大学入試の小論文とは?種類や構成、書く際のポイントを解説
2023.07.27
大学入試の総合型選抜や学校推薦型選抜では、小論文を課されることがあります。しかし、小論文を書いたことがなく、どのように対策したらいいのか困っている人も多いかもしれません。
そこで本記事では、小論文の種類や書くときのポイントなどについて解説します。こちらを参考にして、小論文の対策を立ててみてください。
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目次
小論文とはテーマについて論理的に説明した文章のこと
小論文とは、出題テーマについて自分の意見を論理的に説明する文章のことです。小論文は作文と違い、自由に思ったことを書くものではありません。自分の主張を「なぜそう考えたのか」「なぜ正しいのか」、根拠を持って論理的に説明する必要があります。大学受験の小論文は、800~1,000字程度を求められることが多く、総合型選抜や学校推薦型選抜などで多く実施されます。
小論文の書き方に慣れていない場合、作文と混同してしまうことはよくあることです。小論文と作文の違いをまとめましたので、確認していきましょう。
■小論文と作文の違い
小論文 | 作文 | |
特徴 | 論理的・客観的 | 感覚的・情緒的 |
内容 | 根拠をもとに主張する | 感想や経験をもとに考えを伝える |
構成パターン | 序論・本論・結論 | 特に決まりはない |
文体 | 「だ・である」調 | 「です・ます」調または「だ・である」調 |
主な評価ポイント | 論理的に主張できているか | 感受性や表現力があるか |
小論文の種類
小論文には、「テーマ型」「課題文型」「図表・データ分析型」「英語・教科論述型」と4つの種類があります。それぞれの出題形式の特徴を確認して、小論文の対策をしましょう。
テーマ型:テーマについて意見を記述
テーマ型は、提示されたテーマについて意見を記述する小論文です。例えば、「高齢者と運転免許について、あなたの意見を述べなさい」といったテーマの場合には、「高齢者の運転ミスによる事故をなくすために◯◯すべき」といったように、自分の意見を論理的に説明します。
データや文章などの情報がないため、受験生の知識量によってクオリティが左右されるのが特徴です。そのため、志望する学部・学科で学ぶ分野に関連する社会問題や事件、世論などを新聞やニュースでチェックし、自分の意見をある程度まとめておくといいでしょう。
課題文型:課題文を読み解き意見や解決策を記述
課題文型は、課題文が提示され、その文章からヒントを見つけ出し自分の意見や解決策などを記述する形式です。
また、課題文の要点をまとめる設問があることもあります。課題文の文章が2,000字以上と量が多いため、できるだけ時間をかけずに文章の主張や要点を理解し、自分の意見をまとめる必要があります。課題文型は最近の大学受験で、最も頻繁に出題される形式です。
図表・データ分析型:グラフや表から情報を読み取って論述
図表・データ分析型とは、グラフや表などのデータから情報を読み取り分析して、設問の論述を行う小論文です。そのため、「的確にデータを読み取るチカラ」と、「自分の意見を表現するチカラ」が必要になります。まずはデータの「増減」「大小」などの傾向をつかんでから、問題や課題を見つけることが重要です。その上で、問題や課題に対する自分の意見を考え、文章にしていきます。
英語・教科論述型:英語や特定の教科の知識を応用して回答
英語・教科論述型は、英文を読んで意見を求められる問題や、和訳や空欄補充などの問題に回答する形式、もしくは特定の教科の知識を応用して論じる小論文です。
このタイプの小論文を採用する大学は少ないですが、文学部や医学部などで出題されることがあります。英語型の場合は課題文が英文で出題されますが、日本語での回答・記述を求められることがほとんど。しかし、まれに英語で回答を求められるケースもあるので、志望校の過去問を確認しておきましょう。
小論文の基本構成
小論文には、「序論(問題提起)」「本論1(意見提示)」「本論2(論拠提示)」「結論」という基本構成があります。ここでは、小論文の構成について詳しく見ていきましょう。
序論(問題提起)
小論文の序論では、「これから論じる内容」を明示します。読み手は、冒頭で何について書かれるかを端的に把握できると読みやすくなるため、序論は非常に重要です。
また、書き手も、自分の意見や書き進める方向性がはっきりするので書きやすくなるでしょう。
本論1(意見提示)
本論1では、「私は◯◯と考える」といった意見を書きます。ここでは「一般的には◯◯」や「◯◯や△△という選択肢もある」といった曖昧な書き方は厳禁。出題者は、受験生の意見・主張を知りたいため、本論1では明確に述べることが重要です。
本論2(論拠提示)
次に、意見の根拠となる事実や経験などを示します。根拠は、意見が一人よがりにならないよう、説得力をつける役割があります。筋道を立てて、丁寧に説明することがコツです。
結論
結論で、自分の意見をもう一度より深く掘り下げて述べます。ここで注意すべき点は、結論で文字数合わせをすること。結論の時点で文字数が足りないと気づいて強引に書き足すと、文章の流れが破綻してしまうおそれがあります。
小論文を書くときのポイント
ここまでは、小論文の基本構成を詳しく確認してきました。より説得力のある小論文を完成させるために、書くときの3つのポイントを見ていきましょう。
論理的に構成する
自分の意見を相手に的確に伝えるためには、論理的な構成にする必要があります。難しく感じるかもしれませんが、先程お伝えした基本構成「序論→本論1→本論2→結論」にするだけで大丈夫です!
しかし、頭の中で書く内容を考えているだけでは、文章に落とし込めない可能性があります。そこでまずは、「序論・本論1・本論2・結論」を箇条書きにして書き出すのがオススメ。書く内容、順番が整理でき、論理的な構成になるでしょう。
結論を明確に述べる
結論とは、与えられたテーマや課題に対する自分の意見のことです。例えば、「現在の国際政治の状況を踏まえて今後どのような社会になっていくか考えを述べよ」という問題の場合には、「私は◯◯という社会になると考える」といったように結論を書くのです。
出題者が知りたいのは、受験生の意見です。そのため結論は、「私は◯◯と考える」と自分の意見を断言し、明確に書くことが重要です。
根拠を添える
小論文は結論だけでは主観を主張するだけになり、一人よがりの文章になってしまいます。そこで、結論に対する根拠を示せれば、客観性が加わって説得力を持たせることができます。根拠は、具体的な体験談やデータなどをもとに書くことがコツです。
小論文を書く際に必要なスキルとは?
小論文を書くときには、文章を上手に書くということだけではなく、論理的な思考や表現力が求められます。どのようなスキルが必要なのか、具体的に見ていきましょう。
論理的思考力
相手に伝えたいことをわかりやすく伝えるためには、論理的に考えるチカラが必要です。論理的に考えるのが苦手な場合には、まず文章を書き始める前に、書く内容を箇条書きにすることから始めましょう。
それから因果関係や時系列、話の流れに矛盾がないように整理していきます。慣れないうちは難しいかもしれませんが、練習するうちに慣れていくはずです。
表現力・構成力
自分の意見を言語化して、読み手に伝える表現力や構成力が必要です。表現力は一朝一夕に身に付くものではありません。そのため、日常的に本を読んだり、自分の意見をわかりやすく伝える練習をしたりするといいでしょう。
構成力は、先程お伝えした「小論文の基本構成」を参考にして、文章を組み立てるのがオススメです。
読解力
小論文では、必ずテーマや課題文、データなどが提示されます。それらを読んで、出題者の意図やデータの背景などを読み取るチカラが必要です。
また、「賛成・反対の立場を示して」「具体例を示して」といったように、条件が提示されることもあります。条件を満たさない場合には、減点の対象になってしまうので注意しましょう。
表記や表現
基本的な表記や表現に誤りがあると、減点対象になります。そのため、正しい表記・表現方法で文章を書くスキルが必要です。下記のような表現には気を付けましょう。
<避けるべき表現>
・重複表現(例:まず最初に→まず、はっきりと明言する→明言する)
・い抜き・ら抜き言葉(例:話してる→話している、食べれる→食べられる)
・略語(例:ちな→ちなみに、スマホ→スマートフォン)
小論文の練習時に気を付けること
最後に、小論文で気を付けるべきポイントをご紹介します。ここで紹介するのは、基本的な表現や表記方法がほとんどです。しっかり練習をして、本番に挑みましょう。
文字ははっきり丁寧に書く
小論文では、文字をはっきり丁寧に書きましょう。文字のうまい、ヘタではなく、丁寧であることが重要です。
当たり前ですが、皆さんが書いた小論文を読むのは試験官です。急いで書いた文字や小さくて読みにくい文字では、印象が悪くなってしまいます。そのため、練習のときから、はっきり、丁寧に書く癖をつけることが重要です。
改行・段落の使い方に注意する
適度に改行することで、読み手が読みやすくなります。改行がない文章はとても読みづらく、読み手からの印象も悪くなってしまうのです。
1つの段落に1つの話題となるよう、内容が変わるときに改行することがコツ。とはいえ、改行が多すぎると文章のリズムが悪くなるため、1段落は4~5行以内とするといいでしょう。
指定文字数の9割以上書く
「◯◯文字以内」と指定されたときは、指定文字数の9割以上書くのが理想です。「◯◯文字程度」と書かれている場合には、その文字数のプラス・マイナス1割を目安にするといいでしょう。例えば、「1,000文字程度」の場合には「900~1,100文字」を目指すのです。
指定された文字数よりも大幅に多かったり少なかったりすると、減点の対象になります。最後まで書いて「文字数が足りない!」とならないよう、書き始める前に文字数を含めて構成を立てましょう。
主述のねじれに注意する
文章を書いていると、気づかないうちに主語と述語がねじれて、わかりにくい文章になってしまうことがあります。
「ねじれ」とは、主語と述語が正しく対応していないこと。例として、次の文章を見てみましょう。
例)
・主述がねじれた文章:少子高齢化の問題は、経済規模が小さくなります。
・正しい文章:少子高齢化の問題とは、経済規模が小さくなる可能性があることです。
ねじれた文章は、主語の「少子高齢化の問題は」と述語「小さくなります」が正しく対応していません。これでは「少子高齢化の問題」が「小さくなる」ように読めてしまいます。つまり、主語と述語がねじれていることで、読み手に違和感を与えているのです。
「ねじれ」は文章が長くなるほど、発生しやすくなります。そのため、一文はできるだけシンプルにし、40~60文字以内に収めるのがオススメです。
誤字・脱字に注意する
小論文をすべて書き終わったら、誤字・脱字がないかチェックしましょう。文章を書いているときには、ミスに気づかないものです。見直すときはゆっくり丁寧に読むと、ミスに気づきやすくなります。
そのため、制限時間が終了するまで文章を書き続けるのではなく、試験前にチェックの時間もあらかじめ計画しておくと安心です。
原稿用紙のルールを守る
原稿用紙に文章を書くときには、さまざまなルールがあります。下記のルールを守って文章を書きましょう。
<原稿用紙のルール>
・題名(タイトル)は1行目の行頭から3マス空けて書き始める。
・2行目に行頭から受験番号を書き、1マス空けて氏名を書く。
・段落の書き出しは行頭から1マス空ける。
・「っ」など促音は1マスに1文字書く。促音は行頭でも可。
・句読点、カッコは1マスに1文字書く。しかし、句読点と閉じカッコは行頭に書くことは不可のため、前の行末に文字といっしょに入れる。
・カッコ内の最後(閉じカッコの前)には、句点は入れない。
小論文に求められる文章力とは?
皆さんが進学を目指す大学という場所は、論文の書き方を学ぶ場でもあります。学術的な文章を書くためには、自分が調べた資料やデータを論理的で正確にまとめることが求められ、入試の小論文はその入り口ともいえます。上記のポイントと共に、文章が偏った意見となっていないか確認してみてください。
また、問題を解く際には、「出題者の意図」を考えることが大切です。学部・学科によって試験の方向性が異なるため、過去問を解くなどして、出題の傾向を自分なりに分析をしてみましょう。
小論文は練習を繰り返して対策しよう
小論文は、受験前までに練習を何度も繰り返すことが重要です。本記事を参考にして、総合型選抜や学校推薦型選抜などに向けて小論文の対策をしましょう。
小論文以外に、受験対策について知りたい場合には下記のページをチェックしてみるのがオススメです。大学受験の勉強方法や、各種入試方法についての記事が多くあります。ぜひ参考にしてください!