大学で文系の学部でも自動車メーカーに就職できる?
2023.12.13
「自動車メーカーに就職したいけど、文系だと難しいよね」とあきらめていませんか?確かに自動車を作る部門では理系出身者が求められます。しかし、自動車を形にするまでの過程や販売時などには文系出身者が求められる部門も多いのです。
この記事では、文系の学部出身者が自動車メーカーで働く際に応募できる職種や、必要な資格・スキル、年収などについて解説します。
自動車メーカーへの就職を考えている文系の人は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
自動車メーカーの文系の役割
文系の学部でも、自動車メーカーに就職することは可能です。「自動車メーカーは理系が多そう」と思っている人もいるでしょうが、文系が求められている部署も多くあります。
自動車メーカーの募集要項は大きく分けて事務職と技術職に別れており、一般的に技術職は理系が求められますが、事務職は文理を問わないことが多いようです。
日本の有名な自動車メーカーには、以下のような企業が挙げられます。
日産の新卒採用募集要項を見てみると、事務職コース(文理共通)、技術職・技能職コース(理系)とあります。
トヨタの新卒採用募集要項においては、事務職も技術職も「学部学科を問わない」とあるので、文系でも技術職に応募することは可能なようです。
自動車メーカーの職種
自動車メーカーの職種は大きく「技術職」と「事務職」に分かれます。理系の場合は技術職、文系の場合は事務職に応募するのが一般的です。それぞれの部署や仕事内容についてみていきましょう。
自動車メーカーで文系が活躍できる事務職
自動車メーカーは新卒の約80%が理系を採用していると言われることもありますが、文系が活躍できる部門も多くあります。たとえば以下のような部門です。
- 商品企画
- 購買
- 物流
- 生産管理
- マーケティング
- カスタマーサービス
- 広報
- その他(人事・経理・総務など)
文系職の一例を詳しく解説します。
商品企画
商品企画の主な業務は、顧客のニーズに合った売れる自動車のアイデアを考えることです。そのためには、他部門との連携が欠かせません。マーケティング部門が調査した顧客ニーズや他社の動向を聞いたり、技術部門と相談したりしながら新しい車のアイデアを練ります。
自分が企画として携わった車が実物となって世に出るのは、大きなやりがいになるでしょう。
購買
車の資材や部品を調達する購買部門も文系が活躍しています。購買部門は自動車会社を代表して、企業に自動車のパーツや部品を提供する「サプライヤー」と交渉する役割を担っています。たとえば、自動車のスマートキーは自動車メーカーで作っているわけではなく、外部の企業が作っています。外部に依頼して適正な価格で購入する購買部門の仕事によって、魅力的な車をより手頃な価格で提供できるわけです。
物流
物流部門の仕事は、自動車の部品や完成車を生産施設からディーラーや顧客に届けることです。安全かつ効率よく輸送するために、部品や完成車の在庫を管理します。
世界にある拠点とコミュニケーションをとることもあるため、英語を使ったコミュニケーション能力が求められることも多いです。また、天候や物流システムなど、さまざまなイレギュラー状況への対応力も必要です。納車を待っているお客さまのために「物流を止めない」という使命感が求められます。
生産管理
生産管理の主な仕事内容は以下の2つです。
- 車を作るために必要な部品を納期までに納入する
- 需要と供給のバランスを考えて生産計画を立て、計画通りに生産を完了させる
工場と連携し「どの種類のクルマを、いつまでに何台生産するのか」を調整し、計画に落とし込むのがメイン業務になります。
マーケティング
自動車メーカーのマーケティング部門は、自動車を消費者に納得して買ってもらうための戦略を考える重要な役割を果たします。マーケティング担当者は、消費者の欲求や市場の動向を分析し、消費者が求める自動車のコンセプトを自社のブランドイメージと結びつけながら練り上げます。
実際に自動車を販売するのはカーディーラーの仕事です。カーディーラーの仕事について詳しく知りたい人は、以下の記事も参考にしてみてください。
広報
広報部門は、会社の内外に対して自社の情報を効果的に伝える仕事です。伝達手段には、テレビや雑誌のほかSNSや社内広報などがあります。お客様や従業員に適切なチャンネルを通して、社内情報を伝えることで、自社やブランドの評判と信頼性を高め、経営目標の達成に貢献します。
その他(人事・経理・総務など)
どの企業でも必ずある人事・経理・総務などの仕事もあります。ただし、これらの事務は派遣社員や契約社員として募集している企業も多いため、部署に配属されることは少ないかもしれません。
自動車メーカーで理系が活躍する技術職とは?
下記のような技術職は理系に進むのが望ましいです。参考までに抑えておきましょう。
技術職の仕事内容の一例は以下の通りです。
- 研究・開発
- 生産・製造
それぞれ見ていきましょう。
研究・開発
研究・開発職の仕事には、以下のようなものがあります。
- 新しい車(EVやハイブリッド車)の開発
- エアバッグやブレーキシステムの改良
- モーターやエンジンの研究・開発
研究開発職は、自動車を安全でエコロジカルに、そして速くて便利にするため、自動車関連技術や製品の研究・開発を行います。
生産・製造
生産・製造は、生産計画に基づいて自動車を組み立てます。完成した車の安全性を確かめるため、機能検査を行います。機械工学や電気・電子工学など、さまざまな知識とスキルが求められる部署です。
文系で自動車メーカーに就職するために選ぶ大学の学部・学科
自動車メーカーの事務職であれば、学部・学科を問わず応募できます。とはいえ、大学で学んだ内容が活かせることも多いです。たとえば、大手の自動車メーカーは海外市場もターゲットとしているため、英語力が高いと重宝されます。とくに、海外拠点とのコミュニケーションが必要な購買、物流部門などでは高い英語力が求められます。
ほかにも、会社の資金の流れを中心に経営、マーケティングなどを学ぶ商学部の知識も活かせるでしょう。経営理論やマネジメントなど企業経営に必要な理論を学べる経営学の知識もアピール材料になります。
また、海外や外部企業とのやり取りが多い自動車メーカーでは、法律の知識が役立つことも多いため、法学部で学んだ内容が活かせる機会もあります。
一方、自動車メーカーの技術職は、理系しか応募できないメーカーが多い傾向にあります。理系であれば学部・学科は問われないことが多いですが、部門によっては、就職に有利な学部もあります。たとえば、自動車開発エンジニアとして働きたい場合は、工学部や理工学部などの機械工学科や電子工学科で学ぶと良いでしょう。現場で活かせる自動車の基礎知識を習得できます。
文系で自動車メーカーに就職するために必要な資格
日本の主な自動車メーカーでは、新卒に資格を求めることはまずありません。とはいえ、部門によっては持っていると有利になる資格もあるでしょう。
たとえば海外とのやり取りがある購買や資材調達部門ではTOEICや英検、経理なら簿記の資格を持っていると、企業にやる気をアピールできるでしょう。また事務職はパソコンスキルも必須なので、MOSを取得しているとOfficeソフトの運用能力を証明できます。
理系の場合は技術職に就職することが多いと思います。技術職の中でも生産部門や整備部門へ応募する場合は「自動車整備士」や「CAD利用技術者」「機械設計技術者」の資格を持っていると有利です。自動車整備士の資格は国家資格で、受験資格にも制限があります。詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
自動車メーカーの文系職で求められる資質・能力
自動車メーカーの文系職で求められる資質や能力には、以下のようなものが挙げられます。
- 英語力
- コミュニケーション能力
- マーケティング力
順番に解説します。
英語力
資材や部品を調達する購買部や物流部など、海外とのやりとりが必要な部門では英語力が求められることが多いです。とくに世界で躍進を続ける大手自動車会社では、社内の公用語が英語化しているのが一般的なため英語力は必須でしょう。
日産自動車のエントリーシートには、以下のような設問があります。
あなたが外国人の方とチームで何かを成し遂げた経験、もしくは海外で挑戦した事柄について記述してください。チームで活動したケースの場合は、あなたが果たした役割が分かるように述べてください。
参考:日産自動車のエントリーシート | 就職活動支援サイトunistyle (unistyleinc.com)
この設問からもわかるように英語力はもちろん「価値観の違う人や人種の異なる同僚とも協力して成果を上げられるか」という資質も見られているのでしょう。
自動車メーカーの中でも英語を使う部署で働きたい人は、英語系の学部・学科卒だと有利です。
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コミュニケーション能力
コミュニケーション能力は、文系職理系職問わず求められますが、とくに人とのやり取りが多い文系職では高く評価されるでしょう。たとえば、お客様の要望をヒアリングし提案する営業職はイメージしやすいと思います。
ほかにも、商品開発部はマーケティング部門や技術部門と連携しながら新しい車のアイデアを練りますし、カーデザイナーも技術者やマーケティング担当者とともに、新製品の商品化に励みます。このように、他の部署との連携が密に行われる文系職では、高いコミュニケーション能力が求められます。
仕事上のコミュニケーション能力は、トラブルが起きたときに論理的に解決していく力が求められます。この問題解決能力は、特に法学部で身につく力です。法学部では、一般社会で発生する日常の問題や出来事と法律とを関連付けて学ぶ学問だからです。
授業ではディベートを行う機会も多く、論理的に説明する力が養えるため、仕事上のコミュニケーションにもプラスになるでしょう。
もちろん技術職でもコミュニケーション能力は求められるのですが、どちらかと言えば、高い専門性や技術力の方が評価される傾向にあるようです。
マーケティング力
顧客のニーズを理解し、市場を明確に把握するマーケティング力も自動車メーカーの営業職に求められる力です。マーケティング力は、主に商学部や経営学部で学べます。自動車を消費者まで効率よく流通させるための知識は、現場で活かしやすいでしょう。
自動車メーカー文系職の収入目安
文系で自動車メーカーに就職する場合、ほとんどが事務職での採用になるでしょう。日産自動車の公式ホームページによると、2022年度の初任給は以下の通りです。
博士了 | 280,500円 |
修士了 | 248,000円 |
学部卒 | 223,000円 |
高専卒 | 189,850円 |
自動車メーカーの初任給は平均すると23万円程度です。初任給に関しては、事務職と技術職でとくに差はなく、学歴によって上下するようです。年齢や役職によっても異なりますが、自動車メーカーの一般的な給与平均は600~800万円なので、日本の平均年収450万円からすると高い傾向にあります。
会社によっては上記に加え、年に2回賞与がある場合もあります。トヨタ、日産、ホンダなどの大手では、通勤手当や時間外勤務手当などの諸手当や社宅、従業員自社株制度などの福利厚生が充実しているようです。
自動車メーカーは文系職の仕事も多い!必要なスキルを磨いて就職を有利にしよう
自動車メーカーには事務職と技術職があります。技術職は理系が求められることがほとんどですが、事務職であれば文理を問わず応募できます。
事務職と一言でいってもその範囲は幅広く、商品企画や物流、
マーケティング、宣伝・広報などさまざまな部門があるため、自分の資質や能力を活かせる部門を検討してみてください。
自動車メーカーの事務職は、部門問わず社内社外の多くの人と関わる機会が多いため、コミュニケーション能力が高いと仕事が円滑に進むでしょう。また、大手の自動車メーカーでは海外とのやりとりもあるため、英語力が求められます。TOEICや英検などで高いスコアを持っていると就職時に有利です。
逆引き大学辞典の「JOB-BIKI」では実際に自動車メーカーに就職している大学がわかります。ぜひ参考にしてみてください。