構成作家になるには?仕事内容や求められる資質・能力などを紹介
2022.09.02
テレビやラジオの番組制作に携わる、「構成作家」という仕事を知っていますか?皆さんが日々楽しんで観ている番組を作るのに、構成作家は重要な役割を果たしているのです。
この記事では、構成作家の仕事内容や求められる資質・能力について見ていきましょう。構成作家を目指すための進学先や就職先についてもご紹介します!
目次
構成作家とは?
構成作家とは、テレビやラジオの番組コンセプトや番組の流れ、実施するコーナーなどの企画、企画に関連する情報のリサーチ、さらに出演者が話すセリフがまとめられた台本を書くのが仕事です。番組のプロデューサーやディレクターが打ち出した企画意図をくみ取り、「いかに魅力的な番組を作り上げるかを設計する仕事」と考えるとイメージしやすいでしょう。
バラエティ番組や情報番組では、番組内でさまざまなコーナーが展開されるのを見たことがあるのでは?これらの企画を効果的に配置・演出し、視聴者を飽きさせない番組にするのが、構成作家にとって腕の見せ所です。
また、構成作家は、お笑いライブのような舞台にも関わっています。舞台の場合、台本執筆はもちろん、芸人のネタへのアイディア出しのほか、音楽や小道具の準備を担います。
構成作家は、番組や舞台のクオリティや人気を大きく左右することもある、責任の重い仕事なのです!
構成作家と放送作家の違い
構成作家と、しばしば聞く「放送作家」の違いは何でしょうか。大まかにいうと、番組全体の骨格を作るのが構成作家で、出演者のセリフやナレーション用台本を作成するなど、細部の内容や演出を考えるのが放送作家です。
ただし、現在では放送局によって構成作家が台本づくりまで一貫して担当することもあり、その垣根は曖昧なものになっています。構成作家と放送作家は、ほとんど同じ職種と捉えてもいいでしょう。
構成作家の仕事内容
構成作家のメインの仕事は、「番組構成」と「台本執筆」です。
例えば情報番組(ワイドショー番組)であれば、人の心をつかむおもしろい番組にするには、まず構成作家自身が番組の企画趣旨やコンセプトに深く関わります。番組プロデューサーやディレクター、場合によっては司会者となるタレントなどと打ち合わせて、アイディアを出し合いながら番組の方向性を決めていくのです。
情報番組の骨格となる企画や構成案を作成した後も、構成作家の仕事は終わりません。台本執筆まで担っている場合は、番組進行の流れから、司会者のセリフ、ナレーションも書きます。ほかの出演者に、どんな内容を話してもらうのかまで執筆するのです。
近年は、アドリブがきく司会者にゆだねるケースも増えていますが、ほとんど台本どおりに進行する番組もまだまだあります。構成作家は、番組制作に欠かせない存在なんですね!
構成作家の仕事のやりがい
構成作家が手掛けたテレビ・ラジオ、あるいはインターネット動画番組を日本中の老若男女が観て、「おもしろかった!」「また観たい」と感じてもらえることは、構成作家にとって大きな喜びとなるはず。また番組をいっしょに作る制作スタッフや出演タレントなどから、内容や仕事ぶりを信頼されて「またいっしょに仕事をしたい」といわれることも、大きなやりがいとなることでしょう。
テレビ番組の評価は視聴率、ラジオ番組は聴取率、インターネット動画は再生数や登録者数となって表れます。高視聴率・聴取率を安定して叩き出す構成作家は、番組関係者やスポンサーから高く評価されるだけでなく、出演するタレントや芸人から指名が入ることも。
影響力の強いテレビ・ラジオ番組を自分のチカラでおもしろくして結果が出るのは、構成作家にとってこの上ないやりがいになるでしょうね!
構成作家の仕事の流れ
構成作家は、どのように仕事を進めていくのでしょう?テレビやラジオの番組からは姿が見えない構成作家の仕事の中身は、ちょっと気になりますよね。ここでは、テレビ番組を担当する構成作家の基本的な仕事の流れを見ていきましょう。
1. 企画会議
番組制作では、総責任者を務めるプロデューサーや、現場責任者を務めるディレクター、あるいは司会を務めるタレントなどと会議に参加し、企画趣旨やコンセプト、方向性を決定します。構成作家の仕事は、どのような方向性の番組にしたいのか、どんな視聴者層を想定しているのかを共有し、作るべき番組をイメージします。会議には複数の構成作家が参加することもあり、その中でいかにアイディアを出せるか、引き出しの多さが問われるでしょう。
2. 台本執筆・リサーチ
続いて、番組の企画趣旨に沿った台本執筆に取りかかります。出演者の個性を活かしながら、視聴者を釘付けにする番組にするために、書籍やインターネット、あるいは電話などでリサーチして番組内コーナーのための情報を集めるのも構成作家の大切な仕事。
こうして収集した情報が番組の内容をより濃いものにし、視聴者に「おもしろかった!」「また来週も観よう」と感じてもらえる台本に仕上がるのです。ちなみに、リサーチは企画決定前に行うこともあります。
3. 台本チェック
執筆した台本が番組の企画趣旨やコンセプトに合っているか、番組プロデューサー・ディレクターにチェックしてもらいます。プロデューサーやディレクターから修正の依頼が入ることもあるので、臨機応変に対応することもあるでしょう。台本が完成したら、いよいよ収録です。
4. 収録の進行サポート
構成作家はロケに同行したり、スタジオ収録に参加したりすることがあります。出演者の意向、あるいは撮影当日の流れによって、現場で台本を書き換えることもあるのです。収録後はオンエアのチェックも行い、編集が台本のイメージどおりになっているか、編集でカットされたのはどの部分だったのかなどを確認しつつ、次回以降の仕事に活かしていくのです。
構成作家の年収
構成作家はテレビ局やラジオ局の正社員として雇用されていることは少なく、フリーランスとして活動したり、番組制作会社や放送作家事務所に所属していたりするのが一般的です。
そのため、構成作家の報酬は基本的に出来高制。番組1本あたり数万円〜数十万円で契約するケースが多く見られます。金額に幅がある理由は、番組が放送される時間帯や尺(放送時間の長さ)によって報酬が上下するからです。
構成作家としての実績も、報酬に大きく影響します。ゴールデンタイムに放送される番組を手掛けるような実力のある構成作家は、年間で1,000万円を超える報酬を得ているのです。
一方、ローカル局で小さなコーナーの台本を担当する構成作家は、月数万円程度しか得られないケースも。
構成作家は実力主義の世界。実力さえ認められれば高収入も夢ではありません。
構成作家に必要な資質と能力
構成作家には、どのような資質や能力が求められるのでしょうか。ここでは、特に必要とされる資質・能力について紹介します。あなたは構成作家に向いていそうか、チェックしてみてくださいね。
企画力・創造力・文章力
構成作家は番組の骨格を作る仕事ですから、人を惹きつける番組を生み出す企画力が何よりも必要です。
「作家」と称される仕事である以上、斬新な番組を作り上げていく創造力も不可欠。番組がどのような展開になれば視聴者を惹きつけることができるのかを考え、それを企画書や台本にまとめる文章力も求められます。
みずからのアイディアをしっかりと言語化できる人に向いている仕事といえるでしょう。
テレビやラジオに対する愛情
構成作家はテレビやラジオ、あるいは舞台が大好きで、自分自身が熱心な観客でなければ務まらない仕事。テレビやラジオにあまり関心がないようでは、視聴者やリスナーが何を求めているのかがわかりません。テレビやラジオ、舞台の一ファンとして、「こういう番組があったらもっとおもしろい」「こんな番組を作りたい」という想いが次から次へといつまでもわいてくる人にこそ、向いている仕事なのです。
流行に敏感なセンス
新しい情報を求める一方で、とても飽きっぽいのが視聴者です。そんな視聴者を惹きつける情報を番組に盛り込むには、構成作家自身が流行に敏感で、新しいものを求め続けていることが重要です。
新しいものや流行しているものをすぐに試したくなる人、流行しそうなものを察知できる人は、構成作家としての資質を備えているといえるかもしれません。
コミュニケーション力
テレビやラジオの番組制作には、たくさんの人の協力が欠かせません。構成作家は番組プロデューサーやディレクター、放送作家、出演者など、立場の異なる人と関わりながら、自分の仕事を進めていく必要があります。円滑なコミュニケーションが図れるのはもちろんのこと、さまざまな立場の人に憶えてもらったり、好印象を持ってもらえたりすることも、構成作家として大事な要素。狭い業界ゆえ、人脈が次の仕事につながることがあるからです。
構成作家になるための方法とは?
構成作家になるには、どのような進路選択をすれば良いのでしょうか。構成作家の世界の現状と併せて、選ぶべき進学先や就職先について考えていきましょう。
構成作家の世界の現状
メディアの多様化により、これまでのテレビ・ラジオ番組ではなく、動画配信サービスやYouTubeなどのSNSを楽しむ人が増えています。「オールドメディア」といわれるようになったテレビやラジオは、視聴率や聴取率が下がりつつあり、それに伴ってテレビ・ラジオなどにおける構成作家の活躍の場も減ってきてはいるようです。
しかし、再生回数を競うYouTuberには、番組構成や台本を外部の専門家に依頼している人も少なくありません。その意味で、構成作家という人を惹きつける企画を考えられるプロフェッショナルには、まだまだニーズがあるといえます。
また、人を惹きつけるアイディアを生み出すことで、講演や出版、企業PR、町おこしなど、さまざまな方面から望まれることも。構成作家の未来は、明るいといえるのではないでしょうか?
構成作家になるための勉強ができる大学・学部
構成作家になるため、専門的な勉強ができる大学・学部が全国各地にあります。番組企画の立て方や、台本の書き方など、番組制作の基本となる知識を学べるのです。例として、下記のような大学・学部があります。
<構成作家になるための勉強ができる学部・学科>
・芸術学部 映像学科
・芸術学部 広報メディア学科
・芸術学部 放送学科
・芸術情報学部 情報表現学科
・文学部 広報メディア学科
・メディア・コンテンツ学部 映像造形デザイン学科
注意したいのは、このような大学・学部で学ばなければ、放送作家になれないわけではないということ。
下記は、活躍中の構成作家の代表作と出身校です。
<有名な構成作家(放送作家)の代表作と出身校>
・秋元康(「夕やけニャンニャン」、中央大学 文学部)
・飯塚大悟(「ヒルナンデス!」、創価大学)
・オークラ(「ゴッドタン」、日本大学 理工学部 土木工学科中退)
・倉本美津留(「M-1グランプリ」、京都産業大学)
・鈴木おさむ(「中居正広の金曜日のスマイルたちへ」、明治学院大学 経済学部中退)
・そーたに(「世界の果てまでイッテQ!」、中央大学)
・高須光聖(「水曜日のダウンタウン」、龍谷大学 経済学部)
・百田尚樹(「探偵!ナイトスクープ」、同志社大学 法学部中退)
・堀江利幸(「世界一受けたい授業」、中央大学 理工学部 数学科)
※50音順・敬称略
構成作家にとって、企画書をまとめるチカラや台本執筆のための文章力などは必要です。しかし、それより重要なのは、人を惹きつける番組を作れるアイディアやセンス。大学時代にさまざまな経験をして、感性を磨いていくことが大切ですね!
構成作家に必要な資格や受験すべき試験
構成作家になるのに、必ず取るべき資格や受けなければならない試験はありません。構成作家は資格の有無で測れない実力主義の世界なのです。
裏を返せば、学歴や年齢などは無関係ですし、未経験者でも挑戦できる門戸の広い仕事といえますよ。
構成作家になるために目指すべき就職先
構成作家になるために決まったルートはありません。現在、構成作家として活躍している人も、多彩な経歴の持ち主ばかり。必ず構成作家になれる就職先は、残念ながら存在しないのです。
ただ、構成作家になるチャンスがある就職先は、いくつかあります。一例として、下記のような就職先で、構成作家としての第一歩を踏み出せるかも?
<構成作家を目指せる就職先の一例>
・テレビ局・ラジオ局
・番組制作会社
・放送作家事務所
・芸能プロダクション
・有名構成作家に弟子入り
放送作家事務所とは、各方面で活躍している放送作家が所属する事務所のこと。番組制作会社などから企画立案や台本作成を請け負うなど、テレビやラジオの番組制作に貢献しています。
放送作家事務所では、未経験者を採用して放送作家のたまごを育てているケースもあるため、未経験で構成作家を目指したい人にとっては適した就職先といえるでしょう。
構成作家になった後のキャリアプラン
構成作家になった後のキャリアプランは、いくつかの道があります。いずれも構成作家として成功し、そのチカラが認められれば、実現可能性があるキャリアだと考えてくださいね。
小説家
構成作家として培った文章力や表現力を活かして、小説を執筆する道が考えられます。実際に構成作家から小説家としてデビューしたらベストセラーを連発し、著作が映画化されたケースも!
すでに構成作家として知名度があれば、「あの構成作家は、どんな小説を書くのだろう?」と興味を持つ人は業界内外でも多いはずです。
プロデューサー
構成作家として名を馳せ、自分で番組を手掛けるプロデューサーに転向する人もいます。例えば、秋元康氏は音楽プロデューサーとして有名ですが、キャリア当初は構成作家として活動していました。構成作家としてデビューし、実力さえあればみずから番組プロデューサー、はたまた音楽プロデューサーとして活躍できるのです。とても夢のある仕事だと思いませんか?
コメンテーター、講師など
構成作家として名を上げた後、本人がテレビ番組にコメンテーターとして出演する人もいます。視聴者を惹きつけるキャラクターや個性が必要ですが、中には構成作家だったことを知らない視聴者が現れるほど、タレント性がある人もいるのです。
また、講演活動やコラムニストとして発信する人や、企業のPR活動や町おこしに携わる人も。そこまで多彩な活躍ができるのは、構成作家にアイディアを生み出すチカラがあるから。活躍の場はテレビやラジオに収まらないんですね!
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構成作家は、テレビやラジオの番組制作におけるキーパーソンです。あなたがかつて強い衝撃を受けたテレビ番組や毎週夢中で聴いていたラジオ番組があって、「自分もあんな魅力的な番組を作りたい!」という強い想いがあるならば、目指す価値がある仕事だと思いますよ!
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