逆引き大学辞典逆引き大学辞典

建築士になるには?建築士の種類と資格の詳細、大学と学部学科選び

2023.01.16

カテゴリー:
設計図を制作する建築士の男性

建築士は、建物の設計や建築工事での指示・監督などを行う仕事です。「建築にかかわる仕事がしたい!」「自分が手がけたものを後世に残したい!」という人にぴったりの職業といえます。建築士として働いていくためには、試験を受けて合格し、資格を取得しなければいけません。資格を取るためには、どんな勉強をしていけば良いのでしょうか?今回は、建築士の仕事内容や求められる力、資格の種類、進みたい学部などの情報をご紹介します。

建築士の種類と必要な資格

建築士の種類は、以下3つに分けられます。

  • 一級建築士
  • 二級建築士
  • 木造建築士

それぞれ設計できる建物の規模や種類などが異なります。こちらでは、資格ごとの細かい違いや、取得方法などを確かめていきましょう。

一級建築士

一級建築士の強みは、設計できる建物に制限がないことです。住宅はもちろん、超高層ビルや大型ショッピングセンター、オリンピックスタジアムなど、幅広い建築物を扱えます。その分、取得する難易度も高いことが特徴です。

一級建築士試験の受験資格を取るためには、大学・短大・専門学校などで指定科目を学ぶ方法と、二級建築士の資格を取ってから取得を目指す方法があります。たとえば、4年制大学で指定科目を履修した場合は、卒業後2年以上の実務経験を積んでから一級建築士の試験を受けられます。二級建築士から一級建築士を目指す場合は、4年以上の実務経験が必要です。

このように、一級建築士になるためには実際に働いて経験を積みながら試験勉強を行うことが求められます。働きながら資格を取るのは大変ですが、取得できたら仕事の幅がぐんと広がるので、努力を積み重ねていくことが大切です!

令和5年度の一級建築士試験の合格率は、9.9%(学科16.2% 製図33.2%)でした。直近5年間の合格率も9~10%で推移しています。一級建築士は、約1割しか合格できない難易度の高い試験です。

参考:試験結果:建築技術教育普及センター (jaeic.or.jp)

二級建築士

二級建築士は設計可能な建物の規模に制限があります。一般的な規模の住宅なら設計できるので、マイホームの建築に携わる仕事をしている人は、こちらの資格のみを取得しているケースもありますよ。

二級建築士試験も、大学・短大・専門学校で指定科目を修めることで受験できる方法があります。必要な科目をすべて履修して卒業した場合、実務経験なしで受験できるのがメリット。建築に関する学歴がない場合は7年以上の実務経験が必要です。「できるだけ早く資格を取りたい!」という人には、建築系の学部・学科に進学する方法がおすすめといえます。

令和5年度の二級建築士の合格率は、22.3%(学科35% 製図49.9%)でした。直近5年間の合格率は22~26%で推移しています。二級建築士は、約2割しか合格できないため難易度は高いと言えます。

参考:試験結果:建築技術教育普及センター (jaeic.or.jp)

木造建築士

木造建築士は、名前の通りに木造の建物を扱うことができます。鉄骨造や鉄筋などの建物は扱えません。ただ、よく見られる戸建て住宅の多くは木造です。二級建築士と同じくマイホームを作る会社で活躍している人も少なくありません。また、就職先によっては、木造建築の専門知識を生かして、伝統的な神社やお寺などの建築にかかわる機会もあります。

木造建築士試験を受けるのに必要な条件は二級建築士と同じです。木造建築に携わっていきたいと考えている人なら、こちらの資格を検討してみることもおすすめです。

令和5年度の木造建築士の合格率は、44.5%(学科65.2% 製図70.4%)でした。直近5年間の合格率は、33~44%で推移しています。

建築士になるには?

建築士になるために設計の勉強に励む女性

建築士になるには、試験に合格し免許登録を行う必要があります。受験・免許登録ともに要件があるので、以下の表を参考にしてみてください。

建築士の免許取得の要件

引用:建築士試験パンフ|国土交通省

建築士になるには試験に合格する必要がありますが、建築士試験は誰でも受験できるわけではありません。大学や短大などで、指定の単位を取得し卒業すれば、受験資格が得られるのです。また、建築士の種類によっては、試験合格のみでなく実務経験が必要な場合もあります。

ここでは、高校生のみなさんが建築士になるためのルートを種類別に紹介します。

二級建築士・木造建築士になるためのルート

二級建築士や木造建築士になる方法はいくつかありますが、高校生のみなさんが今から目指すのであれば、以下のルートをおすすめします。

  1. 大学・短大・高等専門学校で指定の単位を取得・卒業し、受験資格を得る
  2. 二級建築士試験もしくは木造建築士試験を受験し、合格する
  3. 免許登録を行い建築士になる

学校で体系的に建築に関する知識を身に付けられるので、試験や実務で活かしやすいです。また、このルートの場合、実務経験なしで免許登録ができるので、スムーズにいけば卒業後すぐ免許登録が可能です。

一級建築士になるためのルート

高校生のみなさんが一級建築士を目指す場合は、以下のルートがおすすめです。

  1. 大学・短大・高等専門学校で指定の単位を取得・卒業し、受験資格を得る
  2. 一級建築士試験を受験し、合格する
  3. 実務経験(2~4年)を積む
  4. 免許登録を行い建築士になる

二級建築士になってから一級建築士を目指す方法もありますが、はやく一級建築士になりたい場合は、上記ルートのとおり二級は受けずに最初から一級合格を目指すのが近道です。

一級建築士の場合は、免許登録の要件として学歴に応じた実務経験が必要です。大学の場合は2年、3年制の短大の場合は3年、2年制の短大や高等専門学校の場合は4年の実務経験が必要です。

次の章では、建築士の単位を取得できる学部について紹介します。

建築士を目指せる大学の学部

授業で製図を学ぶ大学生の手

ご紹介したように、建築士の資格試験を受けるためにはさまざまな条件を満たす必要があります。実務経験を積めば高卒で受験することも可能です。ただ、大学でしっかりと建築について学んでおくと、仕事のさまざまな場面で役に立ちます。さらに、指定科目を修めることで、早めに試験を受けることもできます。

主な建築系の学部・学科は、以下の通りです。

  • 建築学部建築学科
  • 工学部建築学科
  • 美術学部建築科

大学によって、学べる内容はさまざまです。たとえば、建物の構造を中心に学ぶところもあれば、デザインを中心に学ぶところも。気になる大学を見つけたら、どんな内容の講義や実習があるのか詳しく調べてみましょう。

一級建築士の合格率が高い大学トップ5

一級建築士試験に合格した人の出身大学トップ5(令和5年度)は以下の通りです。

  1. 日本大学 
  2. 東京理科大学
  3. 芝浦工業大学
  4. 早稲田大学
  5. 近畿大学

参考:試験結果:建築技術教育普及センター (jaeic.or.jp)

参考にしてみてください。

建築士の仕事の内容

現場で作業員と設計図を確認する設計士の男性

建築士の仕事は「建物の設計」や「建築工事の監理」などです。お客様の依頼を受けたら、希望を聞きながらどんな建物を作るかを考えます。イメージが決まったら設計図を描いたり、模型を作ったりして建物の具体的な姿を形にします。

どんなデザインにするのか、どんな設備を使うかといった細かい部分も、お客様の要望に合わせて決めていきます。また、どのくらいのお金が必要になるかも計算して、予算内に収まるように調整するのも建築士の仕事です。ほかにも、建築にかかわる法律を調査しておき、必要な申請を行うこともあります。

実際に工事が始まったら、現場で工事監理を行います。工事監理とは、工事が設計図通りに順調に進んでいるか確認することです。現場でつねに作業を監督するわけではなく、必要なタイミングで検査を実施して工事の状況をチェックします。ときには設計を修正することも。理想の建物を作り上げるため、さまざまな場面で建築士の知識やスキルが求められます!

建築士の仕事のやりがい

建築士の仕事では、ゼロから建築物を作る現場に携われます。自分のなかにある建物のイメージを形にできるので、ものづくりが好きな人にとってはワクワクする場面がたくさんあるはず!完成した建物を前にしたときは、大きな達成感を得られるでしょう。

建築士の想定年収

建築士は「一級建築士」「二級建築士」「木造建築士」に大きく分けられます。なかでも一級建築士はもっとも収入が高くなりやすいとされ、年収500万円~700万円程度が目安といわれています。二級建築士は300万円~500万円程度、木造建築士は350万円前後が目安です。もちろん、年収は就職先によって変わります。実際の給料が気になる場合は、建築士の資格を持つ人に向けた求人募集をチェックしてみることがおすすめです。

建築士に求められる力

木造建築の資料を収集する建築士の男性

建築士になって仕事を続けていくためには、どんなスキルや資質が必要なのでしょうか。こちらでは、建築士に求められる力をご紹介します。

コミュニケーション能力

建物を作るためには、多くの人の力を合わせる必要があります。営業担当者や現場スタッフなど、さまざまな人と協力するためにコミュニケーションをとれる能力が不可欠です。お客様と何度も会話を重ねて、希望を取り入れながら設計することも重要な仕事の一つ。相手が求めることを的確に理解できる能力も求められます!

設計力

お客様によって、建物に求める要望はさまざま。すべての要望を盛り込んだ建物を作るのは難しいこともあります。建築士には、予算や期限などの現実的な問題を考えながら、できる限りお客様の理想を叶えるため、柔軟な発想で設計を行う力が必要とされます。
さまざまな要望を実現するためには、建築についての豊富な知識が欠かせないといえるでしょう。また、覚えた知識を活用するための技術も必要です。建築について学べる環境で、しっかりと知識や技術を習得していくことが大切です。

新しい知識や技術を身に付けられる力

建築に関する技術は、どんどん新しくなっていきます。建築士として就職できた後も、新しいシステムの使い方を覚えたり、流行のデザインを調べたりといった努力が必要になる場面もあります。たとえば、建築現場では測量や点検などでドローンを使うことが増えているため、使い方を覚える必要があることも。仕事への向上心があり、新しい知識や技術を身に付けられるように努力していけることも重要な能力といえるでしょう。

建築士の就職先とキャリアプラン

建築士の主な就職先には、設計事務所・ハウスメーカー・工務店・ゼネコンなどがあります。就職先によって住宅・オフィスビル・店舗・学校など、扱える建築物は異なります。どんな建物を設計したいかによって、応募する職場は変わってくるでしょう。

建築士として就職した後は、さまざまな道が考えられます。スキルアップすることで、スカイツリーや瀬戸大橋といったランドマークとなる大規模な建築に携わることも可能です。世界文化賞の建築部門を受賞するような、芸術的な建築ができるようになることも。建築士の資格を生かして、建築系の業界で長く働いていくことができますよ。

建築士になりたいあなたは「JOB-BIKI」で進路検索!

建築士になるには試験を受けて資格を取ることが必要です。大学で建築について学ぶことで受験資格を得られると同時に、専門的な知識も身に付けられます。建築士になりたい人は、建築学科への進学も検討するのがおすすめです。

建築士を目指せる大学に興味があるなら、ぜひ「JOB-BIKI」を活用してみてください。「人物検索」で「建築士」を調べると、実際に建築士として活躍している方の出身大学を調べられますよ。また、「業種から探す」で「建設・建築」を選ぶと、建設系の会社や、就職した人の出身大学などがわかります。

「JOB-BIKI」の人物検索で「建築」についての著名人を検索

「JOB-BIKI」の就職先検索で「建設・建築」業界の企業を検索

よく読まれている記事

タグで記事を絞り込む