市議会議員の気になる年収や月収は?輩出実績があるおすすめの大学
2023.11.30
私たちがみんなで暮らしている市をどのように運営していくのかは、「市議会」という公的な機関で話し合って決められています。市議会には、市民の選挙によって選ばれた「市議会議員」が参加し、市民の代わりに会議での話し合いや提案などを行っているのです。
そんな市民を代表する市議会議員の仕事では、どれくらいの報酬を得られるのでしょうか。この記事では、市議会議員の年収や月収、市議会議員を輩出した実績のある大学について解説するので、ぜひ参考 にしてみてくださいね。
目次
市議会議員の平均年収・月収は?
市議会議員の年収は、地域や役職によって異なりますが、目安として約750万円だとされています。都市部の地域の場合や、「議長」や「副議長」といった上位の役職に就く場合は、報酬がより高くなる傾向にありますよ。
なお、市議会議員の役職である議長とは、会議の進行やまとめ役を務める、市議会の代表者のことです。副議長は、議長が出張などで不在にしているときに代わりに議長の仕事を行う、補佐の役割を担います。議長と副議長は、市議会議員のなかから選挙によって選ばれます。議長や副議長は、市民の代表である市議会議員のなかでも、さらに重要な役割を担うことになるんです!
一部の地域では市議会議員の年収が一般公開されています。たとえば、以下の3つの自治体では公式サイトで市議会議員の年収に関する情報を確認できますよ※。将来、市議会議員として活躍したいエリアがあるなら、各自治体の情報をぜひチェックしてみてくださいね。
※2023年9月時点
【市議会議員の年収】
自治体 | 市議会議員の年収 |
千葉県柏市 | 9,970,560円 ※令和4年実績、役職なしの場合 |
埼玉県さいたま市 | ・議長:16,398,944円 ・副議長:14,653,304円 ・議員:13,545,494円 ※令和5年4月1日現在 |
山梨県甲府市 | ・議長:10,533,600円 ・副議長:9,735,600円 ・議員:9,416,400円 ※令和4年現在 |
一方で、全国の市議会議員の平均月収は、議長の場合51.8万円、副議長の場合45.8万円、議員の場合42.3万円となっています。こちらは、全国市議会議長会が公表する令和4年12月31日現在の調査結果のデータです。あくまでも全国平均であるため、地域によって差が出る可能性があります。先ほどご紹介した3つの自治体の場合、月額の報酬は以下の通りです!
【市議会議員の月収】
自治体 | 市議会議員の月収 |
千葉県柏市 | ・議長:668,000円 ・副議長:597,000円 ・議員:577,000円 ※令和5年現在 |
埼玉県さいたま市 | ・議長:977,000円 ・副議長:873,000円 ・議員:807,000円 ※令和5年4月1日現在 |
山梨県甲府市 | ・議長:660,000円 ・副議長:610,000円 ・議員:590,000円 ※令和4年現在 |
市議会議員の報酬には、上記でご紹介した報酬月額のほかに、「期末手当」があります。期末手当とは市議会議員を含む公務員に支払われる手当のことで、一般企業でいうボーナスにあたるものです。例年6月と12月の年2回、月額の報酬を基準に計算されて支払われます。市議会議員の年収は、毎月の報酬に年2回の期末手当の金額を足すことで算出できますよ。地域によっては、市議会議員の期末手当の金額が公開されていることも!報酬月額と併せて確認してみましょう。
【市議会議員の期末手当】
自治体 | 市議会議員の月収 |
埼玉県さいたま市 | ・議長: (6月)2,337,472円 (12月)2,337,472円 ・副議長: (6月)2,088,652円 (12月)2,088,652円 ・議員: (6月)1,930,747円 (12月)1,930,747円 ※令和5年4月1日現在 |
市議会議員の人口別平均月収
先ほど、市議会議員の報酬は地域によって異なり、都市部ほど高くなる傾向にあるとお伝えしました。それでは、具体的に地域によってどれくらいの違いがあるのでしょうか。ここでは、全国市議会議長会が公表する令和4年12月31日現在の調査データを基に、地域の人口別に市議会議員の平均月収をご紹介します。
【地域の人口と市議会議員の月収】
議長 | 副議長 | 議員 | |
5万人未満 | 41.6万円 | 36.0万円 | 33.5万円 |
5~10万人未満 | 48.5万円 | 42.9万円 | 40.0万円 |
10~20万人未満 | 55.8万円 | 49.9万円 | 46.4万円 |
20~30万人未満 | 67.7万円 | 61.1万円 | 54.9万円 |
30~40万人未満 | 71.6万円 | 65.0万円 | 59.6万円 |
40~50万人未満 | 75.9万円 | 68.4万円 | 62.3万円 |
50万人以上 | 91.0万円 | 81.1万円 | 71.6万円 |
全国平均 | 51.8万円 | 45.8万円 | 42.3万円 |
【参考】市議会議員報酬に関する調査結果 令和4年12月31日現在(全国市議会議長会)
URL:https://www.si-gichokai.jp/research/teisu/1205911_1954.html
このように、地域の人口と市議会議員の月収の関係を見てみると、人口が多い地域ほど市議会議員の報酬が高い傾向にあることがわかります。たとえば、役職なしの議員のケースを見てみましょう。人口5万人未満の地域における報酬月額は平均33.5万円であるのに対して、人口50万人以上の地域における報酬月額は平均71.6万円です。両者を比較すると、38.1万円の差があることがわかりますね。
その一方で、人口の多い地域では基本的に市議会議員の立候補者も多くなることを押さえておきましょう。そもそも市議会議員になるには、自治体で定められた条件を満たした上で立候補し、地域の住民による選挙で選ばれることが必須です!市議会議員になれる人数には制限があり、地域に一定数以上の支持者がいなければ、選挙で当選して仕事に就くことができません。多くのライバル候補がいる地域では、市議会議員になるための競争も厳しくなると考えられるでしょう。
なお、市議会議員の報酬の金額は、それぞれの地域の条例によって決められています。詳しくは後の見出しで解説するため、気になったらぜひ参考にお読みください。
市議会議員の年収が高い市ランキング(令和4年度)
全国のなかでも市議会議員の報酬が特に高い地域を、1位から10位までランキング形式でご紹介します。全国市議会議長会が公表する令和4年12月31日現在のデータに基づいたランキングは以下の通りです。
【市議会議員の報酬月額ランキング(議員)】
人口 | 議員の報酬月額 | ||
1位 | 神奈川県横浜市 | 3,769,595人 | 953,000円 |
2位 | 兵庫県神戸市 | 1,509,916人 | 930,000円 |
3位 | 福岡県北九州市 | 929,186人 | 880,000円 |
4位 | 福岡県福岡市 | 1,581,398人 | 880,000円 |
5位 | 北海道札幌市 | 1,959,512人 | 860,000円 |
6位 | 広島県広島市 | 1,184,731人 | 860,000円 |
7位 | 愛知県名古屋市 | 2,324,970人 | 841,500円 |
8位 | 宮城県仙台市 | 1,068,094人 | 840,000円 |
9位 | 神奈川県川崎市 | 1,523,487人 | 830,000円 |
10位 | 京都府京都市 | 1,385,190人 | 816,000円 |
【参考】市議会議員報酬に関する調査結果 令和4年12月31日現在(全国市議会議長会)
URL:https://www.si-gichokai.jp/research/teisu/1205911_1954.html
市議会議員の報酬月額がもっとも高いのは、神奈川県横浜市の953,000円です。続いて、議員の報酬と人口との関係性を見てみましょう。1位の横浜市は全国で人口が1番目に多い市です。また、2位の兵庫県神戸市は人口が7番目に多い市、3位の福岡県北九州市は人口が13番目に多い市となっています。このように、ランキング上位は人口の多い市が占めていることがわかるでしょう。
その一方で、人口が多いものの報酬月額ではランクインしていない地域もあります。たとえば、大阪府大阪市の人口は2,741,587人で、全国で2番目に人口が多い市です。しかし、大阪市の報酬月額は774,000円で、ランキングでは12位にあたります。一般的に、人口の多い地域ほど市議会議員の報酬が高い傾向にありますが、人口と報酬の高さは必ずしも一致しているわけではありません。
続いて、議長・副議長のランキングを見てみましょう。
【市議会議員の報酬月額ランキング(議長)】
市 | 人口 | 議員の報酬月額 | |
---|---|---|---|
1位 | 神奈川県横浜市 | 3,769,595人 | 1,179,000円 |
2位 | 兵庫県神戸市 | 1,509,916人 | 1,140,000円 |
3位 | 福岡県北九州市 | 929,186人 | 1,090,000円 |
4位 | 福岡県福岡市 | 1,581,398人 | 1,060,000円 |
5位 | 広島県広島市 | 1,184,731人 | 1,060,000円 |
6位 | 愛知県名古屋市 | 2,324,970人 | 1,041,250円 |
7位 | 北海道札幌市 | 1,959,512人 | 1,040,000円 |
8位 | 神奈川県川崎市 | 1,523,487人 | 1,030,000円 |
9位 | 宮城県仙台市 | 1,068,094人 | 1,020,000円 |
10位 | 埼玉県さいたま市 | 1,339,333人 | 977,000円 |
【参考】市議会議員報酬に関する調査結果 令和4年12月31日現在(全国市議会議長会)
URL:https://www.si-gichokai.jp/research/teisu/1205911_1954.html
【市議会議員の報酬月額ランキング(副議長)】
市 | 人口 | 副議長の報酬月額 | |
---|---|---|---|
1位 | 神奈川県横浜市 | 3,769,595人 | 1,061,000円 |
2位 | 兵庫県神戸市 | 1,509,916人 | 1,040,000円 |
3位 | 福岡県北九州市 | 929,186人 | 980,000円 |
4位 | 福岡県福岡市 | 1,581,398人 | 970,000円 |
5位 | 北海道札幌市 | 1,959,512人 | 950,000円 |
6位 | 広島県広島市 | 1,184,731人 | 930,000円 |
7位 | 神奈川県川崎市 | 1,523,487人 | 920,000円 |
8位 | 愛知県名古屋市 | 2,324,970人 | 916,300円 |
9位 | 宮城県仙台市 | 1,068,094人 | 910,000円 |
10位 | 京都府京都市 | 1,385,190人 | 875,500円 |
【参考】市議会議員報酬に関する調査結果 令和4年12月31日現在(全国市議会議長会)
URL:https://www.si-gichokai.jp/research/teisu/1205911_1954.html
議長・副議長ともに、1位は神奈川県横浜市、2位は兵庫県神戸市、3位は福岡県北九州市、4位は福岡県福岡市でした。トップの順位は議員のランキングと同様です。ただし、5位以降はそれぞれ順位に違いが出てきます。将来、市議会議員を目指している高校生の皆さんの中には、市民を代表する議員として経験を積み、さらには市議会を率いるリーダーの役割に関心を持っている人もいるでしょう。ぜひ議員の報酬と併せて、議長や副議長の報酬もチェックしてみてくださいね。
市議会議員の輩出実績がある大学
市議会議員を輩出した実績がある大学の例や、それぞれの大学の特徴をご紹介します。
一橋大学
一橋大学は、東京都国立市にある国立大学です。社会科学系や人文学系の学問の研究に強い、歴史ある大学として知られています。学部は商学部・経済学部・法学部・社会学部が設置され、2023年には新たにソーシャル・データサイエンス学部が開設されました。なかでも社会学部では政治学や政治社会学といった領域が扱われ、政治分野の職種に必要な専門知識を学べます。
【一橋大学出身の若手市議会議員】
・山本ようすけ(立川市議会議員)
拓殖大学
拓殖大学は、東京都文京区にある私立大学です。政経学部は法律・政治・経済の分野の学びに特化した学部で、現代社会のリーダーに求められる幅広い素養を身につけられます。なかでも法律政治学科では、法律学と政治学の観点から地域や国際社会の課題を考える力を伸ばせるのが特徴。地方行政の専門家である教員から学べます。
【拓殖大学出身の若手市議会議員】
・広瀬ゆうと(松戸市議会議員)
関西学院大学
関西学院大学は、兵庫県西宮市にある私立大学です。14つの学部と14つの研究科を有し、幅広い学問の選択肢がある総合大学として知られています。なかでも総合政策学部は、政治学を含む多数の分野の学問を組み合わせながら学べるのが特徴です。都市政策学科のように、都市社会の政策立案を扱い、地域のリーダー育成に力を入れる学科もあります。
【関西学院大学出身の若手市議会議員】
・松本たかゆき(西宮市議会議員)
東京外国語大学
東京外国語大学は、東京都府中市にある国立大学です。1873年に東京外国語学校として設立された、外国語研究で長い歴史がある大学として知られています。学部の選択肢は、言語文化学部・国際社会学部・国際日本学部など。なかでも国際社会学部の現代世界論コースでは、政治学・政治社会学を含む分野を広く学び、現代社会の複雑な問題に働きかける思考力を鍛えます。
【東京外国語大学出身の若手市議会議員】
・小林ゆみ(杉並区議会議員)
学習院大学
学習院大学は、東京都豊島区にある私立大学です。法学部の政治学科では、政治学・国際関係論・社会学を中心としたカリキュラムが用意されているのが特徴です。1年次には政治学の基礎を体系的に学べるよう設計されています。「日本政治・公共政策系統」の履修モデルを選択すれば、2年次以降に行政・公共政策・地方政治などの分野を学び、日本の政治や行政を専門的に学べるでしょう。
【学習院大学出身の若手市議会議員】
・黒田けんすけ(つくば市議会議員)
市議会議員の年収はどうやって決まる?
市議会議員の年収には地域差があることをお伝えしましたが、なぜ市によって報酬の金額に違いがあるのか気になった方もいるでしょう。そもそも市議会議員の報酬の金額は、それぞれの市の条例(=市で定められた決まりごと)によって設定されています。各地域が自分たちで金額を決めているから、地域ごとに金額に違いがあるということですね。
市議会議員の報酬の金額は、公正性を保つ仕組みのもとで適切に設定されています。政治や経済に詳しい専門家の話し合いのもとで、その地域の財政(=地域を運営するためのお金の流れ)の状況などを踏まえて、設定される仕組みとなっています。そのため、市によっては現状の金額が見直されるケースもあるんです。自治体によっては、今後の状況次第で金額が変わることもあるかもしれませんね。
市議会議員を目指すなら「JOB-BIKI」で大学検索!
市議会議員の年収は約750万円とされますが、地域や役職によって違いが出ることが多いといえます。一般的には人口の多い地域ほど報酬が高い傾向にあります。ただし、市議会議員になるには地域の選挙で一定以上の支持者を集めることが必須。単なる金額での比較に留まらず、どんな地域なら自分の力を活かして貢献できるのかを、しっかりと考えることが大切です。将来の仕事について考え始めたら、まずは「JOB-BIKI」を使って進学先を調べてみませんか?検索画面の人物検索で「地方議員」「市区町村長」「知事」「国会議員」と入力して、ぜひ政治の仕事で活躍している先輩たちの出身大学を調べてみてくださいね!