる
近年ではWeb小説サイトからデビューする小説家もいます。近年では、多数のWeb小説サイトがあり、誰でも作品の投稿、閲覧、コメントなどが可能です。有名なWeb小説サイトを3つ紹介します。
Web小説サイトではコンテストも開催しており、受賞作はアニメ化やドラマ化されることもあります。また、サイトで人気が出れば「君の膵臓をたべたい」のように、書籍化、実写映画化されるチャンスも。ネット小説のコンテストでは、文字制限がなかったり、ジャンルも不問であったりと、新人賞よりも応募しやすい傾向にあるので、ぜひチャレンジしてみてください。
Web小説を書く時のポイントは、一般読者である審査員を飽きさせない工夫です。毎日更新や流行を取り入れたストーリーなどを意識しましょう。新人賞とは違う難しさがあり、また、倍率も新人賞並みに高いことは知っておきましょう。
参考:ネット小説大賞とは | ネット小説大賞 (cg-con.com)
自費で出版する
小説家デビューとして、本を自費で出版する(著者が本の出版に関わる費用を負担する方法)のもひとつの方法です。以下のように、自費出版がきっかけで有名小説家になった例もあります。
- 氷の華(天野節子)
- リアル鬼ごっこ(山田悠介)
- 佐賀のがばいばあちゃん(島田洋七)
- B型自分の説明書(Jamais Jamais)
自費出版でも、ベストセラーになったり、テレビ・映画化されたりすることもあります。自分の作品に自信がある人や、どうしても自分の作品を世に出したい人は、試してみてもいいですね。
小説家に求められるスキル
説家に求められるスキルとして、以下を紹介します。
- 想像する力
- 文章力
- 調査する力
- スケジュール管理スキル
順番に解説します。
創造する力
小説家はあらゆる世界を創造します。そのためにも、自由な発想力、作品に奥行きをもたらす豊富な知識、読者を引き込む構成力などを総合した、創造する力がなくてはなりません。
創造力は、日々の読書や経験、身の回りのあらゆる物事への観察を通じて少しずつ磨かれていきます。新しいことに挑戦し続け感性を豊かにすることが、物語を生み出す源となるのです。
文章力
小説家には、文章一つで読者を小説の世界へ引き込む力が必須です。すらすらと読める文章を書けることが前提となります。さらには、表現を豊かにする語彙力、登場人物を魅力的に表現するテクニックなども求められます。
文章力を磨くには、良質な小説をたくさん読むことはもちろん、日記や短編を書いてみるなど、実際に文章を書く機会を自分で作ることが大切です。学校の作文や感想文に真剣に取り組むことも、確かな一歩となるでしょう。
調査する力
小説を執筆する準備として、物語の舞台となる場所へ実際に足を運んだり、モデルとなる人物に話を聞いたりと、取材を行うこともあります。文章だけで物語にリアリティを持たせるために、徹底的に情報を調査して作品に活かすことも大切なスキルです。
調査力を磨くには、興味のあるテーマについて図書館で資料を探したり、街の歴史を調べたり、地域の人にインタビューしたりと、身近なところから始められます。レポートや課題研究に取り組む中で、信頼できる情報の見極め方を学んでいくこともできるでしょう。
スケジュール管理スキル
小説を文学賞に応募したり、新聞や雑誌で連載したりするためには、決められた締め切りを守らなければなりません。期限までに小説を完成させるために、日々やるべきことを整理して、着実に取り組む管理スキルが必要です!
毎日の予習や課題、部活動の練習など、やるべきことを手帳やアプリで管理し、計画的にこなしていく習慣をつけることが、このスキルの土台となります。締め切りが重なる定期テスト期間を、良い練習の機会と捉えて挑戦してみるのもいいでしょう。
小説家になるための資格とおすすめの学部
小説家に必須の資格はありませんが、以下でご紹介する資格で学べる知識やスキルは、仕事に役立てられます。また、大学での学びを仕事に活かせるので、ぜひ進学先選びの参考にしてみてください。
小説家に必要な資格
小説家になるために必要な資格は特にありませんが、学ぶことで仕事に役立てられる資格はあります。たとえば、以下のような資格です。
- 日本漢字能力検定(漢検)
- 文章読解・作成能力検定
漢検では、日本語の表現において重要な漢字への理解を深められ、文章に反映させることで小説の文体に豊かさがもたらされます。日常生活では使う機会の少ない漢字に触れて語彙力を増やし、故事成語やことわざ、四字熟語などの教養を身に付けられるでしょう!
また、「文章読解・作成能力検定」の勉強では、正確な文法をはじめとした文章作成の基本を学びつつ、効果的な文章構成や文章表現のテクニックまで磨けるのが魅力です。小説家を目指すなら、チャレンジしてみてはいかがでしょうか?
小説家になるためのおすすめの学部・学科
小説家になるための進路として、日本や海外の文学を専攻して学びを深められる文学部を思い浮かべる人が多いのでは?
たとえば、文学部で日本文学を専攻すると、日本の古典文学に始まり近現代の文学に至るまで研究しながら、歴史に残る文学作品から日本語の豊かな表現を学んだり、文学史や文学理論など創作に活かせる教養を身に付けたりできます。
また、文学部には日本文学のほかにも、英文学・フランス文学・ドイツ文学・ロシア文学をはじめとした世界の文学を扱う学科があるのも魅力。こうした学科で海外文学を学び、小説家として活躍しながら外国の小説の翻訳に携わる人もいます。
文学部の教員の中には、文壇の第一線で活躍する小説家や批評家もいるので、学年が上がってゼミや研究室に入れば、憧れの小説家から直接指導を受けるチャンスもあるかも!
文学部のある大学の一例は、以下のとおりです。
- 立正大学 文学部 文学科 日本語日本文学専攻コース
- 明治学院大学 文学部 英文学科
- 大妻女子大学 文学部 日本文学科
- 京都女子大学 文学部 国文学科
- 関西学院大学 文学部 文学言語学科
- ノートルダム清心女子大学 文学部 英語英文学科
有名な小説家の出身大学
ここでは、有名な小説家の出身大学を紹介します。進路選びの参考にしてみてください。
作家名 | 出身大学 | 主な作品 |
坂口恭平 | 早稲田大学 理工学部 | ・幼年時代 ・隅田川のエジソン |
三宅彰 | 明治大学 法学部 | ・風よ、撃て ・レッド・クロス |
つかこうへい | 慶應義塾大学 文学部 | ・熱海殺人事件 ・蒲田行進曲 |
湊かなえ | 武庫川女子大学 生活環境学部(旧家政学部) | ・告白 ・母性 |
伊坂幸太郎 | 東北大学 法学部 | ・重力ピエロ ・アヒルと鴨のコインロッカー |
ほかにも、小説家として活躍している人の出身大学を知りたい人は、「JOB-BIKI ジョブビキ」を活用してみてください。
社会人になってから小説家を目指す方法もある
小説家になるのに年齢制限はないので、社会人として別の仕事をしながら小説家を目指す人も多いです。ほとんどの賞は年齢制限を設けていないため、何歳でも挑戦できますよ。
過去には75歳で芥川賞を受賞した人もいます。年齢を重ね、さまざまな人生経験を積んだ人だからこそ書ける小説もあります。
小説家の仕事の内容
小説家の仕事内容は、以下のとおりです。
- 出版社と小説の内容を協議
- 取材や資料集め
- 執筆
順番に解説します。
編集者と小説の内容を協議
小説づくりは、編集者と物語のテーマや内容について話し合うところから始まります。
「どんな本が今人気があるのか」「他の本にない特徴をどう出すか」など、本を売る立場からの意見も大切です。編集者からの提案を受け入れつつ、時には作家としての信念を主張することも必要でしょう。
取材や資料集め
小説の世界をより深くリアルに描くため、作家は綿密な取材や資料収集を行います。
歴史小説なら当時の暮らしや文化を調べ、史跡を訪れてイメージを膨らませることも。医療や警察を題材にする場合は、専門家への取材が不可欠です。
また、物語の舞台となる土地を実際に訪れ、その空気や雰囲気を肌で感じることで、説得力のある描写が可能になります。
資料集めは時間のかかる作業ですが、作品の質を高める大切な過程なのです。
執筆
リサーチが終わったら、執筆に入ります。小説を書き上げる道のりは、作家によってさまざまです。早朝から机に向かう人、夜の静けさの中でインスピレーションを得る人、毎日短時間でも書き続ける人など、それぞれのリズムで創作に取り組みます。
連載作品では章や回ごとに、単行本では全体の提出日が定められています。
原稿は編集者がチェックし、改良を重ねていきます。専門の校正・校閲者による誤字脱字のチェックや表現の統一なども行われます。
小説家の仕事のやりがい
小説家の仕事の大部分は、一人で執筆する時間が占めています。複数人で協力して制作するケースが多い映像や漫画の現場とは異なり、作品の完成までは一人で黙々と文章を書き続けることになるでしょう。しかし、完成した小説には、読者の想像力をかき立てて小説家が作り上げた世界に引き込む力があります。小説を通じて多くの人を感動させたり、驚かせたり、時には考え方を変えるほどの大きな影響を与えられたときは、読者とつながる充実感を強くおぼえるはず!
小説家の想定年収
小説家の年収は、一般的に150万円~300万円ともいわれ、大きく幅があります。その理由は、小説家の収入が「原稿料(=出版社から小説の原稿に対して支払われるお金)」と「印税(=売れた本1冊あたりに対して支払われるお金)」から成り立っているためです。文学賞で注目を集めて本がたくさん売れたり、作品の評判が良くベストセラーになったりした場合には、多くの印税収入が期待できるでしょう。さらに、小説がドラマや映画などに映像化されれば、「原作使用料(=作品の原作者に支払われるお金)」を得られることも。安定して本が売れるようになるまでは収入が不安定になりやすい職業ですが、著名な作家になると年収が1,000万円~1億円を超えることもあるのです!
小説家の就職先とキャリアプラン
小説家を目指す人はどんな場所に就職するのか、将来はどんな働き方をするのかをお伝えします。
小説家の就職先
基本的に、小説家はフリーランス(個人で契約して仕事をする人のこと)として働き、特定の組織には所属せずに個人で仕事をします。ただし、小説の執筆のみで安定した収入を得るのが難しい場合には、会社に就職したり、アルバイトをしたりするのが一般的です。会社に就職するケースでは、小説に関連する出版社や編集プロダクションの仕事に就く人も!また、残業が少ない会社や休暇をしっかりと取れる会社など、十分な執筆時間を確保できる仕事に就くのも一つの手です。なかには、医師や銀行員といった別の仕事での経験を作品の題材にする小説家もいます!
小説家のキャリアプラン
小説家としてデビューしたら、まずは小説の執筆のみで安定した収入を得られる状態を目指します。王道とされる流れは、注目度の高い新人賞を受賞して、作品の書籍化を狙うこと。例年メディアで取り上げられて話題となる「芥川賞(芥川龍之介賞)」や「直木賞(直木三十五賞)」は、新人賞の代表例です。その後は、新聞や雑誌などに連載小説を掲載して書籍化を目指し、さらに文庫化を目指すなど、人気や評価を得られる作品を生み出していきます。小説家として一定の知名度や評価がついてから、メディアに出演するタレントやコメンテーターなどへ活躍の場を広げる選択肢も!また、小説家を目指す人が通うスクールで講師を務めるなど、指導する立場になる道もありますよ。
小説家になりたいあなたは「JOB-BIKI」で進路検索!
ここまで小説家の仕事についてお伝えしました。小説家を目指して国内外の文学や芸術を学ぶなら、大学に通うのがおすすめです。大学は充実した学びを叶える環境があるのはもちろん、人と交流する機会も豊富で、小説の題材になるような刺激を受ける場所でもあります。たとえば、小説家の村上春樹さんは早稲田大学第一文学部の卒業生。代表作の一つである『ノルウェイの森』の主人公は、文学部に通う大学生で、作中では大学のキャンパスや講義の様子が描かれています。大学によっては、文学部などに文芸創作や表現を学べる学科やコースがあるので、小説家を目指すならぜひチェックしてみてください。
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