グランドスタッフになるには?求められる資質・能力などを紹介
2023.06.23
「グランドスタッフ」というとあまり聞きなれない人もいるかもしれませんが、空港内で接客業務をしている人のことです。
飛行機に乗るときや荷物を預けるときなどに、笑顔で対応してもらった経験がある人もいるかもしれませんね。
このように、空港を利用したことがある人なら必ず見かけている仕事です。
この記事では、グランドスタッフの仕事内容や求められる資質や能力のほか、グランドスタッフを目指すための進路について解説します。
目次
グランドスタッフとは?
グランドスタッフとは、空港内で接客業務を行う職業です。
飛行機の搭乗手続きなどのカウンター業務や搭乗案内、到着時の対応などが主な仕事で、「地上職」や「グランドホステス」と呼ばれることもあります。
元々は航空整備士など、空港で働く人すべて を「グランドスタッフ」と呼んでいましたが、近年では接客業務を担当する人に絞って使われることが多くなっています。
航空業界で働くというと、パイロットやキャビンアテンダント(客室乗務員)などをイメージする人も多いかもしれません。
しかし、グランドスタッフがいなければ、飛行機が飛ぶことはできないという重要な仕事です。
また、お客様と接する機会も多いため、空港の顔になる仕事ともいえる でしょう。
グランドスタッフとグランドハンドリングの違い
乗客がいるターミナルで働くのが、グランドスタッフ。飛行機が離着陸する駐機場(エプロン)で働くのがグランドハンドリングスタッフです。
グランドスタッフが空港に来たお客様の接客、手荷物の受け渡しを行うのに対して、グランドハンドリングは離着陸する航空機の誘導や貨物の積み込み、荷下ろし を行うなど、飛行機に対する業務を行います。飛行機が離陸するときなどに、滑走路で手を振ってくれている人を見た記憶がある人もいるかと思いますが、グランドハンドリングのスタッフかもしれませんね。
飛行機の離着陸を円滑に行うために 重要な仕事で、飛行機の間近で仕事ができる職種のひとつです。
グランドスタッフの仕事内容
グランドスタッフの仕事は大きく分けて3つあります。
カウンター業務
グランドスタッフが行う業務の1つ がカウンター業務です。みなさんが空港で最初に航空会社の入り口で並ぶ出発カウンターでの仕事です。
チェックインの手続きや手荷物の預け入れ対応、座席指定の対応を行います。
荷物の預け入れ対応では、お客様が預けたい荷物について、預けられないものが入っていないか確認を行い、荷物の大きさや重量に問題がないか 確認することも大切な業務です。
格安航空会社(LCC) では預けられる荷物の大きさの指定があり、指定のサイズを超えると有料になる場合もあります 。
チケットの発券をする場合もあります。基本的には予約をしてお客様はチケットを持って空港に来るのですが、予約内容に不備があった場合や、予約した便に乗れなかった場合はカウンターで発券をします。
その他、当日予約やキャンセル対応を行うこともあり、中には搭乗時間ギリギリになっても来ないお客様の対応を行うこともあります。
空港の放送で呼び出されている人や、チェックイン後に走って搭乗ゲートに向かうお客さん とグランドスタッフの姿を見たりしたことがあるのではないでしょうか。
ゲート業務
飛行機に乗るときの改札のような機械がゲートです。そこでの対応がゲート業務となります。
飛行機の搭乗口前で待機しているお客様にアナウンスをしたり、改札での対応をする業務です。
実は搭乗開始 時刻を決めるのもグランドスタッフです。グランドハンドリングなど関係各位と連絡をとって決定し、掲示板への表示とアナウンスを行います。
最終の出発案内でお客様が見当たらなかったら呼び出したり、探しに行く場合もありますよ。
到着業務
カウンター業務とゲート業務は飛行機が飛ぶ前の業務ですが、飛行機が到着した後に行う業務もあります。
到着した飛行機を降りたお客様が、出口まで迷わずに行けるように対応したり、乗り継ぎの便があるお客様の対応をしたりします。
また、搭乗時に預け入れしていた荷物 をお客様が受け取れるようにするための対応や、お客様が荷物 を紛失されたときの対応も行います。
グランドスタッフの仕事のやりがい
グランドスタッフとして仕事をしていく上で どのようなやりがいがあるのでしょうか。
航空会社の顔として働ける
まず1つ 目が、グランドスタッフが航空会社の顔になるという点です。
飛行機に乗る前のお客様に対して、最初に接客することが多いため、お客様にとっての第一印象になることも多くなります。
悪天候で飛行機が飛ばないときの対応や、飛行機に乗り遅れてしまったお客様への対応など、ともすればその旅行会社の印象を悪くしてしまうトラブルにうまく対応できたときはやりがいを感じるでしょう。
大切な商談やスポーツの大会、ハネムーンなど理由はさまざまですが、飛行機に乗るときは重大なイベントであることも多いもの。責任感を持って一人ひとり のお客様と接する必要のある仕事です。
世界中の人と接することができる
空港は旅行や仕事など幅広いシーンで利用されるため、いろいろなお客様が来られます。
国際線はもちろん、国内線でも海外の人が多く利用します。世界中の人と接することができる仕事です。 なかには世界的な有名人もいるでしょう。オリンピックのメダリストやノーベル賞受賞者を案内することもあるかもしれませんね。
日本語も英語も通じない方や、目や耳、手足が不自由な方もいます。そういったお客様に無事に飛行機に乗ってもらえるように手伝いができるのも、グランドスタッフのやりがいかもしれません。
お客様から感謝の言葉をいただける
お客様から感謝の言葉をいただいたときも、グランドスタッフとしてのやりがいを感じられるでしょう。
飛行機に乗ることは多くの人にとって日常ではありません。乗れなくてもまあいいや、で済むことはあまりないでしょう。
自分の旅行会社や天候の都合で乗れなかったお客様には、誠心誠意対応する必要があります。
しかし、自分の都合で乗れなかったお客様にも、できる限りのことをするように努めるのがグランドスタッフです。
グランドスタッフのおかげで大事なイベントに参加できたり、大切な思い出を作ることが出来た人も多くいます。
感謝の手紙をもらうことも、珍しくないそうですよ。
グランドスタッフの1日の仕事
グランドスタッフの仕事はシフト勤務となっていることがほとんどです。
休日がない空港や、飛行機の離着陸を24時間行っている空港もあるため、勤務する時間帯についても空港によって違います。
その中でグランドスタッフの仕事は以下のような業務を行います。
事務作業
接客仕事の多いグランドスタッフにも事務作業はあります。
前回の出勤からの業務連絡やメール対応などを行い、当日の勤務に必要な情報などを確認します。
伝票や明細の確認、売上の集計などの業務もあります。
接客対応
事務作業が終わったら、次は空港内でお客様への接客業務です。
グランドスタッフのメインとなる業務であるカウンター 、ゲート、到着業務 など接客を行います。
基本的にはこれらをシフトを組んで交代しながらやっていきます。
問い合わせ対応
旅行会社などの問い合わせに対応することもグランドスタッフの業務です。
航空機の発着スケジュールの変更や欠航などを把握しているグランドスタッフが問い合わせに対応します。
また、旅行代理店などからの予約の手配などを行うこともあります。
グランドスタッフの年収
グランドスタッフの年収は、320 ~400万円くらいです。
グランドスタッフは、大手航空会社の正社員として最初から採用されることが少なく、グループ会社の契約社員やアルバイトでの採用が多いこともあり、平均年収は高くないようです。
グランドスタッフに必要な資質と能力
グランドスタッフとして働くには、具体的にどのような資質や能力が求められるのでしょうか。グランドスタッフとして特に重要な資質と能力をご紹介します。
英語などの語学力
国内線、国際線ともにグランドスタッフは海外の人と接する機会があるため、英語など日本語以外の語学力が求められることがよくあります。
業務に関するやりとり だけでなく、お客様の悩みなどを聞いて解決するためのコミュニケーション力なども必要な場合があるため、外国語のスキルは高いに越したことはありません。
臨機応変な対応力
空港での業務では毎日多くの人と接する機会があります。
その中で、思いもよらぬ出来事が突然起こることもあるでしょう。
お客様の荷物の紛失や搭乗時間ギリギリのチェックイン、予約に関するトラブルなどいろいろなことが起こります。
突然トラブルが起きたときに、先輩や上司の判断がなくても対応できるだけの臨機応変さを身につけることも大切です。
ただ、誰しも業務に就いたばかりですぐに対処ができるわけではありません。 まずは先輩や上司の対応を見たり聞いたりして、自分ならどう対応するかを考え、対応力を身に着けていきます。
丁寧な接客力
パスポートに不備がある、チケットが間違っていた、単純に乗り遅れてしまった。そんなお客様にも丁寧に、親身になって対応することが求められます。
飛行機に乗れないかもしれない、というのはお客様にとって非常に不安で影響の大きいことです。自業自得と突き放すような人では、グランドスタッフは務まらないかもしれませんね。
また、天候不順などのアクシデントなど、お客様に否がない状況では怒り出す人や、冷静さを欠く人もしばしばいます。
そういったお客様にも、相手の立場に立って思いやりをもって接することが大事です。
空港内を動き回る体力
グランドスタッフの仕事は基本立ち仕事です 。
接客中は特になかなか座るタイミングがなく、カウンターからゲートへと空港内を動き回ります。空港にもよりますが、3万歩に達するグランドスタッフもいますよ。
ときには乗り遅れそうなお客様のスーツケースを持って走ることも。かなりの筋力や体力が必要です。
また、シフト勤務で、空港によっては夜勤などもあり不規則な生活になることも。体力回復についても気をつける必要がありますね。
グランドスタッフになるための方法とは?
グランドスタッフになるには、どのような進路を選択すればよい のでしょうか。グランドスタッフの世界の現状と併せて、グランドスタッフを目指すための進学先や就職先についてご紹介します。
グランドスタッフの世界の現状
グランドスタッフは現在も人気の職業のひとつ ですが、
追い打ちをかけるように、グランドスタッフの業務のIT化など経費削減が進んでいます。
チェックイン業務がチケットレス化により、無人で対応が可能になったり、搭乗ゲートもグランドスタッフが一人で対応していたりするのを見たことがある人もいるでしょう。
採用に関しては狭き門となってきているのが現状です。
しかし、機械ではできない業務もグランドスタッフにはありますし、ニュースで見かけるチケットのシステムトラブルなど、空港にはトラブルがつきもの。
人が対応することでしか解消できないことも多いため、グランドスタッフがいなくなることはないでしょう。
グランドスタッフになるための勉強ができる大学・学部
グランドスタッフになるには、英語などの語学や観光、ホスピタリティに関する知識を勉強することがおすすめです。
グランドスタッフに役立つことを学べる大学の学部学科をご紹介します。
・亜細亜大学:経営学部 ホスピタリティ・マネジメント学科(東京)
・立教大学:観光学部 観光学科(東京)
・東海大学:観光学部 観光学科(東京)
・横浜商科大学:商学部 観光マネジメント学科(千葉)
・大阪成蹊大学:国際観光学部 国際観光学科(大阪)
・神戸国際大学:経済学部 国際文化ビジネス・観光学科 国際コミュニケーション・ エアラインコース(兵庫)
グランドスタッフに必要な資格や受験すべき試験
グランドスタッフを募集している会社の応募条件には以下の項目が入っています。
・短大、または専門学校卒以上
・実用英語技能検定(英検) 2級、またはTOEIC550 点以上
ほかにも会社によって条件がありますが、まずこの2つの項目をクリアする必要があります。
また、その他の資格として、手話検定や英語以外の語学、ビジネスマナー、救急救命などに関する資格を取得しておくと就職活動でも有利になるでしょう。
<PR> 英検の取得なら、下記の「英検ネットドリル」がオススメです。利用者の90%が英検を取得できたと回答しています。 ↓ ☆ 英検合格のためのネット教材【旺文社 英検ネットドリル】 |
グランドスタッフになるために目指すべき就職先
グランドスタッフの就職先は、主に航空会社かハンドリング会社です。
航空会社で募集しているのは、北海道と日本各地をつなぐAIRDO(エア・ドゥ)や北九州空港を本拠にしているスターフライヤーなどです。
日本航空や全日空などの大手の航空会社では、グループのハンドリング会社と呼ばれる企業で募集しています。ハンドリング会社とはグランドスタッフやグランドハンドリングスタッフなどの航空事業の地上業務を請け負う会社です。
外資系の航空会社も、日本のハンドリング会社にグランドスタッフを委託していることが多いです。複数の航空会社を受け持っているところもありますよ。
グランドスタッフになった後のキャリアプラン
グランドスタッフになった後はどのようなキャリアプランがあるのでしょうか。
多くの場合は、就職した会社でキャリアを積んで役職を上げていきます。
そのキャリアプランを中心にご紹介します。
現場管理業務
グランドスタッフとして約3年の勤務を目安に、現場の管理業務を任せられるようになります。
いわゆる現場のグランドスタッフのリーダーで、人員を配置する立場となります。
各々のグランドスタッフがうまくオペレーションできているか把握したり、現場スタッフへの対応の判断をしたり、関係各所への連絡を行うスタッフです。
さまざまな知識と経験が必要ですので、任されるようになったら熟練スタッフの仲間入りです。
本社勤務
グランドスタッフの経験を元に、グランドスタッフの育成やサービス企画などの部署に行く場合もあります。
その後、管理職になる人も多いです。
管理職になるとグランドハンドリングを含めた、空港人員の組織運営を任され、採用や育成などの人事も担当することもあるようです。
海外勤務
海外の空港で働く道もあります。最初から海外勤務を希望する人もいますが、日本での勤務経験を条件にしていることが多いようです。
外資系の航空会社では、日本企業よりも収入が高い可能性がありますよ。
海外勤務は現地言語でのコミュニケーション能力が必要なのはもちろん、日本の空港より対応範囲が広かったり設備が整っていなかったりなど勝手が違うこともあるようです。
グランドスタッフへの道を「JOB-BIKI」で検索しよう
グランドスタッフには、語学力や臨機応変な対応力、おもてなしの心をもった接客力が求められます。
観光や接客に関する知識や経験は、就職後に活かせる要素です。
人気のある職業のため、就職までにチカラをつけて就職活動に挑みましょう。
さらにグランドスタッフの仕事について知りたい人は、「JOB-BIKI」で「ANAエアポートサービス」や「JALグランドサービス」などハンドリング会社の名前で検索してみてはいかがでしょうか?グランドスタッフを目指すための、進路選択に役立つ情報がきっと見つかりますよ!