ツアーコンダクターになるには?ツアーガイドとの違いや仕事内容を解説
2023.04.24
高校生の皆さんのなかには、旅行に興味があって旅行に関係する仕事に就きたい、という人もいるでしょう。ツアーコンダクターは旅行会社の提供するツアーに一緒に参加し、旅行客が安全に旅行できるようにサポートする仕事です。
この記事では、ツアーコンダクターの具体的な仕事内容や必要な資格、ツアーコンダクターになる方法などをまとめています。ツアーコンダクターになりたいと考えている人は参考にしてみてください。
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目次
ツアーコンダクターとは?
ツアーコンダクターは添乗員とも呼ばれ、旅行会社のツアーに参加して安全な旅行をサポートする仕事です。主にツアー全体のスケジュール管理や宿泊先の手配、現地スタッフとの打ち合わせや観光客の安全・健康管理をおこないます。
ツアーコンダクターとツアーガイドの違い
ツアーコンダクターはツアー全体のスケジュールや宿泊先の手配など、観光客が安全に旅行を満喫できるようにツアー全体を サポートする仕事です。
一方、ツアーガイドは、観光スポットで観光客を先導したり 必要な説明をしたりする仕事です。ツアーコンダクターがツアー全体を、ツアーガイドは観光スポットをピンポイントで、 それぞれツアーをサポートしているイメージです。
特にバスツアーのガイドを勤める仕事をバスガイドといいます。
バスガイドについてもっと詳しく知りたいという人は、こちらの記事も参考にしてみてください。
ツアーコンダクターやツアーガイドなどの旅行業界の仕事については、以下の記事で詳しく解説しています。
旅行業界の魅力はどのようなところ?主な職種とおすすめの学部 (gyakubiki.net)
ツアーコンダクターの仕事内容
ツアーコンダクターの主な仕事内容は、下記のとおりです。
● ツアー全体のスケジュール管理・案内
● 観光の時間配分など現地スタッフとの打ち合わせ
● 宿泊先や食事の手配
● トラブル対応
● 観光客の安全・健康管理
ツアーコンダクターはツアーの最初から最後までかかわります。海外ツアーの場合は出入国や税関申告時のサポートなどをおこなうこともあります。
添乗員とも呼ばれるとおりツアーに同行することもありますが、基本的にはツアーガイドのように観光地の案内をすることはあまりありません。
ツアーコンダクターが同行する旅行ツアーを「企画旅行」といい、下記の2種類に分けられます。
● 募集型:パッケージツアー(旅行会社が宿泊先や交通手段を決める)
● 受注型:修学旅行、社員旅行など(客側が行き先や交通手段を決める)
ツアーコンダクターの仕事のやりがい
ツアーコンダクターは、下記のようなやりがいを感じられる仕事です。
観光客の非日常体験にかかわれる
ツアーに参加する人の多くは、非日常を求めています。観光客が非日常体験の中で得る感動に立ち会えることや、かけがえのない思い出づくりにかかわれることは、旅行全体を管理するツアーコンダクターとしてやりがいを感じられる部分です。
広い世界を知ることができる
ツアーコンダクターは国内外問わずさまざまな場所が仕事場になります。ツアーコンダクターとしてスキルアップし、外国語などの専門性を身につければ、世界各国を仕事場にして飛び回れる可能性があります。
特別な人間関係を紡げる
ツアーコンダクターは、旅行という特殊な場所で出会う人との特別な人間関係を築ける仕事でもあります。何度も同じツアーをおこなうなかで現地のスタッフと仲良くなれることもありますし、仕事の質が良ければ観光客が自分を選んでツアーに参加することもあります。観光客との距離が縮まれば、ツアーの内容もいかに楽しんでもらえるか、自分で創意工夫するのが楽しくなるでしょう。
ツアーコンダクターの仕事の流れ
ツアーコンダクターの仕事の流れは、ツアーの種類によっても異なります。ここでは日帰りバスツアーを担当するツアーコンダクターの一日を例として見ていきましょう。
※ツアー当日まで | 【事前打ち合わせ】 旅行会社にて、担当者とツアー内容やスケジュール内容を確認します。 【事前調査】 あまり知られていない隠れ家情報など、観光客に楽しんでもらえるような情報を調べます。 |
ツアー当日 6:30 | 【集合場所待機】 参加する観光客より早く集合場所に到着しておきます。 |
7:00 | 【出発】 バス運転手、バスガイドと打ち合わせ。 観光客が全員揃っていることを確認したら出発します。 |
10:00 | 【観光地に到着】 観光客の遅刻や交通トラブルなど、行程通りに進まないことがあれば状況に応じて行程を組み直します。 |
12:00 | 【昼食】 予定したとおりの数、メニューが出されているかを確認します。 メニューと数に間違いがないことを確認したら、ツアーコンダクターも同じ食事をとります。 |
13:00 | 【自由行動のつきそい】 自由行動時間になったら、観光客が予定時間内に最大限自由行動を楽しめるよう、適切なサポートをします。集合時間と場所を伝えた後は基本的に観光客の自由時間ですが、困っている人がいたらサポートできるように見回ったり、同行したりします。 |
16:00 | 【自由行動終了】 30分前には集合場所で待機し、観光客を迎えます。 体調が優れていない人がいないか、全員揃っているかを確認して出発します。 |
17:00 | 【帰路】 途中で土産物屋に寄るなど、ツアーのスケジュールやバスの運転手に配慮して適度に休憩時間を入れます。 |
19:30 | 【帰りの挨拶】 バスの中で参加のお礼と挨拶をします。 |
20:30 | 【到着】 観光客1人ひとりにお礼を言い、最後はバス内に忘れ物がないか確認します。 |
20:45 | バスガイドと運転手に挨拶をして解散します。 |
後日 | 旅行会社にて精算業務をおこないます。 |
はじめのうちは日帰りツアーからスタートし、徐々に2泊3泊のツアーに同行できるようになります。経験を積んでいくと海外ツアーや山岳ツアーの同行など、興味のある旅行や、学んだ知識を活用できるツアーに参加できるようになるでしょう。
ツアーコンダクターの年収
ツアーコンダクターの平均年収は386万円前後です。旅行会社によって異なりますが、ツアーの内容や稼働年数によって収入は変動する傾向にあります。10年以上勤務するツアーコンダクターの中には年収500~600万円の収入を得る人もいます。
【参考】職業情報提供サイト(日本版O-NET)
URL:https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/110
ツアーコンダクターの将来性
旅行業界は景気に左右されやすい業界とされており、業界そのものの現状は日々変化しています。インターネットの普及で旅行に関する知識の大半は自分で調べられるため、若年層はツアーコンダクターが不要で安価な自由度の高いツアーを選ぶ傾向にあるようです。
しかし、高齢者や海外からの観光客が対象のツアーではツアーコンダクターが求められています。自由な旅行は楽しい反面、宿や交通の手配は自分たちでやる必要があります。そのため、自分で調べることが困難な高齢者や海外からの観光客に対し、安全で安心できる旅行を提供できるツアーコンダクターは必要とされるでしょう。
また、詳しくは後述しますが、ツアーコンダクター業務を外注する旅行会社も増えています。ツアーの内容だけでなく「この人にお願いしたい」と思えるようなツアーコンダクターが求められるでしょう。インターネットで調べてもわからないような現地の事情に精通している、基本のツアーに加えて耳寄りな情報を提供できるなどの個性を持てることが重要になります。
ツアーコンダクターに必要な資質と能力
ツアーコンダクターになるために必要な資質を大きく3つにまとめました。
1.リーダーシップ
ツアーコンダクターの仕事は、ツアーを安全に進行することです。そのためには予定している行程通りに進めるリーダーシップ が必要になります。観光客を引導することはもちろん、運転手やバスガイドともツアーコンダクターが中心となって連携を進めることで、ツアーにかかわるすべての人が満足するツアーを開催できるでしょう。
2.適応力
ツアーコンダクターは、どんな状況でも対応できる適応力が求められます。非日常を演出する旅行にはトラブルがつきものです。交通の遅れや予想外のトラブルで行程の変更を余儀なくされる場面では、臨機応変に対応できる能力が必要になります。
3.好奇心
好奇心が強い人はツアーコンダクターに向いているといえます。ツアーガイドのように説明する機会は少なくても、観光客目線で現地の耳寄りな情報を集めておくことでツアーを利用する観光客により上質な体験を提供できるでしょう。得意分野が決まるまではさまざまな観光地に足を踏み入れることになりますし、海外のツアーでは英語が必要な場面もあります。どんなものでも興味を持って調べられる、新しいことをどんどん学べる好奇心のつよさがあれば、ツアーコンダクターの仕事で役に立つでしょう。
ツアーコンダクターになるための方法とは?
ツアーコンダクターになるための方法をご紹介します。ツアーコンダクターになるには「旅程管理主任者資格」を持っている必要があります。資格の取得方法や、資格取得に役立つ勉強ができる学部・学科についてもまとめました。
ツアーコンダクターの世界の現状
旅行業界は景気に左右されやすい業界とされており、業界そのものの現状は日々変化しています。インターネットの普及で旅行に関する知識の大半は自分で調べられるため、若年層はツアーコンダクターが不要で安価な自由度の高いツアーを選ぶ傾向にあるようです。
しかし、高齢者や海外からの観光客が対象のツアーではツアーコンダクターが求められています。自由な旅行は楽しい反面、宿や交通の手配は自分たちでやる必要があります。そのため、自分で調べることが困難な高齢者や海外からの観光客に対し、安全で安心できる旅行を提供できるツアーコンダクターは必要とされるでしょう。
また、詳しくは後述しますが、ツアーコンダクター業務を外注する旅行会社も増えています。ツアーの内容だけでなく「この人にお願いしたい」と思えるようなツアーコンダクターが求められるでしょう。インターネットで調べてもわからないような現地の事情に精通している、基本のツアーに加えて耳寄りな情報を提供できるなどの個性を持てることが重要になります。
ツアーコンダクターになるための勉強ができる大学・学部
ツアーコンダクターになるために必要な勉強ができるのは、観光学です。観光学は日本の観光業を発展させるために生まれた学問で、もともとは旅館やホテルの事業に関する学問でした。旅行業の実務が学べるだけでなく、観光客にいかに満足してもらえるか、という観点から観光事業の計画立てや観光企業の経営などを学べるところもあります。
観光学を学べる大学・短期大学の一例は下記のとおりです。
<大学>
城西国際大学(観光学部/観光学科)
西武文理大学(サービス経営学部/サービス経営学科)
大手前大学(現代社会学部/観光・地域マネジメントコース/ 観光・地域マネジメント専攻)
大阪成蹊大学(国際観光学部/国際観光学科)
共栄大学(国際経営学部/国際経営学科/観光ビジネスコース)
札幌国際大学(観光学部/観光ビジネス学科)
<短期大学>
名古屋文化短期大学(生活文化学科第1部/ビジネス専攻/観光コミュニケーションコース)
華頂短期大学(総合文化学科)
南九州短期大学(国際教養学科/ホテル・観光コース)
観光学以外にも、外国語を身につけておくと海外ツアーでのツアーコンダクターも目指せるので、外国語や国際教養が学べる学部や学科を選ぶのも良いでしょう。
ツアーコンダクターに必要な資格や受験すべき試験
ツアーコンダクターになるには、「旅程管理主任者資格」が必要です。旅行会社が企画するツアーに同行する添乗員は必ずこの資格を持っていなければいけません。
旅程管理主任者資格には、国内旅行のみ同行が可能になる「国内旅程管理主任者資格」と、海外旅行の同行も可能になる「総合旅程管理主任者資格」の2種類があります。
「総合旅程管理主任者資格」は英語試験と海外での実地研修が含まれるため、費用も難易度も高くなっています。「国内旅程管理主任者資格」を取得しておくと2科目が免除になるので、「国内旅程管理主任者資格」の取得を先に目指しましょう。
いずれの資格も年齢制限はなく、学生のうちから取得することができます。
ほかにも、下記のような資格があるとツアーコンダクターの仕事に役立つといわれています。
● 世界遺産検定:旅行先の観光地の背景などを知るうえで役立ちます。
● 旅行地理検定:国内外の地理に関する知識を得ることができるので、現地でのガイドに役立ちます。
● TOEIC:世界共通の英語テスト
● 旅行業務取扱管理者:旅行代理店への入社を目指す人におすすめの資格
● 観光英語検定:観光地でのコミュニケーションに役立つ英語力が身につきます。
ツアーコンダクターになるために目指すべき就職先
ツアーコンダクターは、企業に就職して就職先の企画するツアーに同行するのが基本です。ツアーコンダクターが就職するのは主に下記の2社です。
旅行会社
中小規模の旅行会社だと、営業・企画から事務作業、添乗まで旅行にかかわるすべての業務をおこなっています。自分が同行するツアーに最初から最後まで携わることで、観光客の反応などからツアーの改善もしやすくなります。大手旅行会社の場合は後述する添乗派遣会社に添乗業務のみ委託していることが多いですが、営業職だと学校の修学旅行や企業の研修旅行に同行できる可能性があります。
添乗派遣会社
添乗派遣会社は、添乗業務に特化した会社です。添乗派遣会社に就職すると旅行会社の枠にとらわれず、短期間で多種多様なツアーに参加し経験を積めるでしょう。ツアーごとにさまざまな旅行会社とかかわることになるので、初対面の人と会うことに抵抗のない人に向いています。
ツアーコンダクターになった後のキャリアプラン
ツアーコンダクターとして経験を積んだ後は、ツアープランナーや通訳案内士などの仕事に就くこともできます。
ツアープランナー
ツアープランナーはツアーコンダクターとよく似ていますが、ツアーのプランニングのみを担当します。ツアープランナーのほうが豊富な経験とアイデアが求められるため、一般的に旅行会社ではツアープランナーのほうが立場が上になることが多いようです。
通訳案内士
海外でのツアーを多く経験した場合、通訳案内士の仕事に就ける可能性もあります。通訳案内士は訪日外国人を日本各地に案内する仕事です。外国語をつかって日本の文化や歴史的背景について解説する必要があり、国家試験に合格すれば全国通訳案内士としてよりレベルの高い業務に就くことができます。
通訳案内士の仕事については、以下の記事で詳しく解説しています。
通訳案内士になるには?仕事内容や資格試験の難易度、将来性について解説 (gyakubiki.net)
ツアーコンダクターに関するよくある質問
ツアーコンダクターに関するよくある質問に回答しました。参考にしてみてください!
ツアーコンダクターになるなら大学と専門学校どちらがよい?
ツアーコンダクターになりたい人のなかには、進路に悩む人もいると思います。高卒でツアーコンダクターになることは不可能ではありませんが、基本的には、大学や短大、専門学校で学ぶほうがおすすめです。必要な知識やスキルを身に付けてから現場に出られるほか、資格取得に向けてサポートもしてもらえます。また、就職時には企業の選択肢が増えることもメリットです。
では、大学や短大、専門学校はどのように選べばよいのでしょうか?
まず、就職を希望する企業の募集要項が大卒以上である場合、大学進学は必須です。また、将来の選択肢として、ツアーコンダクター以外も残しておきたい場合は、大学進学がおすすめです。たとえば「杏林大学 外国語学部 観光交流文化学科」は、目指せる職業として、ツアーコンダクター以外にも、以下のような職種が挙げられていますよ!
- 客室乗務員
- 空港業務スタッフ
- 国際機関職員ホテルマネージャー
- リゾート開発
- 鉄道・バス職員
- 地域の観光振興団体スタッフ
参考:外国語学部・観光交流文化学科情報|杏林大学|東京都|逆引き大学辞典 (gyakubiki.net)
一方、短大や専門学校がおすすめなのは、観光業界で働くことを決めており、早く働きたい人です。短大や専門学校は業界と繋がりが深いことがあり、就職に有利になることも。また、一般的に2年で卒業できるため、現場で早く活躍できます。
ツアーコンダクターに必要な語学力は?
ツアーコンダクターの求人には「英語や中国語、韓国語、ベトナム語などの語学力を活かしたい方」と記載されている場合が多いです。
英語力で言うと、国内で働く場合は英検2級、TOEIC550点程度が必要とされています。海外で働く場合は、TOEIC800点程度が求められるようです。国内で語学力が必要となるのは、海外からのお客様に対応するためです。海外では、観光客のみならず、現地スタッフとも現地の言語でやりとりする必要があります。
TOEICの点数はあくまで目安であり、大事なのは、英語を使ってコミュニケーションが取れるかどうかです。
高校生が実践的な英語力を鍛えるためには、以下のような方法があります。
- 英会話のレッスンを受ける
- 字幕を活用して洋画を観る
- YouTubeで英語に関する動画を見る
- 海外の人とオンラインゲームをしてみる
海外のドラマや映画は、楽しみながら英語を学べるので継続しやすいです。まずは日本語音声で視聴し内容を理解してから「英語音声+日本語字幕」→「英語音声+英語字幕」→「字幕なし」の順で試してみてください。
ぜひ、今日からできることを取り入れて、機会があれば海外旅行に行ってみてください。生の英語を使う経験は、ツアーコンダクターの仕事に役立つはずです。 参考:英語字幕で映画を見て英語力を上げる方法とは?手順とオススメの映画も紹介 (bizmates.jp)
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ツアーコンダクターは、旅行ツアーが安全に進行するようにサポートするのが仕事です。そのためには、大学で観光学などを学んだりして旅程管理主任者資格を取得する必要があります。ツアーコンダクターに興味がある人は、「JOB-BIKI」の就職先検索で「観光」「旅行」のキーワードで検索してみてください。ツアーコンダクターが活躍できる旅行会社や観光企業が見つかりますよ。