就職サポート充実の大学探訪記 Vol.1 武蔵野美術大学
2023.07.28
1929年創立の武蔵野美術大学は造形教育に関するレベルの高さに定評があるが、実は「就職に強い」ことでも知られる。同大学で学生たちの就職活動をサポートする西崇弘さんから、その理由について聞いた。
美術系の大学を卒業すると、アーティストやデザイナーとして独立するパターンが多いイメージがあるが、実際には企業などに就職するケースも非常に多いという。
武蔵野美術大学学生支援グループの西崇弘さんは語る。
「就職先の企業は多方面にわたりますが、個々の学生のスキルや適性に応じて段階的にサポートしています。本学では3年生の前期に業界や職種に関する説明を手厚く行うとともに、その後の夏休みに実施されるインターンシップに関する指導にも力を注いでいます」
多方面に就職できるといっても、職種は専門的なものに限定されるのでは……と思ったが、違った。
武蔵野美術大学は「総合性と専門性の融合」を標榜しており、専門職のみならず総合職として活躍する卒業生も多い。もちろん専門職においては、想像以上に多彩な職を選べるようだ。
「90年以上の歩みの中で数多くの卒業生が活躍し、中には限定的な求人や募集要項が企業から寄せられることもあります。メジャー電機メーカーや文具メーカーなど、大企業のデザイン部門で存分に能力を発揮する卒業生たちも珍しくありません」
たとえばメガバンクに就職した卒業生は、銀行のサイトやアプリのUI(ユーザーインターフェイス)デザインを手がけ、行内外で高く評価されている。専門職の就職でも高い実績があるのはなぜ?
「専門職を目指す学生向けにポートフォリオ作成を手厚く支援しています。キャリアセンターには、そのための専任スタッフと、面談を行うキャリアカウンセラーが常駐しています。広範囲な業界をスタッフが分担し、企業とも密に携しつつ、学生との面談を通じて情報提供や助言を行っています」
ポートフォリオとは、作品による自己PR集のこと。個々の学生が経歴、習得スキル、授業課題や自主制作作品などをまとめる。企業が「この学生を採用したい」と思う内容にするためには、相応のノウハウや対策が求められるのだ。そのため、キャリアセンターでは卒業生が作成したポートフォリオの秀作をいつでも閲覧できる。
ひとつ興味深い話を聞いた。ある卒業生Aさんは、1年生の頃から足繁くキャリアセンターに通っていた。当初、Aさんが作成したポートフォリオは稚拙な内容だったという。ところが、業界・職種研究や就活イベントへの参加を通じて進路のイメージが明確になり、ポートフォリオの内容が磨かれていった。最終的には大手印刷会社の企画職に採用されたそうだ。
「Aさんの1年生の頃の姿から4年後の進路を想像した人はいなかったでしょう。入学直後の1年生
から卒業後の進路を意識するのは大事なことだと痛感しました」
武蔵野美術大学では、1年生の段階から就職をサポートするプログラムも提供している。大学進学は通過点で、重要なのはその先(将来の仕事)をイメージして充実した学生生活を日々過ごすことだ。
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取材・文/大西洋平 デザイン/鍋田哲平 撮影/高橋奈緒(朝日新聞出版写真映像部) 企画/AERA ADセクション
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