予備校講師になるには?仕事内容や適性、年収や必要な学歴についても解説
2023.07.05
「予備校講師になるには、どんな大学・学部を目指せばいいの?」「自分は予備校講師に向いているかな?」と疑問に思っていませんか?
予備校講師になるには、4年制大学を卒業していることが必須条件です。学校の先生のように教員免許を取得しなくても目指せるので、必ずしも教育学部を卒業する必要はありません。本記事では、予備校講師として活躍する人気講師の出身大学や学部、予備校講師の年収や向いている人の特長などを解説しています。
予備校講師の仕事内容や1日のスケジュールについてもまとめたので、予備校講師を目指している人は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
予備校講師とは?
予備校講師とは、各種試験に向けて、生徒たちの学力向上を図る学習指導を行う人のことです。予備校と一言でいっても、さまざまな試験対策を行う予備校があります。公務員試験や司法試験など、難関な資格試験合格を目指す予備校もあります。
最も代表的なのが、進学予備校です。大学進学を目指した高校生や高校卒業生に対して、受験対策のための指導を行います。
高校生の皆さんが予備校講師を目指す場合、まずは予備校に就職し、月給制で働くのが一般的です。人気講師になれば、フリーになる道も出てきます。いろいろな予備校と契約し、1回の授業で高い報酬を得ることも可能です。
教えることが好きな人は、学校の先生という道もありますよ。中学教師や高校教師については、以下の記事で解説しています。
中学校教師になるには?仕事内容や求められる資質・能力などを紹介 (gyakubiki.net)
高校教師になるには?仕事内容や向いている人・目指せる大学について解説 (gyakubiki.net)
予備校講師になるには?
予備校講師になるには、4年制大学卒業の学歴が必須条件となります。
大学受験合格を目指して勉強する生徒に対して教える仕事だからこそ、大学での学びや大学で専攻した科目の学力が求められるのです。例えば、理数系の大学に進みたい生徒を教える講師となるには、理数分野に対して詳しくなければなりません。
理数の中でも自分の得意科目を専門的に教えるため、数学であれば数学を専門的に教えられるだけの知識が必要になります。そのため、難関大学合格を目指した予備校講師を目指すのであれば、同等のレベルの学力が求められます。採用試験時には、学力レベルをはかる筆記試験が課されるため、しっかり勉強しておきましょう。
また、指導経験があると選考時にアピールできるため、アルバイトで家庭教師や予備校講師を経験しておくのもいいですね。
多くの予備校は、選考段階で模擬授業を実施しています。とくに団体指導の場合は、大きな声ではきはきと説明ができるかなど、講師としての適性を判断されます。近年では、4~5人の生徒を指導する「個別指導」や、パソコンなどを使ってオンラインで指導する「オンライン指導」なども増えています。どのスタイルにせよ、家庭教師や予備校講師の経験を積んでおけば、模擬授業や面接で有利に働くでしょう。
予備校講師を目指せる大学・学部
予備校講師の応募要件は、4年制大学を卒業していることが条件になりますが、学部や学科の指定はないことがほとんどです。学校の教師のように教員免許が必須ではないので、教育学部に進まなくてもなれる仕事です。
しかし、教育学部では生徒に対する指導法を身につけられます。指導力を身につけるならば、教育学部で学ぶのがよいでしょう。教員免許を取得しておくと、指導力の証明にもなります。
自分の教えたい科目が決まっている場合は、その分野を学べる学部・学科に進むとよいでしょう。就職時にアピールしやすく、現場でも活かせます。数学なら、理学部の数学科、英語なら、外国語学部の英語学科などです。
有名な予備校講師と出身大学
「この人の授業を受けたい!」と思ってもらえる有名予備校講師は、一体どのような大学・学部で学び、講師になったのでしょうか?5人の講師をピックアップして紹介します。
しぎょういつみ先生|早稲田大学大学院 英文学専攻修士課程
しぎょういつみ先生は、河合塾英語科の専任講師です。英語教育の第一線で活躍し続け、2011年にはツイッターの「いろいろ英単語Z」のアカウントでは、英単語にまつわる意外な知識を発信するなど雑学や豆知識にも長けています。
木村哲也先生|京都大学 法学部
木村哲也先生は、河合塾で現代文を教える人気講師です。現代文読解の著書である「はじめての入試現代文 正解へのアプローチ」は、1年を経たないうちに1万部を超えるほどの人気ぶりです。
安河内哲也先生|上智大学 外国語学部 英語学科
安河内哲也先生は、「英語なんて言葉なんだ、やれば誰だってできるようになる」という名言が特徴の東進ハイスクールで英語を教える講師です。とにかく楽しい授業を行い、「読む」「聞く」「話す」「書く」の4技能を伸ばすため、音読学習を中心に行っています。面白くわかりやすい授業を展開し、TOEIC990点満点、英検1級、国連英検特A級を所持するカリスマ講師です。出身大学は上智大学で、外国語学部英語学科で学ばれていました。今では予備校講師だけではなく、大学での特別講義、教育委員会主催の教員研修事業の講師も行っています。
林修先生|東京大学 法学部
林修先生は、「いつやるか?今でしょ!」のキャッチフレーズを使った東進ハイスクールのCMで話題となり、2013年ユーキャン新語・流行語大賞を受賞したほどです。東大・京大コースなどの難関コースを中心に授業を行っており、東大受験生からも支持を受けるほど、入試問題を研究つくしている現代文の講師です。
長岡恭史先生|電気通信大学 情報理数工学部
長岡恭史先生は、東進ハイスクールで数学を専門に教える人気講師です。東大や国立大医学部志望の生徒を大勢合格に導いており、厳しい指導の中に優しさがあると定評の講師です。
有名予備校講師の出身大学はさまざまですが、大学で専攻していた分野を専門科目としている人が多いのがわかります。予備校で講師を勤めるならば、大学時代に自分の得意な科目、興味のある科目を徹底的に深めていくのがよいでしょう。
予備校講師の仕事内容
予備校講師の仕事内容は、勤務する予備校によって異なります。ここでは、進学を目的とした予備校に勤める予備校講師を例に紹介します。予備校講師の仕事内容は、主に以下の内容が中心です。
- 教材やテキストなどの授業準備
- 授業の実施
- 模擬試験・テストの作成
- 試験・テストの採点
- 学生との面談
- 広報活動
- 保護者対応
- 経理や事務作業
予備校講師の仕事は、生徒に授業を行うことだけではありません。特に常勤講師の場合は、生徒集めや保護者に対する対応、予備校内での事務作業や経理関係なども行います。授業時間以外にも、常に他の仕事を行っているのです。
予備校講師は、予備校内のすべての授業を担当するわけではありません。一般的な進学予備校の場合、理系志望者、文系志望者のクラスに分かれて授業を行います。予備校講師はその中から、自身の専門科目の授業を担当するのが基本です。
また、予備校によっては志望校のレベル別にクラスを分ける場合もあります。例えば、難関大学に進むクラス、準難関大学に進むクラス、一般レベルの大学に進むクラスというように、志望校やテストの点数に応じてクラス分けを行うのです。
予備校によっては、専門的な大学に特化しているところもあります。医大、美術大学、音楽大学、体育大学など、専門性に特化した受験対策を行う場所です。そうした予備校の講師となる人は、専門大学を卒業した経験を活かしている人が多いです。
授業スタイルも予備校によって異なります。主に3つの指導方法にわかれます。
- 団体指導
- 個別指導
- オンライン指導
団体指導は20~30人のクラスに対して授業を行う場合と、4~5人の少人数に対して行う場合があります。人数によって授業体制や教え方は異なります。
予備校講師の1日のスケジュール
ここでは、正社員として予備校に勤める予備校講師の1日のスケジュール例を紹介します。
13:00 | ・出社 ・ミーティング ・メール確認 ・生徒との面談準備 ・生徒への配布物の印刷 ・授業研修など |
14:00 | ・高卒生との面談 (模試の結果を見ながら今後の学習方針の決定など) |
15:00 | ・担当の校舎へ移動 ・食事休憩 |
16:00 | ・担当生徒との面談 (学習指導や定期テストに向けたアドバイスなど) |
18:30 | ・掲示物を貼る ・授業準備 |
19:00 | ・授業 |
21:00 | ・一日の作業報告 ・戸締りなど |
22:00 | ・退勤 |
ふだんは、生徒が学校から帰ってくる夕方~夜にかけて授業を行いますが、夏期講習や冬期講習、年末年始の受験シーズンは、朝から授業を行う場合が多いです。生徒を集めるために、土曜日に学力テストや説明会を開催したり、講習会に来た生徒に勧誘の電話をかけたりと、営業活動も行います。
人気講師になると独立してフリーになる場合もあります。フリーで活動する場合は、都道府県をまたいで、2~3の予備校で授業をすることもあるようです。たとえば、午前中は京都、午後から大阪、夜は神戸と、移動が多いです。夏期講習や冬期講習、年末年始の受験特訓などはとくに忙しくなります。
対面での授業のほか、映像授業の撮影やオンライン家庭教師、YouTube用の講義を撮影するといった仕事もあります。
予備校講師のやりがい
予備校講師は、受験生を合格へと導く役目があります。予備校に通う生徒の中には、授業についていけない人や、志望校合格のための学力が足りないと悩んでいる人がたくさんいます。予備校講師は、そうした悩みを抱える生徒たちを指導するのが仕事です。
生徒からの反応がダイレクトに感じられるため、例えば授業を行っている際、これまで難しい顔をして頭を抱えていた生徒が、予備校に通っていく中で「模試で第一志望のA判定がもらえた!」と結果につながる成長が見られると、授業を行うやりがいにつながるでしょう。
他にも、個別指導でわからない生徒に対して、「どのように教えればわかりやすくなるだろうか?」と試行錯誤した結果、「志望校の過去問が解けるようになった」と言われるようになるのも嬉しいものです。
生徒たちの受験合格をサポートする仕事だからこそ、授業や指導によって実際にテストの点数や成績が上がるなどの結果につながった時には、共に喜びをわかちあえるでしょう。生徒が志望校合格への目標を達成した時には、大きなやりがいを感じられるものです。
予備校講師の想定年収
予備校講師の年収は、基本給と担当講義数によって決まるため人によってさまざまです。平均年収は約383.8万円とされていますが、人気講師にもなると年収1,000万円を超えることもあります。
人気講師には生徒が集まりやすく、担当講義数が増えるからです。授業がわかりやすい、面白いと言われる予備校講師を目指せば、その分だけ多くの生徒を指導できるということです。
参考:学習塾教師 – 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET)) (mhlw.go.jp)
予備校講師の将来性
推薦入試が増加し、一般入試離れが進んでいることや、少子化の影響で生徒数が減少していることを考えると、予備校講師の需要は減少傾向にあります。しかし、子ども一人あたりにかける教育費は増加しているため※、大学受験を成功させたい親からのニーズは高いと考えられます。
※参考:子どもの減少と相反する 一人あたり教育費の増加 (sangiin.go.jp)
大学を受験する子どもやその親は、分かりやすい授業はもちろん、自分に合った進路指導や学習アドバイスを求めています。最新の入試動向を踏まえた指導や、受験の知識・ノウハウを提供することができれば、生徒を集めやすいと言えるでしょう。
また、自身の強みを理解し、得意分野を伸ばすことで、ニーズの高い講師として活躍の場を広げることが可能です。人気講師になれば高収入が期待でき、転職や独立などのキャリアチャンスにも恵まれやすくなります。
競争は厳しいですが、熱意と努力次第で、予備校講師は将来有望な職業といえるでしょう。
一方、中学受験分野は過去最多の受験者数を記録し、今後もさらなる需要増が見込まれます。実績のある中学受験塾は業績を伸ばすことが予想されます。こうした環境の変化を受けて、塾講師を目指すのもひとつの方法かもしれません。
学習塾講師(塾の先生)になるには?仕事内容や向いている人・目指せる大学について解説 (gyakubiki.net)
予備校講師に向いている人
予備校講師は、どのような人が向いているのでしょうか?予備校講師に向いている人は、以下のとおりです。
- 教えることが好きな人
- 人前で話すのが得意な人
- 人に説明するのが得意な人
- 専門分野を追求できる人
順番に解説します。
教えることが好きな人
人に教えるのが好きな人は、予備校講師に向いています。ついつい自分の知っていることや、自分の得意なことを人に教えたくなってしまう人は予備校講師としての素質があるかもしれません。
高校生の今のうちから、友達に勉強を教えてみたり、部活動で自分が得意としていることを仲間に教えてみたりしてみてください。教える数が増えるごとに、相手が理解しやすい教え方ができるようになっていきますよ。
人前で話すのが得意な人
予備校講師は、大勢なり少人数なり生徒の前で授業を行うのが一般的なスタイルです。人前で堂々と、大きな声でわかりやすく話せる人が求められます。
多くの人に注目された状態で話すと、緊張してしまうものです。そうした状況でも物怖じせずに、普段から堂々と話せる人は予備校講師に向いているでしょう。
人に説明するのが得意な人
予備校講師には、わかりやすく説明できる力が求められます。予備校に来る生徒たちは、苦手な部分をわかるようになりたいと思っています。理解度は人それぞれのため、授業を受けている誰もがわかりやすく噛み砕いて説明しなければなりません。
自分が問題を解く時には、なんでもなく解ける問題でも、生徒たちにとっては難しいものです。なぜその問題がその方法で解けるのか、どのようにすればその解き方にたどり着けるのか、1つひとつの問題を分解して伝わる形にまで仕上げるのが、予備校講師の腕の見せ所です。人気講師となる人は、説明がわかりやすく「これまでわからなかったのに、この先生の話を聞いたらすっと理解できた!」となることもあるんですよ。
専門分野を追求できる人
予備校講師は、自分が得意としている科目に特化して授業を行います。そのため、その科目に関する受験対策を追求していかなければなりません。受験に出てくる問題の出題傾向や、それらの問題をわかりやすく教える方法を考えていきます。
受験問題の出題傾向は、年々変化していくものです。それまでの傾向とはまったく異なるものが出てくる場合もあります。そうした変化にも対応できるように、徹底的に1つの科目に対する受験対策を追求していける人は、予備校講師に向いています。
予備校講師を目指せる就職先
ここまで紹介してきた予備校講師の仕事内容は、進学予備校を例にお伝えしてきました。しかし、予備校は進学予備校だけではありません。他の3種類の予備校を紹介します。
・高卒認定予備校
高卒認定予備校とは、「高等学校卒業程度認定試験」合格を目指した予備校です。「高等学校卒業程度認定試験」とは、高校を卒業していない人が高校卒業と同等の学力があることを認定するための試験です。これに合格すると、大学や専門学校への受験資格が得られます。高卒認定予備校では、高校生が使う教科書レベルの学力を身につけられるように指導します。
・公務員試験予備校
公務員試験予備校とは、その名の通り公務員試験合格を目指すための予備校です。公務員試験は試験内容が多岐に渡り、一つの試験での科目数も多いのが特徴です。そのため、進学予備校とは異なり、いくつかの科目を担当することもあります。
・司法試験予備校
司法試験予備校とは、裁判官、検察官、弁護士になるために必要な国家資格試験合格を目指した予備校です。司法試験は国家試験の中でもレベルが高く、独学で合格するのは難しいといわれている試験です。
司法試験予備校の講師を勤められるのは、基本的には司法試験に合格した人になります。難しい試験だからこそ、知識がある講師が求められるのです。
予備校講師になった後のキャリアプラン
予備校講師のキャリアプランとしては、勤める予備校で人気講師として担当できる授業数を増やす方法と、さまざまな予備校に教えに行くスタイルの2つに分かれます。予備校講師は授業数が増えるほどに収入が上がるため、勤める予備校で授業を受けてくれる生徒を集めていきます。
さまざまな予備校に教えに行く場合は、基本的にはフリーで各予備校と契約して活動する形です。「この人の授業を受けたい!」と集まってくれる生徒がいる人気講師であればあるほど、契約してくれる予備校の数は増えるでしょう。
また、一部の有名な人気講師ともなれば、講演会や書籍の執筆、メディアへの露出の仕事が来る場合があります。予備校内で教える以外にも活躍できる道もあるのです。
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