国会議員とは?気になる年収ややりがい、必要な資格やスキルについて解説
2023.03.09
目次
国会議員とは?
国会議員は、国民の代表として国に関する大事な議題について話し合い、決定する役割を持っています。参議院と衆議院の2院で構成され、それぞれの議員の多数決によって政治の方向性が決まります。
国会は憲法によって「国権の最高機関」と定められており、法律を決められる唯一の機関です。決定権を握る国会議員は国民の代表なので、全員が国民の投票によって選出されています。衆議院議員の任期は4年、参議院議員の任期は6年で、任期を迎えると選挙がおこなわれます。
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国会議員と代議士の違い
国会議員と混同される言葉に「代議士」があります。代議士は「他人に代わって議すること」を意味するので、国民の代表として議論を重ねる国会議員と同じ意味を持っています。
意味のとおり代議士も国会議員のことを指しますが、一般的に衆議院議員のみをいいます。代議士の由来は大日本帝国憲法ですが、当時の国会は貴族院と衆議院で構成されていました。国民の代表として選挙で選ばれていたのは衆議院のみだったため、衆議院議員のみを代議士と呼ぶようになったのです。
国会議員の仕事内容
国会議員の仕事内容は、大きく分けて下記の4つです。
● 法律を決定する
● 税金の使いみちを決定する
● 内閣総理大臣を指名する
● 外国と結ぶ条約を承認する
ひとつずつ、簡単に紹介しましょう。
法律を決定する
内閣や国会議員が提出した法案について、国会議員は審議を重ねます。両議院で可決すると内閣総理大臣名で審議され、そこも可決されると天皇が公布する(国民に知らせる)流れになっています。
税金の使いみちを決定する
国会議員は、税金によって構成される国の予算を最終決定する役割を持っています。予算の見積もり・調整が各省庁、財務省の順でおこなわれ、内閣に提出されます。内閣が最終的な予算案を閣議によって決定し、国会に提出して初めて国会議員の審議にかけられます。
内閣総理大臣を指名する
内閣総理大臣は、国会議員の中から選出されます。
1人の名前のみ記載する単記記名投票によって、投票の過半数を得ると内閣総理大臣に指名されます。
衆議院と参議院とで指名がわかれたときは協議会が開かれ、そこでも決まらなかった場合は衆議院の議決が国会の最終決定となります。
外国と結ぶ条約を承認する
条約は、内閣が外国の政府と交わす約束ごとを文書に書き起こしたものです。国会が承認することで条約を結ぶことができ、国会議員はその決定権を握っています。
国会議員の仕事のやりがい
国会議員の仕事は、世のため人のために全力を尽くせることにやりがいを感じられます。
国民の代表として法律の改定に携わることや、予算や内閣総理大臣を決定することは、プレッシャーを感じると同時に誇らしくもあるでしょう。
1人の議員の発言が国の決定を大きく左右するという事実は、責任ある仕事を担っている自分自身への自己肯定感を高めてくれます。より世のため人のためになる仕事をするというモチベーションにもつながるでしょう。
また、定期的に国民や地域住民と交流することで、自身の存在意義を確かめられるのも魅力です。
国会議員は国民の投票があってこそできる仕事なので、国会議員に選ばれたということはそれだけ人の期待に応えたいという想いも強くなります。
国会議員の仕事の流れ
国会議員には決まった労働時間がないため、スケジュールは基本的に自分の裁量次第です。地方に選挙区を持つ国会議員のスケジュールの一例をご紹介します。国会会期中は会議を中心にスケジュールが組まれるため、閉会中とで多少異なります。
時間 | 国会会期中 | 国会閉会中 |
8:00 | 勉強会 | 事務所で勉強 |
9:30 | 所属する委員会に出席 議案の審議をおこない採決をとる | 勉強会に参加 |
10:30 | ||
11:30 | 国会内にある食堂で昼食 | |
12:00 | 昼食 | |
13:00 | 衆議院本会議 | |
14:00 | 国会案内・会談 地元から支援者が訪問したときに対応 | 地元に移動して市議や支援者と会う |
15:00 | 来客対応 | |
16:00 | 後援会によるタウンミーティングに参加 | |
17:00 | 勉強会 | |
19:00 | 翌日の委員会の受け答えについて秘書と打ち合わせ | 地元の支援者との懇親会 |
20:30 | 支援者と懇親会 | |
22:00 | 帰京 | |
23:30 | 帰宅 |
国会議員の年収
国会議員の報酬は「歳費(さいひ)」といい、月額129万4,000円と定められているので、年額は1,552万8,000円になります。ここに、期末手当として年額635万円が加算されるので、年収は総額2,187万8000円程度です。
国会議員に必要な資質と能力
国会議員は、「人のために働く」ことが大好きな人に向いています。
国会議員は法律や予算の決定権を持っていますが、提案を進めるには多くの人の意見をまとめる必要があります。そのため、国会議員には会議を進める推進力や判断力も必要です。意見を集めたり反対意見を持つ人を説得したりと労力がかかりますが、それも「人のお役に立ちたい」という想いが強い人なら、乗り越えられるでしょう。
国会議員になるための方法とは?
国会議員になるには、選挙に立候補して国民に選ばれる必要があります。立候補するには日本国籍であり、衆議院は満25歳以上、参議院は満30歳以上といった年齢制限がありますが、ほかに資格はいりません。しかし立候補して選ばれるためには、政治の勉強や人脈づくりなど地道に努力を積み重ねる必要があります。
国会議員の世界の現状
国会議員の仕事は、国民の生活をよりよくするための法案提出や政策の立案です。
しかし国会議員でいられるかどうかが選挙次第であるためか、ほとんどの時間を支援者へのあいさつ回りと地域貢献に時間を費やしていて、法案や政策の提案には消極的な議員も少なくないといわれています。
また、国会議員が定年後の再就職先となっている現状もあり、議員の高齢化も問題視されています。高齢化が進むと議員の活動が鈍化することが懸念されているためです。国の財政状況もひっ迫しており、議員の定員人数と歳費の削減を求める声も強くなってきました。
現状を打破して日本全体を豊かにするために、若手議員の活躍が期待されています。
国会議員になるための勉強ができる大学・学部
国会議員は国民の代表であり、さまざまな経歴、学歴の議員がいます。ですから、国会議員になるために大学卒業は必須ではありません。しかし立法府である以上は法律に関することが学べる法学部、政治を学べる政治学部、政経学部などに進むのがオススメです。
国会議員を目指せる大学・短期大学の一覧
国会議員になるために必要な勉強ができる大学・短大の中から、戦後の総理大臣の通っていた大学・学部を一覧にしました。進学先を選ぶときの参考にしてみてください。
大学名 | 学部・学科名 | この大学出身の総理大臣 |
東京大学 | 法学部 ・法学政治学研究科 | 第44代:幣原 喜重郎 第45、48~51代:吉田 茂 第46代:片山 哲 第47代:芦田 均 第52~54代:鳩山 一郎 第56~57代:岸 信介 第61~63代:佐藤 榮作 第67代:福田 赳夫 第71~73代:中曽根 康弘 第78代:宮澤 喜一 第93代:鳩山 由紀夫 |
早稲田大学 | 法学部 政治経済学部 ・政治学科 ・経済学科 ・国際政治経済学科 | 第55代:石橋 湛山 第64~65代:田中 角榮 第74代:竹下 登 第76~77代:海部 俊樹 第84代:小渕 恵三 第85~86代:森 喜朗 第91代:福田 康夫 第95代:野田 佳彦 第100代:岸田 文雄 |
京都大学 | 法学部 経済学部 | 第58~60代:池田 勇人 |
明治大学 | 政治経済学部 | 第66代:三木 武夫 第81代:村山 富市 |
一橋大学 | 法学部 ・法律学科 | 第68~69代:大平 正芳 |
神戸大学 | 法学部 ・法律学科 | 第75代:宇野 宗佑 |
中央大学 | 法学部 ・法律学科 ・国際企業関係法学科 ・政治学科 | 第76~77代:海部 俊樹 |
上智大学 | 法学部 ・法律学科 ・国際関係法学科 ・地球環境法学科 | 第79代:細川 護煕 |
成蹊大学 | 法学部 ・政治学科 | 第80代:羽田 孜 第90・96~98代:安倍 晋三 |
慶應義塾大学 | 総合政策学部 法学部 ・法律学科 ・政治学科 | 第82~83代:橋本 龍太郎 第87~89代:小泉 純一郎 |
学習院大学 | 法学部 ・政治学科 | 第92代:麻生 太郎 |
法政大学 | 法学部 ・法律学科 ・政治学科 ・国際政治学科 | 第99代:菅 義偉 |
国会議員に必要な資格や受験すべき試験
国会議員になるために必要な資格や試験はありません。議員秘書になるための国会議員政策担当秘書資格試験や政治塾への入塾などは国会議員になるのに有利ではありますが、大学卒業者あるいは卒業見込み以上が対象となります。
議員インターンシップなどを利用すれば、学生のうちから国会議員の活動に触れ人脈をつくることができるので、探して応募してみるのもいいでしょう。
政治塾とは
政党がおこなう政治塾や、政党関係なく広く塾生を募集している政治塾があります。大学を卒業していれば入塾可能なところが大半ですが、入塾には相応の費用がかかります。
国会議員になるために目指すべき就職先
国会議員になるため、目指すべき進路を簡単にまとめました。国会議員になるためには選挙に当選する必要がありますが、国民に選挙で選ばれるために基盤を固める必要があります。
官僚・公務員
まずは官僚や公務員になって経験を積んでから、議員に立候補するという流れもあります。官僚や公務員の仕事を経験すれば行政の現場を知れるので、国会議員になってからの活動がスムーズになるでしょう。官僚含め公務員になるための公務員試験は学歴関係なく受験できます。官僚になるには人事院がおこなう国家公務員採用試験(Ⅰ種~Ⅲ種)を受験する必要があり、特に超難関といわれるⅠ種に受かると「キャリア官僚」と呼ばれ、官僚としても次々とステップアップできる可能性があります。
国会議員政策担当秘書
国会議員政策担当秘書(議員秘書)は、国会議員の活動をサポートする仕事です。大学を卒業していれば国会議員政策担当秘書資格試験を受験することができます。秘書として国会議員のサポートをしながら業務を覚え、人のつながりを増やすこともできるでしょう。
国会議員になった後のキャリアプラン
国会議員になった後は、国のため人のために法律や制度を整えるために活動します。地元にもっと貢献するために知事になる、自らの政治理念の実現のために党首になる、などの道を選ぶと良いでしょう。
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国会議員は国民の代表として、法律や制度を整えたり、内閣総理大臣や予算を決定したりする仕事です。
国会議員になるには資格や学歴は不要ですが、選挙による選出で決まるものです。選挙区で評価される実績や人脈を築き上げる必要があるでしょう。選挙に出馬できる25~30歳になるまでに、政治や法律、歴史などを大学で学び、政治塾へ入塾したり、議員秘書や官僚として経験を積んでから立候補するのが良いでしょう。
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