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翻訳者(翻訳家)になるには?年収や必要な資格、目指せる大学の選び方

2023.04.20

カテゴリー:
仕事をする翻訳家

翻訳者(翻訳家)は、海外の文章を翻訳するのが仕事です。しかし、実際にどのような仕事をしているのかイメージしづらいですよね。この記事では翻訳者の仕事内容と翻訳者になるための方法を紹介します。ぜひ参考にしてみてくださいね。

翻訳者(翻訳家)とは?

翻訳者とは、海外の文章や映像を他国の言語に訳す仕事です。私たちが海外映画や小説を気軽に楽しめるのは翻訳者のおかげです。 さまざまな言語に精通し、他の言語の作品を日本語で読めるようにしてくれます。また、日本の作品を海外に向けて翻訳するのも翻訳者の仕事です。翻訳者の手によって、日本で話題になった作品を、海外の人にも楽しんでもらえます。


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翻訳者と翻訳家と通訳者の違い

翻訳者が文書の翻訳をするのに対し、翻訳家は、文芸や映像など創作物の翻訳を手掛ける人のことです。ただし、翻訳者のことを翻訳家と呼ぶこともあるので、両者に大きな違いはないと考えてよいでしょう。本記事では、翻訳者も翻訳家も同じ職業として紹介しています。

通訳者は、他国の言葉を訳す仕事です。通訳と翻訳は似た言葉に感じられますが、異なる職業です。通訳者は、話し手の言葉を瞬時に訳して相手に伝える仕事です。例えば、ハリウッド俳優が日本でインタビューを受ける時などに、通訳者は活躍します。英語で話す俳優の言葉を日本語に訳し、リアルタイムで伝えているのが通訳者です。他にも通訳者はさまざまな場面で活躍します。具体的にどのような仕事をしているのか、気になる人は以下のページから通訳者の仕事内容が見られますよ。
https://www.gyakubiki.net/readings/employment/944/

翻訳者の3つの仕事内容

文章を翻訳する翻訳家

翻訳者は扱うものによって仕事内容が異なります。 ここでは、3つの仕事内容について紹介していきますね。

・文芸翻訳
文芸翻訳は海外の書籍や雑誌、歌詞などの文芸作品を翻訳する仕事です。さまざまな海外作品に携われるのが魅力のひとつ 。文芸翻訳にはその作品が伝えたいことをくみ 取り、読み手に伝わるように表現する力が必要です。原文を正確に翻訳するだけではなく、作品の世界観を壊さずに作者が伝えたいことを表現する力が求められます。

・実務翻訳
実務翻訳はビジネス書や学術書、契約書やマニュアルなどを翻訳する仕事です。ビジネスや論文研究などの場面で活躍します。海外企業との取引に必要な文章を翻訳し、論文のサポートをします 。 専門的知識を要する場面が多く、法律文章やIT関連機器、医療など幅広い知識が必要です。

 翻訳家と翻訳者を使い分ける場合は、この実務翻訳をするのが翻訳者。文芸や映像などを手掛けるのが翻訳家と呼ぶ場合もあります。

・映像翻訳
映像翻訳は海外映画やドラマ、ドキュメンタリーなどを翻訳する仕事です。実際に人が話している映像に合わせて字幕をつけたり、日本語音声に吹き替えたりします。違和感がないように言葉の言い回しを考え、口の動きと合わせる技術が必要です。 映像翻訳には文字数制限があり、限られた文字数の中で的確に表現するのが面白いポイントです。

翻訳者のやりがい

翻訳者はどの仕事内容でも、わかりやすい文章表現で相手に理解してもらう必要があります。そのため、自分が翻訳した文章が形となって相手に伝わったとき はうれしいものです。例えば、実務翻訳では、契約書やマニュアルを翻訳します。自分が翻訳した文章を読んで契約が締結されれば、新たなビジネスが動き出し、その会社の人たちに喜ばれます。海外とのビジネスが成功する瞬間に携われますよ。

文芸翻訳や映像翻訳ならば、これまで知る機会がなかった海外の作品を、身近なものにできます。それを読んだり観たりした人たちが、「すごく感動した!」「面白かった」と喜んでもらえると、翻訳したかいがあるというものです。

更にその作品がヒットすれば、多くの人に目にふれられるでしょう。作品の普及に貢献できるのは、翻訳家の大きなやりがいです。

翻訳者の想定年収

厚生労働省の職業情報提供サイトによると、令和4年度の翻訳者の年収は697.6万円です。専門的な知識と、高い翻訳技術が必要になるため、翻訳者の想定年収は高く挙げられています。

日本は海外との交流なしには過ごせないほどの貿易大国です。そのため、ビジネスの場面でも英語を使う場面が増えています。また、日本では海外映画や小説などの海外作品の需要も高まっています。

翻訳会社など翻訳者の求人数も多く、活躍の場は数多くあるでしょう。

参考:翻訳者 – 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET)) (mhlw.go.jp)

翻訳者の将来性

AI翻訳の進化にともない「翻訳者の需要はなくなるのでは?」と不安視している人も多いでしょう。しかし、翻訳者の仕事がなくなることはないと言われています。

翻訳者の仕事は、外国語を正確に訳すだけではありません。人の心を動かし、作品に合った表現をアウトプットすることが求められます。

有名な翻訳者である戸田奈津子さんでも、1987年の映画「フルメタル・ジャケット」では、翻訳の表現が柔らかすぎるとして、監督から翻訳者交代を言い渡されているほどです。

ビジネス書や契約書を翻訳す実務翻訳でも、翻訳者の仕事はなくならないでしょう。確かに、AI翻訳の制度は高く、活用されることが増えています。しかし、正確性をチェックしたり、そこから更に良い表現へと変えたりするのは人間にしかできません。

AI翻訳の進化により、最近では「ポストエディット」と呼ばれる、AIが翻訳したものをより人間らしい翻訳にする仕事が増えています。

今後、翻訳者として活躍するには、AIを使いこなす力はもちろん、さまざまなジャンルの知識を学ぶ必要がありそうです。知識があれば、直訳ではなく文章を書いた人が「何を伝えたいのか」まで読み取ることができ、最適な翻訳ができるからです。

翻訳者の仕事は、ただ言語を訳すだけではなく、読者や視聴者、クライアントにも納得されるアウトプットが求められます。字幕のルールや直訳の範疇でしか訳せないAIには、代替えされにくいでしょう。

翻訳者に向いている人

翻訳家に向いている女性

ここまで翻訳者の仕事内容について見てきました。ここでは、実際翻訳者に向いている人はどういう人なのか?気になる適性を紹介します。

  • 外国語への高い理解力がある人
  • 専門知識やトレンドを積極的に吸収できる人
  • 言葉の表現力に優れている人
  • 探求心がある人

順番に解説します。

外国語への高い理解力がある人

翻訳家に一番必要なのは、翻訳する言語に対して高い理解力があることです。ひとつの言葉を翻訳するにも、そのときの状況によって表現方法は異なります。シチュエーションに応じた最適な翻訳をしなければなりません。直訳するだけでは表現しきれない部分がたくさんあります。

また、状況に応じた翻訳をするためには、その国の文化や歴史、生活環境についても知っておきたいです。その国が好きだから携わりたい、もっとその国のことを知りたいと思う気持ちがあるといいですね。理解しようとする姿勢が求められます。

専門知識やトレンドを積極的に吸収できる人

翻訳家の仕事には専門知識が必要です。自分が知らない分野の外国語 を理解するのは難しいものです。例えば、日常会話などで使われる英語ならば問題なく理解できる人でも、医療に関する英語となると話は別です。医療現場でしか使われない専門用語や、医療への知識がなければ理解できない文章がたくさんあります。日本語でも医療への知識がなければ、論文や文献を読んでも理解するのは難しいでしょう。そのため、広い分野での知識が必要になります。

また、文芸作品や映像作品を翻訳する上では、トレンドにも敏感になっておきたいですね。海外や日本でのトレンドを知ることで、伝わりやすい言葉遣いができます。例えば、海外のことだけ詳しくなっていても、日本のトレンドを知らないと死語を使って失敗してしまうかもしれません。実際、まわりでも流行りの言葉は次々と移り変わっていませんか?去年までみんなが真似していたような言葉でも、一年経てば「いつまで真似してるの?」と言われることもあるでしょう。翻訳家の仕事でも同じです。この言葉をみんなよく使っているだろうと思い込んで使ってしまうと、違和感を生むことになります。翻訳家の仕事を目指すならば、常に言葉に敏感になっておきたいですね。

言葉の表現力に優れている人

翻訳者はその場の状況にあわせた、最適な表現で翻訳する必要があります。言葉の微妙なニュアンスを読み取って表現する感性やセンスが問われます。センスというと天性のものに感じられるかもしれませんが、たくさんの言葉にふれ 、表現を考える機会が多いほど養われていくものです。高校生のうちからさまざまな文章 を読み、海外映画などの映像を観ながら、自分で翻訳するならどういう表現にするか考えてみると良いですね。

探究心がある人

翻訳には、深い探究心が必要です。ひとつの作品やマニュアルなどを翻訳するには、その文献の背景について知らなければならないことがたくさんあります。

深く追求せずに表面上の文章だけを翻訳すると、本来の意味と異なるものになる可能性があります。例えば小説や映画を翻訳する場合、作品の全体像や作者の伝えたいこと、時代背景などを深く追求しなければ、原作の魅力が失われるかもしれません。

日本の小説や漫画を映像化したものでも、原作とかけ離れていると非難される様子を見たことがありませんか?この場合は意図的にアレンジしているものもありますが、それくらい原作の魅力は大切にしなければならないものです。

深く追求することは、本来の意味を損なわずに翻訳するうえで重要な能力といえます。

また翻訳者はひとつの仕事を成し遂げるために、さまざまなことを調べながら翻訳することが多いです。深い探究心を持ち、調べ上げるのが好きな人ほど向いているといえますね。

翻訳者になるための方法

翻訳家の勉強をする人

翻訳者になるためには特別な免許や資格は必要ありません。しかし、一定の語学力は必要です。翻訳者になるための大学の選び方や受験しておきたい検定試験について見ていきましょう。

翻訳者になるための大学を選ぶ

翻訳者に必要な語学力を身につけるためには、英文科のある大学や外国語大学を選ぶことをおすすめします。

翻訳者になるための勉強ができる大学の一例を紹介します。

ほかにも、外国語や国の文化を専門的に学べる、以下のような学部・学科を選ぶのもいいですね。

  • フランス語フランス文学科(文学部)
  • 英語英文学科(文学部)
  • 異文化コミュニケーション学科(異文化コミュニケーション学部)
  • 人文学科(人文学部)
  • 国際教養学科(国際教養学部)

学部ごとに学べる内容の特性は異なります。携わりたい言語が決まっている方は、その言語が専門的に学べる学部を選ぶのもひとつの方法です。まずは、自分の興味ある学部を見つけましょう。

有名な翻訳者の出身大学

有名な翻訳者の出身大学をまとめたので、進路選びの参考にしてみてください。

翻訳者出身大学翻訳した代表作
戸田奈津子津田塾大学 学芸学部 英語英文学科・ロード・オブ・ザ・リング ・パイレーツオブカリビアン ・スター・ウォーズシリーズ
村上春樹早稲田大学 文学部・グレートギャツビー ・大聖堂 ・キャッチャーインザラン
柴田元幸東京大学 文学部 英文科・ガリバー旅行記 ・ハックルベリー・フィンの冒けん ・雲

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翻訳者に活かせる試験を受験する

翻訳者になるために就職する際、言語能力を証明できるものがあると便利です。その言語について学んできたと伝えるだけでは、実際どれくらいの能力があるのかわかりません。 その指標として主に用いられる語学力検定試験と、翻訳者におすすめの資格を紹介します。

・TOEIC (国際コミュニケーション英語能力テスト)
TOEIC(国際コミュニケーション英語能力テスト)は、英語 のコミュニケーション能力を判定する試験です。日常生活やグローバルビジネスで使える活きた英語力が試されます。TOEIC(国際コミュニケーション英語能力テスト)は、10点~990点のスコアで評価され、合否はありません。

スコアが語学力の証明になります。一般的には、900点以上のスコアがあると、英語を使った仕事ができると判断されます。 TOEIC(国際コミュニケーション英語能力テスト)の試験は何度でも受けられるので、自分にどれだけの語学力があるのか確かめてみてください。

・実用英語技能検定
実用英語技能検定とは、通称「英検」と呼ばれる国内最大級の英語資格試験です。リーディング・ライティング・リスニング・スピーキングの4つの技能を測定します。実用英語技能検定は1級~5級まであり、2級が大学入試レベルの英語能力、1級は世界で活躍できる英語力を証明できます。

・JTFほんやく検定
一般社団法人・日本翻訳連盟(JTF)が主催する試験です。基礎レベルと実務経験者向けの実用レベルがあります。基礎レベルは5級と4級の試験にわかれ、基礎語学能力と翻訳のセンスを判定します。

実用レベルは1級~3級まであり、3級以上の試験に合格すると「翻訳士」の称号が与えられます。これから翻訳者になるための勉強をする人は、まずはJTFほんやく検定の基礎レベルに挑戦してみるといいですね。

・JTA 公認 翻訳専門職資格試験
一般社団法人・日本翻訳協会(JTA)が主催する、翻訳専門職のための試験です。翻訳家の仕事をする上で必要な5つの能力を図ります。具体的には1.言語運用能力と翻訳表現技術、2.文化背景知識と異文化理解力、3.専門知識と実務能力、4.IT運用力とサーチ力、5.マネジメント能力と職業倫理の5つの能力です。就職前に合格しておくと、翻訳者としての能力をアピールできます。

翻訳者の就職先

企業で働く翻訳家

翻訳者として活動するには、どのような場所に就職すればよいのでしょうか?ここでは主な就職先を紹介します。

・翻訳会社
翻訳家になるための就職先で一番多いのが、翻訳会社への就職です。翻訳会社は実務翻訳を手掛ける会社が多いです。実務翻訳家として就職すれば、医療関係、工業、金融や法律関係など幅広い分野に携われます 。取扱う文献は、ビジネス書や学術書、特許関連書類などが中心です。

・一般企業
翻訳部門のある一般企業や貿易関係、法律事務所などが挙げられます。実務翻訳として、契約書や申請書類、マニュアル作成など企業に必要な書類を翻訳します。

翻訳者になった後のキャリアプラン

翻訳会社で翻訳者として就職したら、幅広い分野の翻訳に挑戦することがキャリアアップに繋がるひとつの道です。翻訳会社の多くは、金融・IT・医療・法律など複数の分野に関する翻訳業務を行っています。就職後は、その中から適性を見ながら任せられる仕事が決められます。知らない分野でも、常に勉強を重ねながら翻訳業務を行っていけば、仕事の幅が広げられます。柔軟に対応できる姿勢が評価されれば、携われる分野を広げられるチャンスです。

幅広い分野における翻訳経験を持っていれば、仕事をする中で興味のある分野が見つかった時に、その分野を専門的に取り扱っている翻訳会社に転職しやすいです。積極的な姿勢と、常に勉強を怠らないことが、キャリアアップに繋がります。

また、文芸翻訳や映像翻訳に専門的に携わるならば、フリーランスとして独立する道もあります。独立後に仕事がもらえるようなフリーランスを目指してがんばりましょう。

フリーランスとして働くには、翻訳会社と案件ごとの契約を締結し、ひとつの作品の翻訳作業に取り掛かります。フリーランスとして独立するならば、英検1級 、TOEIC900点以上など高い語学力が必要です。 最初からフリーランスとして活動する人は珍しく、基本的には翻訳会社や一般企業などで実務経験を積んでから独立します。
経験を積む中で、自分が本当に挑戦したい分野の翻訳に携われる可能性が広がりますよ。

翻訳者になりたいあなたは「JOB-BIKI」で進路検索!

翻訳者の仕事内容や大学の選び方、活かせる検定試験などについて紹介してきました。皆さんが憧れる翻訳者の仕事をする先輩たちは、どんな大学で語学を学ばれたのでしょうか?ハリーポッターの翻訳家である松岡佑子さんは、ICU(国際基督教大学)の教養学部で、言語学と歴史を学びました。彼女は高校時代から英語の原書に夢中だったそうです。

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