スカラシップとは?奨学金との違いとメリットや実施大学、受験時の注意点を解説
2023.06.05
大学に進学するにあたって、入学金や学費などの経済的な不安を感じる人もいるかもしれません。そこでオススメなのが、「スカラシップ入試」です。スカラシップ入試とは、成績が優秀な学生を対象に、大学進学を経済的に支援する制度のこと。大学独自で設けている制度のため、選抜方法はさまざまです。
本記事では、スカラシップ入試のメリットや実施大学、受験時の注意点などについて詳しくご紹介します。
目次
スカラシップ入試は奨学金給付生の選抜試験
スカラシップ入試とは、入学金や学費などの免除・軽減を行う成績優秀な学生を選抜する入試制度のことです。スカラシップは奨学金を意味するため、「奨学生入試」「特待生入試」と呼ばれることもあります。
まずは、スカラシップ入試を理解するために、同じ経済的支援である「奨学金」との違いや、選抜方法についてご紹介します。
奨学金との違い
奨学金は、入学金や学費などの負担を軽減する制度で、卒業後に返済する必要がある「貸与型」と、返済する必要がない「給付型」の2種類があります。
広く知られているのが、独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)の奨学金です。JASSOの奨学金は貸与型・給付型のいずれも、採用されるには世帯収入や学力などの条件をクリアする必要があります。
一方、スカラシップ入試は返済の必要がない「給付型」のみで、大学が独自に実施するものです。主に私立大学で導入されていますが、すべての大学でスカラシップ入試が実施されるわけではありません。奨学金とは違い、スカラシップ入試では成績優秀であれば世帯年収に関係なく、学費などの負担を軽くできるのがポイントです。
選抜方法はさまざま
スカラシップ入試の選抜方法は、大学によって「独自試験方式」と「一般選抜の成績上位者から選抜する方式」の大きく2つに分かれます。
独自試験は、成績優秀者を選抜することから「難しいのでは?」と思うかもしれませんね。しかし、一般選抜入試と難度は変わらないことがほとんどです。また、一般選抜より早い時期に実施する大学もあり、志望校の受験の練習としてもチャレンジしやすいでしょう。
一般選抜の成績上位者から奨学生として選抜する場合は、スカラシップ入試を申請するケースと、申請せずに自動的に奨学生となるケースがあります。
大学によって選抜方法だけでなく申請方法も異なるため、スカラシップ入試に挑戦する場合は大学のウェブサイトや募集要項をしっかり確認しておいてください。
スカラシップ入試で受験するメリット
スカラシップ入試で受験し、合格すると、学費の負担が軽くなることはもちろん、ほかにもさまざまなメリットがあります。具体的にどのようなメリットがあるのかご紹介しましょう。
学費が減免されるなど経済的に楽になる
スカラシップ入試の最大のメリットは、返済の必要ない「給与型」の奨学金だということです。
大学に4年間で納付する合計金額の平均は、私立大学は約408万円(※1)、国立大学は242万5,200円(※2)とされています。
これらは入学金、学費、施設設備費を合計した金額のため、スカラシップ入試に合格したからといって、単純に全額もしくは半額免除になるわけではありません。しかし、納付金の大きな割合を占める学費が全額もしくは半額を免除されれば、経済的な負担を大きく軽減できるでしょう。
※1 文部科学省「令和3年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について」
※2 文部科学省「国公私立大学の授業料等の推移」
早い段階で合格が決まることもある
大学によっては、一般選抜より早い日程でスカラシップ入試を実施することもあります。合格すれば早めに進学先を決めて、安心できるでしょう。進学先が早く決定することで、残りの高校生活をより充実させられるかもしれませんね。
ただし、残念ながら不合格になることもあります。もし不合格でも、スカラシップ入試を受験すると、一足早く受験会場の雰囲気を知れたり、問題にふれたりできるなど、一般選抜の受験に活かせます。
努力が就活でも評価される可能性がある
スカラシップ入試に合格すると、必ず4年間、学費などの減免が受けられるわけではありません。奨学金を4年間継続するためには、一定の成績を収める必要があることがほとんど。そのため、学費などの減免を4年間続けられれば、成績優秀者であることを証明でき、就職活動でもアピールできるでしょう。
スカラシップ入試を受験する際の注意点
学費などの経済的負担を軽減できるスカラシップ入試ですが、受験時には注意すべきポイントが3つあります。「こんなはずじゃなかった…」と後悔しないためにも、注意点を確認しておきましょう。
大学によって制度が異なる
先程ご紹介したとおり、スカラシップ入試は大学独自の制度のため、大学によって選抜方法や申請方法などが異なります。また、すべての大学が実施しているわけではないことにも注意が必要です。
スカラシップ入試を利用して大学を受験したい場合、まず募集要項を確認して、「スカラシップ入試があるか」「どのような選抜方法なのか」「申請は必要か」などを確認しましょう。
相応の成績を収める必要がある
スカラシップ入試は成績優秀者を対象とする選抜方法のため、当然、学力が高いことが条件です。さらに、多くの大学では1年ごとに審査があり、大学によっては「学部内の成績が学年の上位3分の1以内を維持する」といった条件が設けられていることもあります。4年間奨学金を得るためには、入試時だけでなく、卒業まで高成績を維持しなければなりません。
学費以外の費用はかかる
大学によって免除・軽減する対象は異なりますが、「入学金」「学費」「施設設備費」のいずれかが対象になることがほとんどです。しかし、ほかの費用については自己負担しなければなりません。
例えば、通学費や教科書代、サークル活動費、家から大学のキャンパスが離れている場合は一人暮らしをする費用などが必要になります。これらの費用はまとまると大きな負担になる場合もあるため、事前に確認しておきましょう。
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スカラシップ入試を実施している大学
スカラシップ入試は、すべての大学で採用しているわけではありません。続いては、スカラシップ入試を実施している大学を5校ご紹介します。志望校選びの参考にしてください。
※データはすべて2023年度入試のものです。最新の情報は各大学ウェブサイトで確認してください。
専修大学
専修大学のスカラシップ入試は全国17会場で実施されるため、自宅が大学のキャンパスと離れていても受験しやすいでしょう。また、問題の難度は一般選抜と変わらないため、スカラシップ入試を予行演習として受験することも可能です。
募集人数 | 全学部・全学科から100人 |
奨学金 | 4年間の授業料・施設費が免除 |
選考方法 | 英語、国語、選択科目(ネットワーク情報学科は数学) |
受験費用 | 3万2,000円(一般入試の同一学部・学科を併願した場合、併願の受験料は免除) |
関東学園大学
関東学園大学のスカラシップ入試は、奨学金が3種類もあることが特徴です。志望理由書による書類審査があるので、オープンキャンパスの参加はしておきたいところですね。
■募集要項
募集人数 | 経済学部・経済学科15人、経済学部・経営学科15人 |
奨学金 | (1)入学金(26万円)と4年間授業料全額(70万円/年)免除 (2)入学金(26万円)と4年間授業料の半額(35万円/年)免除 (3)入学金(26万円)が免除 ※「数学I」を選択して合格した人で、得点率60%(目安)を超えた人の中から(1)〜(3)の奨学金を決定。(3)については「現代社会」を選択して合格した人のうち、成績上位者も対象。 |
選考方法 | 志望理由書による書類審査と必須2科目、選択1科目の計3科目を受験 必須:国語総合(現代文のみ)、コミュニケーション英語I・II 選択:数学Iまたは現代社会 |
受験費用 | 3万2,000円 |
武蔵野大学
武蔵野大学のスカラシップ入試は申請型となっており、各種入試で優秀な成績を収めることが条件です。二次試験は書類審査と面接があり、大学や学部・学科の教育理念や目標などの理解、入学後の意欲、目標意識などが評価されます。
■募集要項
募集人数 | 各学科4~5人 |
奨学金 | 申請時に下記3パターンから選択 (1)授業料全額免除(最大4年間、薬学部は最大6年間) (2)授業料半額免除(最大4年間) (3)授業料半額免除(最大2年間) |
選考方法 | 一次試験:基礎学力検査(奨学金を申請し、優秀な成績を収めた人が対象) 二次試験:面接、書類審査 |
受験費用 | 3万5,000円 |
玉川大学
玉川大学のスカラシップ入試は、大学入学共通テストの成績を利用して合否を判定する方式です。「国公立大学併願スカラシップ入学試験」という名称ですが、国公立大学を併願しなくても出願できます。
■募集要項
募集人数 | 前期・最大40人、後期・最大10人(1学科のみ出願可) |
奨学金 | 学費等の納付金が年間53万5,800円に(国公立大学の授業料と同額) |
選考方法 | 大学入学共通テスト(3教科型/5教科型) |
受験費用 | 1万5,000円(3教科型)、1万8,000円(5教科型) ※前期・後期ともに同金額 |
東洋英和女学院大学
東洋英和女学院大学のスカラシップ入試は、スカラシップ入試に合格できなくても、一般選抜の合格基準を満たしていれば、一般選抜が免除されます。ほかの大学との併願も可能ですから、合格できれば、早めに心の余裕が持てそうですね。
さらに、スカラシップ入試のほかに「スカラシップ入学試験チャレンジ制度」もあります。これは、学校推薦型選抜や総合型選抜の合格者が、合格した学科に限って検定料1万円で再度スカラシップ入試にチャレンジできるというものです。
■募集要項
募集人数 | 合計100人 |
奨学金 | 最大4年間、授業料などを免除 (合格時に2年間214万円免除。入学後は成績基準クリアで、さらに2年間214万円免除) |
選考方法 | 英語(コミュニケーション英語I・II・英語表現I)、国語総合(古文・漢文は除く) |
受験費用 | 3万円 |
スカラシップ入試にはメリットがたくさん!
大学進学時にかかる入学金や学費などは、大きな負担になるもの。しかし、スカラシップ入試を利用すると、経済的な負担を軽減できる可能性があります。給付型のため、卒業後に返済する必要がないのもうれしいポイント。本記事を参考に、スカラシップ入試での受験を検討しましょう。
もし、志望校にスカラシップ入試がない場合でも、ほかの奨学金制度や教育ローンを利用する方法もあります。下記の記事ではそれぞれの制度について詳しく説明していますので、ぜひ参考にしてください。
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