経済学とは?経営学との違いや学ぶメリット、活用できる職業を解説
2023.09.12
皆さんは、経済学と聞いてどのようなイメージを持ちますか?「お金」をイメージした人は、概ね正解です。しかし、経済学がどのような研究をする学問なのか、詳しくはわからない人も多いでしょう。
本記事では、経済学とは何か、学ぶメリット、大学で学べる経済学の種類について解説します。併せて、経済学を学べる学部や、経済学の知識を活用できる職業なども紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
経済学とは、人・モノ・お金・情報などの流れやその過程の活動を研究する学問のこと
経済学とは、世の中の人・モノ・お金・情報などの流れ(経済)や、その流れを生み出す活動について研究する学問のことです。経済は、主に政府・企業・家計(消費者)の三者の活動によって成り立っています。これらは相互に影響を与えていることから、三者間で行われる人・モノ・お金・情報の流れや関連性を、統計データなどをもとに研究する必要があるのです。
経済学を学ぶ目的は、現状を把握して、より良い生活を送るための方法を理論的に分析すること。そのためには、データ分析や数学の知識が欠かせません。経済学部は文系ですが、早稲田大学の政治経済学部のように、入試科目に数学を取り入れる大学もあります。
また、2023年に文部科学省が「大学の授業履修に必要な科目を入試科目にするように」との指針を出していることから、経済学部を目指す場合は、今後はより数学に注力する必要がありそうです。
経済学と経営学の違い
お金や人の流れを研究する学問には、ほかに経営学がありますが、経済学と経営学の違いが気になる人も多いかもしれませんね。経済学と経営学は、似て非なる学問です。
経済学が社会全体の経済活動について学ぶのに対し、経営学では企業や組織の経営にフォーカスして学びます。そのため、経営学の主なテーマは、企業におけるマーケティングや経営戦略、人材マネジメントなどです。
もちろん、商品・サービスの価格決定など、お金に関わる分野も学びますが、「どうしたら競合他社よりも優位に立てるか」といった、利益を生み出す方法をメインに研究します。「将来、起業したい」「社長になりたい」という人は、経営学を学ぶのが適しているでしょう。
経済学を学ぶメリット
経済学を学ぶメリットとしては、下記の5つが代表的です。学ぶ対象が世の中全体になるので、幅広い分野で役立つ知識やスキルが身に付きます。
ビジネス感覚が身に付く
経済学では、政府の動向についてはもちろん、企業の現場で起きていることを知るためのビジネスデータの分析・活用法や、世界経済・貿易なども学ぶ対象になります。
ビジネスの世界で実際に起きていることが研究対象になるので、さまざまな場面でビジネスの状況を素早く理解できる感覚が自然に身につきます。
課題の発見方法と論理的思考が学べる
経済学の授業やゼミで求められるのは、統計データなどから課題を発見し、「どうして?」と理由を考えることです。そのため、日常的な演習で論理的思考力が身につきます。
統計学の手法を使ってデータ分析することもあるため、データ分析能力も養えるでしょう。
社会構造や経済の仕組みがわかる
経済学ではお金・人・モノなどの流れについて学ぶので、社会でどのように商品・サービスが生まれ、お金が動いていくのかがわかります。身近な出来事から、それが社会全体の中でどのような意味を持つ活動なのかがわかるようになるなど、社会構造や経済の仕組みを念頭に置いた考え方ができるようになるのです。
新商品・サービスが、どのように世の中に受け入れられていくかなどにも注目できるようになるので、将来、職業に就いたときや生活をしていく上で、きっと役に立つはずです。
幅広い業種で活躍できる
業界や規模を問わず、商品・サービスを提供して利益を得ることで成り立っているのが、企業経営です。どの業種であってもお金やモノの流れに関する知識は必要になるので、学んだことを幅広い業種で役立てられるでしょう。
また、政府を含めた社会全体の経済について学ぶことから、公務員試験でも経済系科目が出題されています。企業だけでなく、国家公務員・地方公務員を希望する場合も、経済学の知識が役立つはずです。
資格が取得できる
新卒の就職活動では、資格取得が必須になることはほとんどありません。しかし、大学在学中に資格を取っていれば、その知識や努力をアピールできます。
経済学を活かせる資格としては、「ファイナンシャルプランナー(FP)」「公認会計士」「中小企業診断士」などがあります。どの資格も、十分な対策をしなければ合格できないため、授業とは別に多くの時間を勉強に割くことが必要です。
大学で学べる経済学の種類
大学で経済学を学ぶときには、「マルクス経済学」と「近代経済学」の2つを学ぶことがほとんどです。それぞれ、下記のような特徴があります。
マルクス経済学
マルクス経済学とは、カール・マルクスが1867年に「資本論」で論じた経済学のことです。50年程前の日本の大学では、経済学といえばマルクス経済学が主流でした。しかし現在は、近代経済学が主流になっています。そのため、歴史的な側面や経済学の基礎を理解する目的で、マルクス経済学を学ぶことも多くなっています。
近代経済学
近代経済学は、大きく「ミクロ経済学」と「マクロ経済学」の2つの視点に分けて経済を考える点が特徴です。ミクロとは「小規模な」、マクロは「大規模な」という意味。つまり、ミクロ経済学とマクロ経済学では、学ぶ対象の規模が違うのです。
冒頭でご説明したとおり、経済は主に「政府」「企業」「家計(消費者)」の3つから成り立っています。このうち、ミクロ経済学では消費者を、マクロ経済学では政府や企業、つまり社会全体を対象にしているという違いがあります。
「スタビキ」で経済学についてもっと知ろう
スタビキは大学でどんな研究をしているか調べられるサービスです。
「経済」で検索すると「経済政策」や「中国経済」などより詳細な研究テーマが表示されます。じぶんがどんな研究テーマに興味があるのか、それをどの大学で学べるのかわかります。ぜひ使ってみてください。
経済学を学べる学部
経済学を学べるのは、主に経済学部です。2023年時点では、国公私立含め120以上の大学で経済学を学ぶことができます。多くの大学に設置されていることから、大学選びの選択肢は幅広いかもしれませんね。
また、経済学は、「商学部」や「ビジネス学部」でも学べます。いずれも企業経営に特化した学部のため、将来起業を目指している人やビジネスリーダーを目指す人には最適でしょう。経済学部のある代表的な大学は、下記のとおりです。
<経済学を学べる主な大学>
・ノースアジア大学(秋田県)
・慶應義塾大学(東京都)
・日本福祉大学(愛知県)
・大和大学(大阪府)
・甲南大学(兵庫県)
・九州共立大学(福岡県)
経済学を活かせる職業
経済学の知識は、さまざまな職業で活かせます。そのすべてを解説することはできないので、「JOB-BIKI」でぜひ検索してみてください。ここでは一例として、下記の6つの職業をピックアップしています。
ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナーとは、相談者の家計について現状分析し、家族構成やライフスタイル、価値観などを踏まえて資金計画を立てる仕事です。
結婚・出産・子供の入学・マイホームの購入といったライフイベントでは、支出が多くなりますよね。そのようなイベントを経験した上で老後の資金を残すには、どのようにやりくりしたらいいかは多くの人にとって難題です。そこで、相談者の状況や要望に合わせて、資産運用について適切なプランを作成してアドバイスするが、ファイナンシャルプランナーなのです。
ファイナンシャルプランナーが相談を受ける範囲は、日々の家計の管理から教育資金、相続、老後の生活設計など家計に関するすべてが対象となるため、幅広くさまざまな知識を持っていることが重要で、金融商品の提案なども行うので、お金の流れに関係する経済学の知識も必要になります。
「ファイナンシャルプランナーの仕事内容に興味がある」という人は、下記のコラムをぜひ読んでみてください。
ファイナンシャルプランナーに必要な資格は?仕事内容ややりがい
公認会計士
上場企業は、売上や利益などの経営状態を「財務諸表」で公表していますが、その財務諸表が正しく記載されているか、第三者の視点でチェックするのが公認会計士の仕事です。難関資格のひとつとして耳にしたことのある人も多いのではないでしょうか。
公認会計士は、経営に関わる膨大なデータから、客観的にその数字が正しいかを判断しなければならないため、データ分析能力が求められます。数字が正しいかを判断するためには、その企業で利益が生まれる仕組みやビジネスの流れに対する理解が不可欠になるため、経済学の知識が役立つでしょう。
公認会計士になるには国家試験の合格が必須で、長期的な勉強が必要です。
「公認会計士の仕事内容に興味がある」という人は、下記のコラムをぜひ読んでみてください。
税理士
税理士は、個人事業者や企業の経営者に代わって、出入りするお金の集計や、税務署に提出する書類を作成・提出する職業です。特に企業では、「法人税」だけでなく「法人住民税」「法人事業税」など、さまざまな税金がかかります。お金が動く回数も1回ごとの金額も多いため、その集計や税金に関する処理はとても煩雑です。そこで、税理士が企業に代わって、税に関する業務を担当するのです。税理士も、公認会計士と同様に、企業のビジネスの流れをしっかりと理解していないと正しい集計や税金の処理はできないので、経済学で学んだことが役立ちます。
税理士になるには、国家試験に合格し、税理士事務所などでの会計事務の実務経験2年以上が必要。そのため、大学卒業後すぐに税理士として働きたい人は、在学中に資格試験の勉強をしつつ、税理士事務所などでアルバイトもしているようです。
「税理士の仕事内容について知りたい」という人は、下記のコラムをぜひ読んでみてください。
税理士になるためにはどうすれば良い?必要な資格やキャリアプラン
銀行員
経済学部の学生の就職先として人気なのが、銀行などの金融業界です。経済学を学ぶと、金融と経済の知識が身につくため、就職にも有利に働くでしょう。
銀行の就職面接では、将来の日本経済や世界経済について問われることもあり、授業やゼミで学んだ内容を踏まえて自分の考えを伝えられるとアピールしやすくなります。銀行の応募条件に資格が求められることはありませんが、「日商簿記検定」や「ファイナンシャル・プランニング技能士」などの資格があると、お金に関する知識があることの証明になります。
「銀行員の仕事内容に興味を持っている」という人は、下記のコラムをぜひ読んでみてください。
銀行員になるには?仕事内容や求められる資質・能力などを紹介
証券アナリスト
証券アナリストとは、各企業の状況や株式・債券市場の動向などを分析・評価し、投資家が投資を行う際の参考になる情報を提供する人のことです。主に、証券会社や銀行、コンサルティング会社などで活動しています。
株式や債券の価値は、国内外の経済や業界の動き、企業の業績・将来性などによって左右されます。そのため、経済学の知識は必須で、その上で広くアンテナを張ってさまざまな情報やデータを調査・分析できるスキルが重要です。
証券アナリストとして働くためには必須の資格はなく、新卒で金融業界に就職するのが近道になります。「証券アナリスト」という民間資格がありますが、最終的な資格取得には3年間の実務経験が必要です。
「証券アナリストの仕事内容に興味を持っている」という人は、下記のコラムをぜひ読んでみてください。
証券アナリストになるには?仕事内容や向いている人・目指せる大学について解説
経理・財務職
会社には、経理・財務を担当する人がいます。経理は会社のお金を管理する仕事、財務はお金を調達する仕事です。経理は、従業員の給料の計算や売上・仕入の集計、経費の管理などを行い、決算書や経営判断に必要なデータを作成します。
財務は、決算書などのデータから資金計画を立てて、銀行などの金融機関に交渉し、お金の調達をするのが仕事です。経済学では会計の知識も学べるため、会社の経理・財務の仕事に活かせるでしょう。
ほかにも金融関係の仕事は経済学を活かせます。「金融の仕事内容に興味を持っている」という人は、下記のコラムをぜひ読んでみてください。
経済学を学べる大学を「JOB-BIKI」で検索しよう
経済学はお金や人・モノ・情報などの流れと市場の仕組みを研究し、社会全体の経済活動を理解するための学問です。経済学を学ぶことで、社会やビジネスの仕組みを理解できるスキルが身につけられます。
興味を持った人は、早速、経済学が学べる大学を「JOB-BIKI」で検索してみてください。なりたい職業からも大学を検索できるので、ぜひ試してみましょう。